Neetel Inside 文芸新都
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世紀の大発明

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【世紀の大発明】


ある日、研究所の博士の元へ助手が大騒ぎをしながら飛び込んできました。

「博士。聞いてください博士。」

「騒がしいね。一体なんだい。」

「博士がトカゲやプラナリアなどの研究結果から完成した自己再生能力促進剤による効果の報告が届きました。」

「なんと、君はあの薬を勝手に公表したのかね。」

「説教は後でいくらでも聞きます。まず私の話を聞いてください。いいですか?この薬を事故で片足を失った男性に服用させたところ、翌日から足の再生が始まり、一週間後には見事完全なる足が生えてきたとあります。」

「なんと、君はあの薬を人に飲ませたのかね。」

「結果的に成功したので心配はありませんよ。報告はまだあります。この国の国民全てにこの薬を支給したところ、いくら刺しても再生する、決して死なないということで殺人率、事故死亡率共に激減させることにも成功しました。」

「なんと、君はあの薬を国民全てに支給したのかね。」

「素晴らしい報告はまだあります。この自己再生能力促進剤を世界中に売りつけたところ、死なないならする意味がないと全世界のありとあらゆる戦争が終わりを迎えました。」

「なんと、君はあの薬を全世界の人達に支給したのかね。」

「はい。しかし博士のおかげで世界に永遠の平和が訪れたのです。これは世紀の大発明ですよ。」

博士はうなだれました。

「君はとんでもないことをしてくれたな。私はそんな大それたことの為にこの薬を開発したわけではないのだ。」

「では博士、あなたはなんの為にこの薬を開発したのですか。」

そう助手が尋ねると、博士はゆっくりと腰をあげ戸棚からある物を取り出した。

「それは…ステーキ、ですか?冷めているのにものすごく食欲をそそられる匂いがしますね。」

「そう、ステーキだ。私は自分の農場で飼っている肉牛にこの薬を飲ませて自己再生能力を高め、永遠と上手い肉を食べる為に作ったのだ。」

「博士はそんなくだらないことの為にこの薬を開発したのですか。私の使い方の方がこの薬を存分に生かすことが出来ています。」

「それが…この薬は自己再生能力を高める効果だけではないのだ。」

「なんと。この薬には他の効果があるのですか?」

「あぁ。私は同じ肉では飽きてしまうと思い、自己再生能力促進の他にいつでも美味しく食せるよう、服用した者の体から人間だけに感知できる堪え切れないほどの強烈な食欲フェロモンが出されるようにしてあるのだ。」


END

       

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