Neetel Inside 文芸新都
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書き散らし駄文録
侵食

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不恰好なカンバンで侵食されたビル

つい最近までここらは俗に言う田舎だった。
それが侵食されていき
今はコンクリートとセメントと、鉄のカンバンがごっちゃごっちゃに混ざっている
今ではここはとんでもなく醜悪な場所だった。

緑を大切に、バカみたいにお行儀よく並べられた植木の根は
育ちすぎないように、切り取られているらしい
バカな話もあったもんだ。
結局自己満足として木を「配置」しているだけじゃないか

「ふぅ。」

一つ大きなため息をついた。
胸一杯に息を吸い込めば、何かむせてしまいそうな気がする
勿論、そんなことはないと思うのだが
それをやる勇気がなかなかでなかった。

そして、そんなことはたいしたことでもない。
無視すればいいという結論に至った俺は。

当てもなく歩き始めた。


春、花粉症の季節だ。

杉の花粉が花をムズムズさせ、くしゃみなどを起こす
今ではかなり一般的なものだが
これも最近起こり始めたものだ。

少し前まで、なんで杉を植えるんだ?と思っていたが
なんとまぁ、その理由も人間本位なものだった。
杉は実をつけないし、殺菌効果もあるので

生き物が住めないのだ。

更に花粉症という弊害も引き起こして。
もしかしたら、杉を植林しまくったせいで
住み場を無くした動物たちの恨みではなかろうか
それは少し、非現実的かもしれない。


100m歩けば、必ずコンビニのカンバンが目に入る
24時間常に電気はついたまま
その光には誘蛾灯に群がる虫のように
今日も若者が集まる。

昼夜逆転でもしてるんだろうか?

彼らはとにかく旺盛だ。
することといったら

ダベるか
誰かをバカにするか
カツアゲして遊びにいくか。
そして女とヤるかだ。

全く動物そのもの、なんの役にも立たないじゃないか

しかし、よく考えれば、自然の動物は基本的に愛玩し
そして保護するものとなっている
彼らも保護すべきものなのだな、と思った


そこを通り過ぎると、少し大きな公園へと出た
そこにはダンボールハウスが置いてある
ホームレスたちだ。

彼らは夢破れ、そこにおいやられた社会の弱者
そういうことらしい。
リストラされて、誰にも頼ることができなかったんだろうか
もっとスキルを磨いていれば
そんなことにもならなかったんじゃないか?

鼻で笑うと、彼らは露骨に嫌そうな顔をする。
当然だろう、笑われたのだから。
ククク、と小さな笑い声を上げ、そこから立ち去る



車がゴゥンゴゥンとうなりを立てて通り過ぎる歩道を歩くと
ちょうど小学生たちが歩いてくる。
下校時間なのだな。

無邪気な子供たちを見ると、少し救われる気がした。
が、女の子と男の子が取っ組み合いをしている現場に遭遇した。

少しだけ嫌な気分になったが、ケンカぐらいは誰でもする


「それ以上するとヤバイって!」

道の向こうから、小学生の男の子特有の高い声がした。
見れば、女の子が二人、絵の具ケースを蹴っている
明らかに、彼らのものではない。

「イジメ、か。」

少し深いな気分になりながら、注意することもなく
そこから去っていった。



「どこやったのー?!」

「後ろにあるじゃん!」

更に3分も歩くと、またそのような光景に出くわした。
嫌だ嫌だ。



「あはははは!」

またさらに歩けば、女の子が3人
ピンク色の袋を蹴っていた。

やはり、イジメだ。

俺は一瞬でも子供を無邪気だと思ったことを恥じ。
また淡々と歩き出した。




病院。

これが今日の目的地だった。
そう、俺は薬を処方してもらえなければ生きていけない
そして、定期的な検査も必要だった。

「はい、お待ちくださいね。」

受付で保険証をわたし、待合室で自分の番まで待つ
待合室はジジババで一杯だ。

ほどなくして、自分の番になった。



「問題ないですね、経過をみましょう。」

「ありがとうございます。」

たった数分のやりとりで、こいつは何千円も儲けている。
俺は高い金を支払い、命を永らえさせるためのクスリを買った

きっと俺は、少し前の時代なら生きては居なかっただろう。
それに対して、感謝すべきかしないべきかは
少し迷うところだったが。


俺は少し咳払いをし。

病院の前の坂をゆっくり下っていった。

       

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