Neetel Inside ニートノベル
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奇才気取りの豚
青空を見に行こう

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 何故だか分からないが、心に靄がある。

 どうしてこのような心持になるのか考えるのを、僕は2ヶ月程前にやめた。どうせ原因など無いのだ。それならばこの現象の解決策を考える事にしよう。

 こんな時は誰かと会話でもすれば落ち着くだろうか、と携帯を手にしてみたが電源が切れていたので止める。思えば誰かと話すなんて煩わしいだけじゃないか。さっきから部屋の隅にいる死骸だと思っていた猫が「怖いだけだろ」と独りごちる。

 いつからか無関心な人間になっていた。窓も通気口もないこの部屋にいつからいただろうかと考えて、自分が何歳なのかさえ覚えていないことに気がつく。

 いつの頃か、僕にも夢があった。あの時は確かに未来に希望を持っていた。漠然と夢は叶うと疑わず、空を見上げて欠伸ばかりしていた。

 そうだ 青空を見に行こう

 もう昔のような夢はなく、希望も持てないかもしれない。あの頃の自分も景色も、もう何処にも無いのだ。

 でも、昔は見えなかった景色がそこには広がっているのではないだろうか、あの頃では想像も出来ない感情が見つかるのではないか。一枚扉の先に行くだけで、何か変わるかもしれない。そんな小さな期待に心が弾む。僕はそっと微笑みながら立ち上がった。
 こんな単純なことでよかったんだ。

 玄関に向かうと靴が片方しか無いのに気づき、部屋を出るのを止めた。

       

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