今から遠くない未来。
人類は自らの弱点を補完するために人型ロボットを作り、これを支給している。
受給にはいろいろ条件がある。
その1、年齢が16歳以上であること。
そして今日、俺は16になった、待ちに待った誕生日。
朝から役所に申請にいってきた。
昼ごろには来ると言っていたが。
ピンポーン、ベルが鳴る。
「はーい」
すぐにドアまで走り、鍵を開けてドアを開く。
「こんにちはーす、バディドールを連れてきましたーす」
と、若い男の隣には今朝申請してきたバディドールが。
見た目は完全に女の子、実にけしからん。
「じゃー、ここにサインか印鑑お願いしまーす」
早くお前は帰れと言わんばかりに印鑑を押す。
「あっしたー」
そういって彼は去った。
残されたバディドールは無言のまま。
「えっと......とりあえずウチに上がって」
「はい」
ここでようやく声が聞けた。
随分と良い声だ、まるで春のそよ風のような。
「ささ、入って、今は親も丁度いないし」
「はい」
しかし容姿もやはり端麗だ、美しい黒髪はとても艶やかで、肌もつるつる。
ただ、さっきから全然喋らない。
「あのー、これからよろしくね、俺の名前は佐村 大五郎」
「はい、よろしくお願いしますね大五郎様。 私の名前は大五郎様がお決めになってください」
なんと、そんなシステムなのか、困ったな、何も考えていない。
早いところ決めておいた方がいいだろうしなあ。まあ適当にそれっぽいのでいいか。
「よーし、決めた、お前の名前は楓だ」
我ながら良いセンスではないだろうか。
「はい、ありがとうございます。」
うん、良い子っぽい。
そういえば、バディドールは俺の弱点を補完してくれるんだっけ。
俺の弱点......いったいなんだ。
「なあ、俺の弱点ってなんなんだ」
「大五郎様の弱点は政府によるデータによると、管理能力のようです」
うーん、確かに管理能力はないな。
pcのフォルダとかも何が何処にあるか分からないし、部屋も大体散らかってるしなぁ。
やはり政府は俺の幼少期からのデータを分析してるだけあって的確だな。
「なので、私は大五郎様の身の回りの管理をさせていただきますね」
でゅふふ、こんな可愛い子に管理されるのか、バディドール最高だな。
「よ、よろしく頼む」
しかしこの固い言葉使いはちょっと調子狂うな。
「はい」