入水願い
春の陽射 光の乱反射
ごつごつする石の上
風は短くなった髪を揺らさず
まるで何事もなかったよう
痺れた心の奥側は
風が吹き込んでも
光が差し込んでも
それらとどまることなく過ぎてゆく
初めから何もなかったよう
たとえ鴨川に身を沈めても
溺れ死ぬことなく
ただこの服濡れるだけ
死の香りを想起する
それは生まれた時嗅いだ
母の匂いとよく似ていて
居た堪れなく空を見やる
ここにいてもいいでしょう
柳の葉がさやさや揺れる
ここにいてもいいですか
柳の葉がさやさや揺れた