豆知識その十一「『浮気は文化だ』が通用するのは神話の世界だけ」
まるで息を吸うように浮気をする男神達ですが、これは日本でも実際に上流階級限定で行われていたものです。「側室制度」と言って、平たく言えば「優秀な遺伝子は出来るだけ沢山残すべきだ」という思想だと思います。つまり、浮気が法律的に義務付けられていたんですね。凄い時代があったものです。
今回のオオクニヌシの場合で言えば、スセリビメが本室、そしてその他の女神達が側室となります。そして、本室と側室とでは、絶対的な権力の差がありました。側室と言えば聞こえはいいものの、その実態は、ただの使用人と変わらない権力だったのです。
それだけに、この本室を争って、女達はドン引きするような争いをしていたと聞きます。「大奥」って作品がありますけど、あれなんかはそうらしいですね。残念ながら観た事はないのですけれども。
ただこれ、民法の制定により、制度的には消滅しました。制度的には、です。現代においても、「愛人」という形で残っているのが現実ですね。社長愛人とか組長愛人とか、そんな感じで。
だからと言って、「じゃあ浮気は仕方ないのか」と言われれば、そんな事はありません。倫理的においても勿論ですが、法としても定められているからです。倫理はともかく、昔とは真逆の制度になっているのは、ちょっと興味深い事です。
それに案外、このオオクニヌシも、本当は「私はスセリビメと仲良く出来ればいいし、もう誰とも結婚しなくてもいいのにな」って思っていたのかもしれません。でも、法だから、それに従わざるを得ない、と。
とはいえ、今となってはもう真実は闇の中です。我々は我々で、我々の時代にあったやり方でやっていけばいいのかな、と思う今日この頃でした。
……と、以前この話を友人にしました所、
「じゃあ、俺は優秀だから浮気していいんだ!」と、アホみたいな勘違いをして、友人は浮気をしました。で、本命の彼女に振られました。
その後、「お前のせいで振られただろ!」と、ちょっとよくわからない事を言われ、仕方なく一杯奢ったのは記憶に新しいです。
何が凄いって、これがノンフィクションな所です。読者の皆さんは、身の程をよく弁えて、一つの家庭や恋人、奥さんを大事にしましょうね。