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私の正義のミカタ
※ 警告 ※
この作品は気分を害する恐れのある作品です。
耐性のある方のみ閲覧をお願いいたします。
【私の正義のミカタ】
私には、正義の味方がいます。
我が国はその昔、ヤワの実という貴重な果物が特産品でした。
ヤワの実はとても芳醇な甘い香りを放ち、この世のすべての果物の甘みを閉じ込めたような味で、我が国はそのヤワの実の輸出をすることでお金を得ていました。
しかし、ある日隣国の兵士たちがヤワの実を全て自分のものにしようと押し寄せてきました。
我が国の兵士は必死に戦いましたが、隣国の兵士の数に圧倒され、次々に殺されていきました。
やがて我が国は隣国の領土となってしまいました。
それからの生活は、本当に地獄の毎日でした。
私の母や父、国の大人たちは皆、隣国の兵士に連れていかれました。
その頃子供だった私たちは、毎日ヤワの実の世話の為、奴隷のように扱われました。
もちろん、ご飯などろくに与えてもらえませんでした。
私たちは空腹になると、辺りに生えている雑草や、土の中にいる虫を食べました。
本当に毎日が地獄でした。
何度も死のうと思いました。
しかし、そんな私たちを神は決して見捨てませんでした。
遠方の国が、より多くの兵士を連れて隣国に攻め入ったのです。
隣国はすぐに降参をし、私たちを解放してくれました。
しかし、私たちは降参だけでは生ぬるいと抗議しました。
それを見兼ねた遠方の国王は、隣国を乗っ取るよう命令を下しました。
弱っていた隣国はあっという間に遠方の国に乗っ取られました。
そして遠方の国王は、隣国の国王を含める全国民を処刑しました。
今まで私たちの受けてきたこと以上の地獄を与えてくれたのです。
それに加え、ヤワの実をどこの国よりも高額で買い取ってくれる約束をしてくれました。そのおかげで私たちは、今も平和に暮らしています。
そんな国王は私にとっての正義の味方です。
しかし他国の人々は皆、国王のことを"悪者"と言い、非難しています。
確かに人をたくさん殺すことは悪いことです。
しかし、他国の人々はあの地獄を経験していないからそんな発言ができるのです。
"正義"という概念は全くもって曖昧なものです。
物の" 見方 "次第で悪にでも捉えられてしまうのですから。
END