黒歴史短編集"環"
向こう側の人
友達の環子ちゃんが、壁に向かって喋っています
どうして、壁に向かって喋っているの?。と聞いてみました
ミステリアスな方が女は魅力がある。
壁から目を離さずに、環子ちゃんは言いました
彼女は物知りだから、きっとそうなんだろうと思って、わたしも窓とお喋りしようとして窓を見ると、向こう側に人がいます
やあ、こんにちは。
見つけちゃったから、君はさよならしなくちゃいけないんだ。
1と34どっちが好き?。
透明なその人は、唐突に私に二つの選択肢を与えました
その二つしかないの?。
好きな数字は1でも34でもないので、聞いてみます
質問を質問で返すのか。
まぁ、子供だからしょうがないかな。許してあげる。
さぁ、1と34、どっちが好きかな?。
その人は私の質問には答えてくれずに、また同じ質問を繰り返しました
じゃあ、私は1が好き。
「いち」と「さんじゅうよん」じゃ「いち」の方が言いやすいから
そうか、分かった。
あと、私は神様だから、今後敬語を使うように。
それだけ言って、彼はどこかへと消えていきました
そういえば、どうして透明な彼を、私は人だと思ったのかなあ
そのあと、頭痛がしたので、午後は早退しました
環子ちゃんは、まだ壁とおしゃべりをしていて、お別れを言ったけど、返事はくれませんでした