Neetel Inside 月刊コミックニート
表紙

Evolution42 何かが進化する
24進化“子午線の祀り”(2014.1.5)

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「あたしの…使命?」
突然思いがけない事を言われ進化は聞き返した。
マナみは厳かに頷く。
「はい。私が宇宙の御意思様によってこの星に遣わされました時に……進化様に言伝(ことづて)を預かっております。
進化様にご使命をお伝えするよう。そして私の使命も……。」
ちょうどその時、象は500メートル先で爆睡していた。
あたりは暗く、とても暗かった。結構暗かった。
でも月明かりでちょっと見えた。

「立ち話も何ですから、フライトにでも!」
そう言ってマナみはギゴガゴと変形していく。
お前そのパターン好きだな!と進化は思った。
しかし変形したマナみの姿は、はっきり言って凄かった。
そのはっきり言って凄さたるや、最近小生意気になってきた進化ですら素直に感心するほどだった。
象は寝ながらかすかに放屁した。

マナみが変形したのは、ドラゴンのようだった。
それもただのドラゴンではなく、戦闘機が5機くらい合体して出来たという、そんな風だった。
実際それは、見る者によっては人類の歴史上知りうる限り最も格好いいメカと称えるだろう。
とてつもなく格好良いのだ。これでもかというほど輝く銀色がベースのボディに、要所要所にはこれまた美しい金色のパーツがあしらわれている。
この形態を、超高速飛行竜形態(カイザーワイバーン)と言う。
あまりの格好良さに作者は描写不能である。誰か描いてくだs

進化は差し出された竜の掌の上に乗った。
掌が持ち上げられ、ハッチが開いたコクピットに進化を運んだ。
ハッチが閉まり、声がする。
「それでは、参ります。この星の全てを見て回りましょう」
御河童形態(ザ・ボブ)のマナみとは全然違った格好良い声だった。
中の人は檜山修之かも知れない。

竜は音もなく軽々と舞い上がった。
180°反転しながら舞い上がったと思うと、もう恐ろしいスピードで飛行している。
しかし不思議と、気分が悪くならないのである。むしろめちゃくちゃ気持ち良い。
加速による負荷も全く感じない。そして全くの無音だった。
ただ眼下に見える世界だけが、早送りのように流れていく。

     

「進化様にお伝えするよう言われました使命はふたつ……
ひとつは、この星に生命を芽生えさせる事でございます。」

大体そんな事だろうと進化は思った。よおし、どんな奇っ怪で珍妙な生物で世界を満たしてやろうか。

「ふたつめは、進化様が造り上げた世界で……最良の方と結婚し、進化様の後継者、次期の女神さまをこの星に遺す事にございます。」

進化は少しドキッとした。結婚の事など、考えたことがなかったのだ。
おおっと危ない。珍妙な生物ばかりではいけない。素敵な配偶者を誕生させねば!

「進化様は、『宇宙の本棚(新都社)』の書物をお読みになって、その登場人物を生み出す事も可能でしょう。
意中の方がいらっしゃれば、その方とご結婚する事も可能かと存じます。
もちろん、進化様が生み出された生物たちが進化した後、素晴らしい殿方になることも考えられます。
どちらにせよ、進化様が出会われた一番素敵な方とご結婚なされるとよろしいかと。」

世界は広い。今飛んでいる辺りには、まだ生命は生まれていない。

「何千年、何万年かかっても構わないのでございます。最愛の方をお見つけください。
その方が見つかるまで、進化様にお使えするのが私の使命にございます。」

     


     

あっというまに世界を回った後、竜は元居た草原に降り立った。
朝日が昇り、世界を照らしている。
帰る途中、進化は眠りについていた。
マナみは進化を起こさないよう、そっと変形する。
御河童形態に戻ったマナみは、いつも通りかっこ悪い姿だったが、目には使命の光が宿っていた。

「そして私のもうひとつの使命は……いずれ必ずやってくる、『宇宙からの驚異』から進化様をお守りすること……
たとえ、この命に代えてでも……!」

その時、どこかから声が聞こえた。
「お兄さんのお年玉なら触っていいよ。2つ。欲しいならあげるよ。」
「キェェェェェ―――――――――――!!!!!!」
マナみは奇声を発しながら、両腕をぶんぶん振り回し怪しい声をかき消した。

小鳥はさえずり、象は筋トレをし、猫は朝からセックスをしていた。

       

表紙

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