Neetel Inside ニートノベル
表紙

流星群
空の上

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   先日戦闘大尉殿(とは言っても、俺と1つしか年が違わないのだが)が地上で休養されるという話があった。そこらのパイロットであれば替えが効くものの、彼女は単機で突撃して、宇宙人一個小隊をほぼ全滅させるほどの戦闘力だ。替えなんてそうそうに効かない。
  俺たちの戦闘の負担は増す一方だろう。実際の話、久しぶりに宇宙人によって新米パイロットと機体が宇宙の塵と化している。これも俺たちや大尉殿と年がそんなに離れていない子だった気もする。その戦闘にでていなかったのと、その子とは面識がなかったので、気の毒だったなとしか言えなかった。

  上官からは、大尉殿はメンタルをやられ地上に降りたと、それ以外はなにも聞かされなかった。
  大尉殿は人と仲良くできるような人ではなかった。戦うだけの人形と揶揄されることもあった。それを言っていたのが男であれば力でねじ伏せ、女であれば、あのつり目で威圧をしていた。その様子を遠巻きに見るのが俺の楽しみのひとつでもあった。

  大尉殿に思いを馳せてみる。そう、確かあれは一年前の出来事だ。俺がパイロットとなりしばらくした頃だ。あのときは戦う意味がわからなかった。思い入れもない青い星を守らされ、意味もわからずきつい訓練を受け、罵倒を受ける。生きて変えれば次の作戦に駆り出される。回りはその事に疑問を抱かなかった。いや、今思えば、そう思わないように教育されていたのだろう。
  あのとき大尉殿に……その時は少尉だったか?まぁ、それはどうでもいい、大尉殿に助けられていなければ俺はあの黒い空間に浮かぶ塵になっていただろう。なかば自分を殺してほしくて、自ら敵に近づき、なぎ倒していく。爆風のなか、口を大きく開く宇宙人と目が合う。口には光の粒子が見える。そこで俺の記憶は消えていた。意識を取り戻したのは、ジルヴァリオの医務室。背中に痛みを覚えた。どうやら意識を失ったまま大尉殿に背負い投げを決められたらしい。

  あのとき大尉殿は俺をどう思っていたのだろうか?ただの一兵卒としか見ていなかったのか?仲間として見てくれていたのか?今となってはわからない。
  ソファーにもたれ、目を閉じたった。部屋中に不愉快な警報音が鳴り響く。
「エマージェンシー、エマージェンシー、敵部隊進行中。部隊規模、一個師団。ジルヴァリオにいるパイロットは至急作戦室に集まるように。繰り返します……」
  一個師団……大尉殿がいなくなってからすぐこれか。部屋を飛び出し作戦室に滑り込む。司令官から概ねの作戦概要を聞かされ、すぐさま機体に乗り込む。恐らく俺は大尉殿のために戦っていたのかもしれない。少しでも近くに居たくて。これがどういう意味なのかはわからない。大尉殿はいつ帰ってくるかわからない。いや、帰ってくる前にこの、戦いを終わらせるのも一興だろう。青い星が、ジルヴァリオが後ろにある。守るべきもの、それがあるだけで俺は戦える。

       

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