ヴァンパイアと( ・∀・)(モララー)
プロローグ
西暦2300年8月、ホライゾン王国――。
冷ややかな風が肌をくすぐるこの季節。
草原の草は風に揺られて舞い、所々に根を張っている木々たちは葉を落としていく……。
――この草原の中央に聳え立つ古城「VIP城」
多くの血痕が付着している城壁、何かを隔離しているかのように無機的な舎。
その全てが相まって、厳粛な雰囲気を醸し出している。
ホライゾン王国の国民達はこの城のことを「吸血鬼の巣」とも言った。
城内には人間の生き血を啜る吸血鬼(ヴァンパイア)が存在し、昼になるまでその城でじっとしている。
そして夜になると、漆黒の翼を羽ばたかせホライゾン王国の深い闇へと消えていく……。
と人々は考えていたのだ。
それはあながち間違いでは無かった。
確かにこの城の中にはヴァンパイアがいる、数百人はね……。