Neetel Inside 文芸新都
表紙

V.I.P.
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VIP patch.1

―前置き―

バーチャル イン プログレッシブ

「進んだ仮想世界」それをイメージした名前のMMORPG。

ダイブベッドと呼ばれるベッドに器具を取り付けて眠ることで、
そのまんま仮想空間にダイブできるのだ。
ブーンはそのゲームを始めることになる。





―事の経緯―

学園。 さわやかなイメージの付きまとう男女が交錯する校舎。

負のイメージを持ち合わせ、誰もが一度は通る道。
そんな、西村高等学園での出来事。

「なぁなぁブーン。 オンラインゲームって知ってるか?」
彼はブーンの友人、ドクオ。
偏差値は決して悪くない、運動も悪くない。 平凡、と呼ばれる人だ。
「それぐらい知ってるおwww」
「知ってるよな普通wwwで、や ら な い か?」
「だがことわる。お前とアッー!!なんて・・・」
彼らは、某掲示板におけるスレッドの集まり、板に住まう住民である。
彼らの板ではこのような受け答えが基本なのだろう。

「そういう意味じゃねぇよwそのゲーム、すげぇ面白いんだぜ...」
ドクオは魅力を力説し始める。
「やるおww面白そうだおねww」




―初ログイン―

ドクオはすでに入ってるようで、ダイブベッドの中で眠っていた。
ブーンも同じように、器具を体に取り付けて眠った。

そして、世界に降り立ったとき―
剣と魔法、ありがちなファンタジーの世界に入ったとき―
ブーンはなぜか緊張していた。

が、そんな不安は一瞬で吹き飛ぶ。

広大な世界を、自分で歩く感覚。
ナイフでモンスターを倒す感覚。
緊張はすでにwktkに変わっていた。

     

VIP patch.2

バーチャル イン プログレッシブ

―級友、戦友。―

「ドクオ強そうだお!」
「なんてことないさ。 たったのLv23だしな。」

ドクオと会ったブーンは、早速質問を投げかける。

「なにすればいいんだお?」
「お前はラッシャーだろ? 俺みたいなスペラーとは違う。
職業が違えば、育て方も違うんだ」
ラッシャー―連打/回避型。
なんとなくブーンが選んだ職業だ。
対してドクオはスペラー。
支援/魔法型だ。

ブーンは早速レベル上げに取り掛かった。
連打型、そう謳う割に隣にいた動きの遅い騎士よりも遅い攻撃速度だ。
三匹ほど倒しただけなのになぜかファンファーレがなる。
LvUPだろうか。

(to ブーン)「お、LvUPしたんだな?」
頭に直接響くような声。
多分、自分にしか聞こえていないだろう。
(to ドクオ)「ふひひ、ありがとうだお」
ステータスポイントがもらえたようだ。
才能は最初にしか振れないようで、まずは力に振った。

次に叩いたのは少し大きめなシラネーヨ。

ぱこん!ぱこ・・・

攻撃速度が遅いが、一撃がとても大きい。
すぐに、やられそうになったため逃げようとした、そのときだった。

「・・・・うpストライク!!」

多大な画像がシラネーヨにヒットする。
あまりに大きいダメージに、シラネーヨは攻撃する間もなく倒れた。

「ドクオ強いお!なんかブラクラみたいだおwww」
「クオリティのひとつさ。お前はまた違ったのを覚えられる」

これまたややこしい言葉が出てくる。
クオリティ・・・スキルのようなものらしい。
つまり、ステータス画面にある二つのレベルは、職業とキャラクターと分かれているようだ。

そのとき、南首都平原に爆音が響き渡る。
ここにはいないはずのモンスター。
本来ならば、もっと高Lvの場所に居るであろうモンスター。
そう、簡単に予測できる。

なぜならば―周りの、強そうな人たちがありえないダメージを受けて倒れているからだった。

     

VIP patch.3

おわび。 キャラクターをそのまんまAAの名前で呼ばせていただきます。
適当に1,2を手直しますので、お待ちを

―さいたま―

奇怪な叫び声をあげる赤い球体――さいたまは、
プレイヤーを見るなり異常な勢いで襲い掛かっていた。
さいたまの周りにはたくさんのプレイヤーの死体。
次は自分がやられる。二人の直感はそう告げていた。

猛スピードで迫りくるさいたま。
さいたまの上にさらに赤い球体が作られ、ブーンたちに降りかかる。
そのとき、二人のプレイヤーが割って入った。

2chで良く見る、「ギコ」と「モナー」の姿をしたキャラクターだった。

ギコのほうは巨大な剣を携えさいたまと対峙し、
モナーは一歩距離をとり両手の銃を構えている。
モナーの二発の射撃を皮切りに、ギコが攻撃を始める。
横に薙ぐように剣を振り払い、見事にさいたまの真ん中を切り裂く。
後ろに飛ばされるさいたま。
ギコの上を跳び越し、モナーは二丁同時にさいたまに向ける。
「終わりモナ」
そうつぶやき、銃を乱射する。
最後の弾を撃ち終わったときには、さいたまは蜂の巣になっていた。

「大丈夫か?ゴルァ」
ギコがポーションを地面に落とす。
「「ポーションうめぇwww」」
二人とも全回復する。 おそらく、最上級のポーションであろう。

「一人は手馴れてるようだけど、もう一人はずぶの初心者モナね」
装備を見てそう言い出すモナー。
「手伝ってやるかゴルァ」

ブーンはアウアウしながらお礼をした。
ドクオは面倒くさそうな様子が見て取れ、あいにくとってつけたようなお礼をした。

     

V.I.P

ごめんね、スレ見れなかったんだごめんね、
漫画化乙だお

pacth 4

とりあえず、即席で四人はパーティーを組んだ。
パーティー名は「VIPPER's」。
ブーンのLvも考慮し、行くフィールドは「アベフガルド」に決まった。
「ちょwwwなんか八頭身がいっぱいだおwww」
「あいつらはアッー!なタイプだから、気を抜くと掘られるぞ」
「mjsk」
ドクオの説明で掘られないか心配するブーン。
「ブーンだっけ?おまえでもなんとか倒せるはずだ」
「ただ、妙にダンディな人に「やらないか」って言われても、
ホイホイついていっちゃだめモナ」
ブーンがナイフで八頭身たちに攻撃しているのを尻目に、
ドクオ、ギコ、モナーはブーンに攻撃を仕掛けようとしているモンスターを倒していく。
「ブーン、どうだ?」
「Lvあがりまくりんぐだおwww」
さっきまでは何回も攻撃を加えてやっと倒せた八頭身が余裕になってきているブーン。
確かにブーンは強くなっていた。

「うし、ちょっと休憩」
ギコが唐突に言い出す。

ダンジョンの前に出ると、目の前にはゲイ二人がいちゃついていたが、
無視して最初の町に戻ることになった。

「さて、おまいらどう思う?」
休憩中の静寂は、ギコの一言で打ち消される。
「どうって、何がだ」
ドクオはいきなりの問いかけに顔をしかめる。
「この前のさいたま事件モナ」
モナーは話を続ける。
「運営会社側は予期せぬエラーが起こったと説明しているモナ。
ただ、そのさいたまが出てきた場所が食い違うモナ」

運営は、さいたまの出ない高Lv帯ダンジョンにさいたまが出現したと伝えていたが、
ブーンたちがLvをあげていたところはどう考えてもLvの低いマップだ。

「運営は何かたくらんでいるモナ」
「何をたくらんでいるんだお?」
一呼吸おいて、ギコが話し始める。
「このゲームに死の概念はない。死んでもコンティニューできる。
だが、俺の知り合いの一人はさいたまにやられて、今意識不明の状態だ」
「つまり・・・運営側はプレイヤーを殺そうとしてるのかお?」
「憶測だがそういうことになる。」

「みんなのゲームのはずのV.I.Pは、確実に運営側だけのゲームになる。
しかも、趣味の悪い殺人ゲームだ」

ブーンは冷や汗をかきながら食い入るように話を聞いている。
Lvの低いブーンにとって、殺される可能性は十二分にあるからだ。

「だけど、そんなの憶測に過ぎないだろ?
単なる偶然さ。さいたまが出てきた位置と運営側の告知の位置の食い違い、
そして意識不明のプレイヤー。運営を攻め立てるにはいい材料だな」
ドクオはあきれた顔をしながら話を続ける。
「俺たちがそんなことに気づいたって、何もできやしないさ」
ドクオの顔には、「認めたくない」そう書いてあるような気がして、
ブーンはなんだか怖くなった。

       

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Neetsha