Neetel Inside ニートノベル
表紙

俺たちフー族! イクぞ鬼頭君!
カミングアウト!編

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「へぇ、鬼頭君風俗デビューしてたんだ」
「まぁ、その、そんな感じです」
   ここはどこにでもある飲み屋さん。よく仲の良い先輩と飲むときに使ってる。季節も冬から春へ、そこから夏と来たもんだから時の流れは早い。
   今俺と話しているのは上司、というか仕事の先輩の黒崎さん。男の俺から見ても結構さわかやイケメン系の人で、世間で言うリア充かつできる男オーラを醸し出しているのだが、「なんなら俺も誘ってよ、いろんなところに連れてってあげてもよかったのに」
  ……黒崎さん、結構性欲オバケなところがあって自称彼女持ちなのだが、『彼女とのsexと風俗嬢とのsexは別腹!』 とか言って度々夜の町に繰り出している。というのを去年の冬あたり、俺が風俗デビューする一週間前に二人で飲んだときに聞いた。そのときは風俗に通ってたこともそうだが、その限りない性欲にかなり引いた思い出があるのだが今となってはこれが普通なのかな?と思ってしまう。それくらい今の俺は黒崎さんと変わらない。彼女がいないことを除いて。
「で、感想はどうだった?」
ことの発端は二人で飲んだときに黒崎さんが、俺が童貞歴=彼女いない歴=年齢ということに突っ込み、風俗行きを勧めたのが始まりだった。そのときに風俗の素晴らしさとか、気持ちよさ?を熱弁していたのだが、そのときはただ、ドン引きしていたのを覚えている。
「まぁ、よかったっス」
  素直な感想だ。でなければ安月給のなかで月1、2回の風俗通いを辞めない訳がない。
「でしょ?」
  黒崎さんは嬉しそうに続ける。
「いや、僕は愛した人としかそういうのはやりたくないです。とか言った時はなんだこいつ?と思ったよ。お前、この顔でなにいってんだ?って」
「ひどいですよ。その言い方」
   黒崎さんはかなり酔ってる。と言ってもこの発言は普通の人だったら即、心が傷つくのと、黒崎さんに対する印象は間違いなく良いものにはならないだろう。それくらい黒崎さんはナチュラル畜生で、腹に黒いものをいっぱい溜め込んでいる。普段はみんなに優しく、部下のミスをフォローしてくれるいい人なのだが、酔っぱらうと油田の如く黒いものがドバドバ溢れ出してくる。
「まぁまぁ、俺と鬼頭君のなかじゃん」
    そもそも冬に黒崎さんと二人っきりで飲んだきっかけは、仕事を辞めるか相談したことからだった。その時にとりあえず一緒に飲もうとなったのが始まりで、それからはちょくちょく二人で飲んでいる。

    仕事の話と最近の出来事(と、言っても風俗の話ばっかりなのだが)をしゃべっているうちに結構遅い時間になってしまった。明日は休みなのだが流石にそろそろ帰りたい。黒崎さんは時計を確認すると、「そろそろ帰るか」と言ってきた。 会計を済ませ店を出る。
「じゃあ気をつけて帰れよ」
黒崎さんとそして楽しかった夜に別れる。

       

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