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学者が助走をつけて殴るレベルの「古事記」
第三章「三兄弟編-アマテラスの場合」‐その2

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 アマテラスとの誓約で正しさを証明した(と、本人が勝手にそう思っている)スサノオは、「成し遂げたぜ。」とか言って調子こきました。そして、好き放題やらかします。
 つまり、イタズラをしまくりました。どのようなイタズラかと言うと、アマテラスが一生懸命作った田んぼをブッ壊したり、アマテラスを祭る祭殿にウ○コしたりと、それはそれは酷いイタズラでした。
 流石に見ていられなくなったアマテラスの部下達は、アマテラスにその事実を説明します。しかし、肝心のアマテラスは、
「しょうがないなぁ、スーちゃんは。まぁ、田んぼはまた作り直せばいいし、祭殿にウ○コも、酔っぱらったりなんかしてたんじゃない? あの子そういう所あるから、許してあげてね」
 と、寛容だか呑気だかわからない返事を返して、スサノオを咎めようとはしませんでした。スサノオはシスコンですが、アマテラスはブラコンでした。
 しかしスサノオは、アマテラスの寛容な言葉を受けて、反省するどころか「やったぜ。」とか言って調子に乗り、より一層酷いイタズラをします。
 しかし、今度のイタズラは、流石に度が過ぎていました。何と、馬の皮を逆から剥ぎ取り、アマテラスの神衣を折っている機織小屋の天井に穴を空けて、そこから馬の死体をドーン! と落としたのです。当然、そこでギッコンバッタンとアマテラスの神衣を織っていた神様は驚きます。
「いや、そんな! この馬の死体は何だ! 屋根に! 屋根に!」
 SAN値が0になった神様は、横糸を通す棒で自身の陰部を突き刺し、絶命してしまいました。
 これには流石のアマテラスも「神が死んでんねんで!?」と激怒しました。必ず、かの邪智暴虐の弟を何とかせねばならぬと決意した。
 しかし、この時アマテラスが決断した事は、何故か自分が洞窟の中にひきこもる、という手段でした。
「スーの馬鹿! もう知らない!」
 そう言って、アマテラスは洞窟の中にひきこもりました。このアマテラスがひきこもった岩の洞窟を、天岩屋戸(あまのいわやと)と言います。
 当然、お昼を治めていたアマテラスが仕事を放棄してひきこもってしまったのですから、お昼の世界からは光が消え失せてしまいます。お昼なのに夜よりも暗い日々が続き、流石に「これはアカンやつや」と考えた神々は、何とかしてアマテラスを引き摺り出そうと考えました。

 神々は、思金神(おもいかねのかみ 以下:オモイカネ)と呼ばれる神様に相談しに行きます。このオモイカネは、いちば~ん最初に出て来て、そのまま何もせずにどっか行った神様のうち一人の、タガアリの子供です。イザナギ・イザナミの叔父さんとか従兄弟とかそんな感じの立ち位置です。結構偉くて頭のいい神様でした。
「オモイカネ様! アマテラス様がひきこもりになってしまいました!」
「私にいい考えがある」
 そう言って、オモイカネ司令官は神々に命令をします。
 まずオモイカネは、アマテラスが可愛がっていた鶏をコケコッコーと鳴かせました。
 次に、祭りを催す事にします。そして、その祭りに必要な道具を作らせました。その道具とは、八尺勾玉(やさかのまがたま)と呼ばれる勾玉と、八咫鏡(やたのかがみ)と呼ばれる鏡です。
 そして神々は、いよいよアマテラスがひきこもっている天岩屋戸の前で、盛大に祭りを始めます。八尺勾玉と八咫鏡を榊の枝にぶら下げて、ドンチャンヤンヤヤンヤと騒ぎ始めます。
 いきなり外が騒がしくなったのを聞いて、アマテラスは「何だ何だ?」と外に耳を傾けました。そこでは、みんなが、楽しそうに祭りを催している音が聞こえます。
「あっ、楽しそう! いいなぁ~! ……で、でも、そんな餌になんか釣られないんだからねっ!」
 そう言って、プイと顔を背けるアマテラス。オモイカネは、「もうひと押し必要だな」と考え、天宇受賣命(あめのうずめのみこと 以下:アメノウズメ)をちょいちょいと呼びました。
「どうしたんですか、オモイカネ様?」
「アメノウズメちゃん、服を脱ぎなさい」
「おk把握」
 アメノウズメが服を脱ぎ、桶を踏み鳴らしました。要するに、ストリップショーをしました。
「何で脱ぐんだよw」
「お前、サルタヒコはこの仕事をどう思っとんねん……」
 アメノウズメの脱ぎっぷりを見た神々は、どっと笑います。その笑い声に、天岩屋戸にひきこもっていたアマテラスが敏感に反応します。そして、遂に我慢出来ずに、ちらりと岩の隙間から外を覗きます。
「あっ! アメノウズメちゃんが脱いではる! 何だこれは、たまげたなぁ……」
 脱ぐとか変顔とか、普段はそんなキャラじゃないアメノウズメの行動を見て、アマテラスは仰天しました。そして、たまたま近くにいた神様の一人をちょいちょいと手招きをして、ひそひそと事情を尋ねます。
「何でアメノウズメちゃん脱いでんの? っていうか、これは何の祭りなの?」
「アマテラス様がひきこもっちゃったんで、新しいお昼の神様を連れて来たんすよ。これは、それの歓迎会っす」
「えっ、何それは……。で、でもでも! 新しいお昼の神様って言っても、私くらい輝いてるの? 私の方が輝いてない? ほら、ほ~ら?」
 焦ったアマテラスは、それはもうビッカビッカと光を放ち、自分の昼子力(笑)をアピールします。
(今です!)
 オモイカネが、あらかじめ用意しておいた八咫鏡をアマテラスに向けました。すると八咫鏡は、アマテラスの輝きを反射して、同じようにビッカビッカと輝きを放ちます。
 当然、そこに鏡があるなんて事は、アマテラスは知りません。結果、アマテラスは、本当に自分と同じくらい輝いている神様がそこにいるんだと、誤解をしてしまいました。
「うわ~ん、ごめんなさ~い! もう出て来るから見捨てないで~!」
 焦ったアマテラスが、遂に岩をゴゴゴ、と開きます。そのタイミングを見計らって、あらかじめ岩の影に隠れていた神様一の力持ちである天手力男神(あめのたぢからおのかみ 以下:アメノタヂカラ)が、アマテラスを引き摺り出しました。
「よく開けてくれた 残念だが代わりの神様など、はじめからいない だまして悪いが、作戦なんでな 出て来てもらおう」
 すっかり騙されたアマテラス。これには流石に苦笑い。
「おい、アマテラス! お前さっき、俺らが騒いでるのをチラチラ見てただろ」
「いや、見てないですよ」
「嘘つけ絶対見てたゾ」
「何で見る必要なんかあるんですか(焼きもち)」
「あっ、お前さアマテラスさ。さっきせ……説明した時さ、速攻でアピールしてたよな?」
「そうだよ(便乗)」
「い、いや、そんな事……」
「(昼の世界を)治めたけりゃ治めさせてやるよ!(震え声)」
 すっかり気をよくしたアマテラスは、コホンと一つ咳払い。
「それじゃあ、出て来てやるか。しょうがねぇなぁ(悟空)」
 こうしてこの事件は、誰も赤っ恥をかく事なく、円満に解決しました。後にこの一連の事件は、「岩戸隠れの伝説」と呼ばれる事になります。

       

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