潮の香は全国共通ではないと遠恋中に知ったのでした
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駅弁やカメラや風呂を言い訳に何をしにきた十月の海
海鳴りと同じくらいの静寂が潮と血潮の境界上で
枯れ枝を引いて波打ち際を征く ちびが制定する新地平
貝殻を散々積んで蹴り散らすちびの提唱する新貨幣
眩しいとくしゃみがでるのは仕方ないし僕らの事も仕方なかった
木犀の香りが満ちていたことも一週間でひとは忘れる
午後の海は光の粒を撒き散らしちびは星屑のように飛び去る
引力が全部悪いと言えたなら 波も言葉も靴の中の砂
海水に比べてお前はピュアだなと言われボトルの水はぬるまる
思い出の君は綺麗だ 逆光でも 僕の足がじゃりっじゃりでも
唐揚げが超走ってる、誇らしく短い尾を立て トイプーは良い
(いつもそう)肝心なとこは暈けたまま、全部茜に塗りつぶされる
最大の嘘は別れの時だった 僕は確かにまたねと言った
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夜空ハロー 霜月ハロー 恥ずかしい記憶よハロー 一杯やろう