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★文芸・ニノベ作品感想★
10月15日文芸作品感想

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★10月15日更新文芸作品感想

ニノベでは11作品、15作品と更新を合わせてこられる方が多かったのですが、文芸は3作品にとどまりました。
作家の層・性質が結構違うのかな?
まぁ、元から文芸は更新数少ないですし、ニノベが異常なだけなのかもw
これならまだ今のペースは余裕で保てるでしょうね。
ちなみに次回は10月23日更新の文芸作品の感想を書きます。
今回は物足らなかったので、もう少し多めに更新があるのを期待しています。

今回は以下の作品感想を書きます。


「文学賞のための練習帳」
「職責」
「サイ・ヤングの速さはどれくらい」

     

「文学賞のための練習帳」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=12886




作者はいしまつ先生。
先日、編集部の文芸レビュースレでも感想を依頼されていた方ですね。
プロ小説家を目指しておられるようです。
星新一賞に投稿されていたぐらいですから、SF小説がお好きなようで。
私のようなアマチュアが、好き勝手感想を書き散らして良いものか分かりませんが、読者としての感想を書きます。

■SF短編「失認」
終始、医者と患者の対話だけ。
地の文は患者の台詞。
()でくくられた文は医者の台詞と心情で、患者を客観的に観察している。
つまり二人称小説ですよね? 珍しい。
二人称小説は書くのが難しいと思うのですが、最後までスムーズに読めました。
自然に小説内の世界に入り込むことができた。
読者は医者の視点となり、患者からの語りかけを感じられる。
途中に出てきた光の粒子の話は、参考文献から抜き出したものそのままって感じで、ちょっと理科や物理は苦手とする私には難解だった…。
説明口調すぎましたね~。
でもそこはSF短編と言いつつ重要ではないというか。
藤子不二夫のSF「すこし・ふしぎ」なレベルだと思ったので流して読みました。
主題は、事故にあって認識がおかしくなったという患者の話。
その為に、患者が暴力的な言葉遣いをしたりと情緒不安定。
医者は客観的にそれを観察しているが…。
おかしいのは本当に患者の認識の方なのか、それとも…。
まぁ、オチは何となく途中で察しがつくかもしれません。
少し不思議な世界の話。
大変面白かったです。
是非、皆さんも読みましょう。
普段文芸を余り読まない人でも簡単に読める文章量ですから、変わった小説を読みたい人にもおすすめです。
あと、瑣末な事ですが、脱字が一箇所ありました。

>彼は他にも様々な例をまく立てた。

恐らく「まくし立てた」だと思われます。
また文芸賞に投稿するおつもりでしたら、結構そのあたりチェック厳しそうですし、習作であるなら推敲は厳密に必要かと。
新都社向けというか、書き殴りであれば適当でいいでしょうけど。


■ショートショート:「死後は平等に」

ショートショートだから当然ですが非常にあっさりしてます。
まぁ、世界で70億も人間がいる中、日本に生まれたというだけでイージーモードなのは否めませんよね。
しかしこれではどの国に生まれたかというだけで死後の行き先がほぼ決まってしまいます。
生前の行いによって天国・地獄どちらに行くか決められるという形でないと、どの宗教も商売上がったりでしょうw
まぁ、面白かったです。
ただ私は、よっぽどつまらなかった物以外は、「面白かった」と平等に言ってるところもありますがw


■叙述トリック練習:「真夜中の虹」

叙述トリック練習と言われては、最初から疑ってかかって読まざるを得ないw
しかしここは素直に読んでみましょう。
最後にどういう引っ掛けが隠されているのだろうか…?
「失認」を先に読んでいたので、いしまつ先生がこの手法を好んでらっしゃるのは既知の通り。
能天気で甲斐性なしに見える恭哉。
その恋人で、恭哉のアホっぽさにうんざりしているように見える純。
純は恭哉の言動にイライラさせられ続け、多分別れを切り出そうとしているのかな?
そう読者は思わされます。
でも実は…という落ちですね。
都会では見えるはずのなかった虹が…。
おお、涙なくしては…。
中々良くできた落ちでした。
これ以上はネタバレになるので実際に皆さんも読んでみて欲しい。
面白いですから。
…ミスリードしてませんよ?


■気晴らし:「8月の幸せな呪い」

振られても振られても愛する事を辞められない男の話。
奇遇ですね。
私も似たところがあります。
書いても書いても反応がもらえない。
それでも書くことが辞められない。
良い反応を貰えることを期待してはいますが、それ以上に書くことが好きなんだと思います。
いしまつ先生もきっとそうなんでしょうね。


■安部公房風:「巨人の手のひら」

勉強不足ですみません。安部公房を私は読んだ事がないのです。
その上でこちらの短編の感想を書きたいと思います。
アスファルトから突き出た巨人の手のひらの描写は迫力ありました。
主人公の緊張も伝わってきます。
ブラック会社で働いている主人公の疲労感も。
上司のうざさも。
一つ一つの描写が良く書けているだけに、救いようのない結末に後味の悪さもひとしおですね…。
ブラック会社で働くという事は、「進撃の巨人」の世界で調査兵団に入るようなもんです。
みんなリヴァイのように強くはないのに。
安部公房は知りませんが、世にも奇妙な物語風だなと感じました。


■気晴らし2:「透明交差点」

これ、ボカロ小説というんですか?
初音ミクや歌い手(笑)かぁ…昔はそうでもなかったけど、最近は苦手かな。
私はずーっと店事務所で仕事しつつ、漫画や小説を書いたり読んだりしています。
その間、ずっとBGM流しているけど、アニソンでも作業の邪魔にはなりませんが、ボカロは受け付けない。
何でだろうね、きゃりーぱみゅぱみゅ、パフュームはいけるけど、初音ミクだけは本当無理。
私みたいな人は一定数いると思う。
で、こういう歌詞みたいな小説も、好きな人は好きなんでしょうけど私はちょっと苦手です。
割と雑食な方なんですが、目が滑ってしょうがない。
一応、最後まで流し読みしました。
結局、「わたし」はかつての彼氏が思い出す彼女と過ごした記憶なんですね。
でも分かり辛い。
抽象的な表現が続きますし、初音ミクのボカロ動画を聞きながら流し読みするべきなのかも。
こういうジャンルは馴染みがないので、何とも感想は述べにくいです。
すみません。


■アクション練習:「虚ろの剣」

最近、時代劇や西部劇は好きなジャンルです。
どうでもいいのですが、時代劇は文芸という風潮がありますよね。
別にニノベでも時代劇やっていいと思いますが…。
やはりニノベは中高生向け、文芸は中高年向けなのか!?
さて、今作ですが…。
緊張感のある決闘でした。
少年剣客と柿崎呑雲。
短編ながら、呑雲の輝かしい過去と未来、細君とのエピソードが語られ、無常にもそれが打ち砕かれていく。
容赦の無い結末。
新都社漫画では「蠱毒丸地獄変」がサイコーに面白いのですが、それっぽい感じ。
こういうシリアスなのは需要はあんまりないのかもしれません。
時代劇ってテレビでも全然やらなくなりましたしね。
不遇の時代です。
ただ、私は好きです。
シンプルな筋書きでしたが文句なしに面白かったです。


■投稿作品リライト:Error Code -眩暈-

文芸レビュースレでレビュー依頼されていた作品ですね。
リライト前のは読まず、こちらだけ読んでみました。
主人公は63歳の女性。
認知症となった母親を見て、自身も認知症になる事を恐れ、脳に電極をぶっ刺す「DBAG……脳深部刺激調整装置」の手術を受ける。
以前よりも若返ったかのようになるが、今の自分は果たして以前の自分と同じなのか?…機械に操られているだけなのではないか?…と、疑いだしてしまう。
DBAGの設定が良くできているし、そのDBGAが作動する眩暈のタイミングも効果的に織り交ぜられていて、どきどきしながら読みました。
うん、いしまつ先生の本気が見えます。
レビュースレでは分かり辛いといわれているところ。
確かに序盤では63歳の女性が主人公とは分かり辛いかも?
まぁ、一人称は元々そういうものですが、それより63歳っぽさは余り感じられないのがモヤモヤしました。
一般的には63歳の女性の心理なんて中々分からないですしね、読者に感情移入させるのも難しいでしょう。
私のおかんが62歳なんで、私は割りと想像しやすかったですけど、おかんで再生して読むのはきつかった…。
あと気になったのは、時代は近未来のようですが、そのDBAGに関する事以外は未来要素はないなーと。
短編だからしょうがないですけど、映画のトータルリコール(最初はそれをイメージした)みたいに火星に行ってアクションしてキスで終わるとか。
まぁ、そこまでは必要ないですけど、そんなエンタメ性が多少は欲しかったかもしれません。
主人公が29歳の息子の方ならそういう展開も期待できましたけど、63歳だとそれは無理だと最初から分かっちゃいますしね。
そこは認知症がテーマだったとしても、何らか理由つけて29歳の息子を主人公にする事も可能だったと思うんです。
それならもっと読みやすくできたかと思います。
63歳女性を主人公にしたり、DBGAに関する描写など、挑戦的な試みがされているだけに惜しいなぁと思いました。

さて、いしまつ先生の作品は、どれもプロを目指されてるだけあって基本的に面白い。
読んで損はないと思います。
「失認」が短く読みやすく面白いし、未読の方はそれから読むと良いかも。
次いで「真夜中の虹」あたりがおすすめ。
今後の作品も期待を込めて読みたいところです。
いや~超上から目線ですみません。

     

「職責」
neetsha.jp/inside/comic.php?id=16981




読切です。作者はノンストップ奴先生。
ニノベでフーゾク体験記、異世界転生ハーレム物などを書いてらっしゃいますから、すっかりそういうイメージが先行しておりますが(笑)
実は先日、「バイバイ母ちゃん」というかなり重い文芸小説(読切)も書いてらっしゃいました。
自殺してしまった友人とその家族に関する話ですね。
先生のブログでもありましたがあれも実体験を元にして書かれていたようで、作中の文太と同じく、「何も言えねぇ…」となる内容でした。
まぁ、流石に今回の作品はフィクションでしょうけど、実際にありそうな医療・倫理問題についてでしたね。
癌手術を何度も繰り返している患者と、患者の父親であり手術の執刀を行う医者。
痛みに耐えかね殺してくれと懇願する息子だが、父親はそれでも淡々と手術を成功させていき…。
安楽死が認められていない日本において、医者の父親は職責を果たしていく。
何とも重い、重すぎます。
殆どの読者は「何も言えねぇ…」となっちゃいますね。
でもそれだけじゃ感想とは言えないので、私も私の名誉の為、職責を果たしたいと思います。
まず、文章について。
読み進めばすぐ分かりますが、冒頭部分で「誰が息子の手術を執刀したのか?」というのが分かり辛かったんですよね。
だって手術の執刀をしたという父親が、手術の成功を助手に尋ねていますから。
お前が執刀したのに知らないのか?って思っちゃいました。
ただその後の様子から、「息子の命に関する事を他人事のように語る父親」というキャラクターが描写されているので、効果的で良かったと思います。
あと全体としては、ちょっと単調かな?
例えばフーゾク体験記でもそうなんですが、「風俗行きました。気持ちよかったです!」だけなんです。
こちらも「医者の父親が患者の息子の体を切り刻んだ。父親は職責を果たして名誉を守った。今後も求められる職責を果たしていく」と、それだけで終わっている。
「安楽死」とか「職責」といった問題に対し、ノンストップ奴先生の考えが余り見えないんですね。
ど真ん中ストレートを豪速球で投げるのも良いとは思いますが、それだけのピッチャーに面白みはありません。
落ちたり曲がったりと変化球が欲しい。
作者が何かを考えながら投げてくれないと、読者も考えられないんです。
小説は読者とのキャッチボールでもありますし、これだと壁に投げつけているのと同じになっちゃいます。
ただ、別にこのままでも、私みたいに勝手に考えてくれる読者は良い反応をしてくれると思います。
ノンストップ奴先生が気持ち良く投げたいだけなら今のままでも良いでしょう。
でももう少し広い読者からの反応が欲しければ、考えて投げて欲しいところです。
またまた上から目線ですみません。

     

「サイ・ヤングの速さはどれくらい」
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=16984



作者はムラサ先生。
「MTGについて少し話そうと思う」を書いておられる方ですね。
私はMTG知らないので読んでいませんでしたが、結構コメントついているなぁという印象でした。しっかり完結していますしね。
さて今回、初めてムラサ先生の作品を読みます。
東京から田舎に転校してきた高校生一年生の男子・江内ちひろのゆるーい日常物。
アニメの「のんのんびより」を思い出しました。
それぐらいゆったりとした田舎ライフが描写されていきます。
身長182cmで大食らい、眼鏡をかけた草食男子に見えるが体つきは良い。
となれば、同級生で色んな運動部のマネージャーをしている弓原なぎさは強引で、執拗に勧誘してくるのだった。
バスケ、サッカー、野球、テニスと体験していくが、ちひろはどれもピンと来ない。
わざとやっているんじゃないかというぐらい、とぼけたプレイしかしないのだ。
そしてちひろは、田舎に着いたばかりの時に、スケッチをしていた可憐な美少女の事が気になっていた。
高校に美術部はないが中学にはあるらしい。
中学の美術部ではあの美少女がお着替え中で下着姿を目撃してしまう。
美少女すみれは中学上がりたての一年生、でもちょっと大人びてしっかりした少女。
で、ちひろは美術部に入ることを固く決意してなぎさの勧誘を断る。
念願かなって中学の美術部に入り浸るロリコン眼鏡。
でも中学のグラウンドを歩いて、中学野球部と少し交流した為に、野球経験者である事がばれてしまう。
高校でまたなぎさに野球部に入れと激しく誘われる。
でも変態ロリコン眼鏡は中学美術部に入り浸ることを選択するのであった。
というところまで読みました。
う~ん、長かった。
全体としては田舎の描写が大変良かったです。
田舎あるあるネタが山程ありまして和みました。
でもタイトルからして野球もする事になるのかな?
テーマ的にはタッチみたいな感じで、野球は背景の一つで結局は恋愛物になるかも?
軟式だし「甲子園は行けない」という台詞がたびたび出ていましたしね。
前編を読んだ限りでは、ムラサ先生が何をテーマにしたいのかは分かりませんでした。
田舎のゆるゆる日常ライフを書きたいだけ?
いや、全然それでいいと思います。
「のんのんびより」みたいな世界観を書きたいだけならそれはそれで成功してる。
寝る前に読みましたが安心する世界観でリラックスできたし、心地よく眠れそうです。
後編はどうなるのか分かりませんが楽しみにしています。
あと、どことは言いませんが誤字脱字は少しだけありました。
余り気にする程度じゃありませんが。

       

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