おそらく初めましての方が多いと思うので、まずは自己紹介をさせていただきます。
文芸作家の七瀬楓です。
どういうの書いてるかわかんねえやつに感想を書かれたくないとか、読んでやりたいけど小説はちょっと、みたいな人は、コミックニートで連載中の『箱庭から見える空』を御覧ください。
では、さっそく感想を書いていきます。
■学園能力バトル『ロードスター』 しょりっく先生
異能力モノはたくさん書いてきましたが、能力を考えるのって、大変ですよね。あと、主人公の能力のバランス。この作品は、ボード・ロイターと西村猛のタブル主人公、ということになるのでしょうか。
個人的に、ロイターの能力はとても好きです。
指関節を摩擦することで、その回数により炎の大小や稼働範囲を操るというのは、汎用性に優れ、そこそこの強さがあり、かつ『回数の上下』というカウントで、どれだけの力を出しているかわかりやすい、というのが個人的にはうまいなと思いました。それで、相手の力がどれだけあるのか、どれだけの強者か、というのがわかりやすく演出できますからね。また、もうひとりの主人公である西村が謎に包まれており、現段階(28話)では、能力、出自、もう一人の西村猛などが主です。転校生対在校生の戦いという、一見してわかりにくい主軸に西村が絡むことで、読者の読むモチベーションが保たれているのではないかと。
能力のバリエーションが多く(戦隊の能力は面白いなーと思ったり)、また、この作品で推したいのは、戦う際に敵キャラがキチンと掘り下げられている点ですね。
戦いながら、なぜ政府に協力しているか、などがキチンと描写されています。
ニチハ・ローゼが『仕方ない』『妥協』などの言葉を多様するきっかけの描写なども無駄なく、過去とキャラクター性がきっちりマッチしているので、小気味のいい展開ができていました。
この作品は、いうなれば、『余計な事がない』作品だと思います。
戦闘に入るギャグ、キャラの掘り下げなどが、主軸を阻害しない。
だからテンポもいいし、読みやすい。
とても整ったバランスでした。
僕が個人的に、異能モノが好きというのもあるのですが、とっても好きな作品です。
■死霊少女ネクロのミコン ちゃむらい先生
タイトルだけ読んで、『死霊のはらわた』と『ネクロダークマン』が出てきたなー、という思い出があります。
女の子可愛いなー。この感想企画で初めて気付きましたが、結構コニーってバトル漫画多いんですね。僕の中でコニーは、ハルタとかそこら辺のイメージだったので。
主人公が告白したばかりの彼女をよみがえらせる為、死霊と契約して化け物を狩っていく、というのが主軸ですね。こういう設定は大好きです。死霊の紹介などがジョジョっぽいのは、確実にジョジョリスペクトなんでしょうね。そうなってくると、これも異能バトルモノってことになるんでしょうか。あと、結構パロディが多い。気になる人は気になるかもしれませんが、個人的には結構大好き。クトゥルフ系列の作品に当たるので、クトゥルフが好きな人にはビビッと来るはず。まあ、僕はデモンベインしか知らないですけども。ナコト写本とネクロノミコンくらいは知ってるので、それかなー、というカンで言ってます。もし間違ってたらスルーしてください。
普通の人間が主に死霊使いとなっているから、仕方のない事なんですが、もう少し、『死霊と人間のパートナー』という設定が活かせればいいかな、と思いました。第一戦、ヘルファイヤーのボンベを破壊するのは主人公がもう少し働いてもいいのではないかと。本人も弱点だと知っているし、警戒はしていると思うので、もう一手間踏んでからの方が、説得力が出たのではないかと。
個人的には危ない匂いのするヒロインが多いのがとてもいい。
主人公の事が物理的に食べたいとか言い出すミコンちゃんほんとよかった。画像保存しそうになった。
とはいえ、最近は本筋ではなく、合間合間のギャグ回? ばかりが進んでいるので、本支持は大丈夫なのかなーと少しだけ心配です。
彼女を生き返らせたい、と言っている割に、主人公があんまり彼女を思い出さなかったりするので、もうすこし主人公が目標に向かっていく感じのシーンがほしいです。
あと、結構グロいシーンあり。苦手な人は注意ですかね。
■なうろーでぃんぐ 名華先生
ネトゲで自分が操っていたキャラが現実に出てきた、という設定のクセ具合が非常に目を引き、面白いと思います。例えば、『ギャルゲーの世界に行く』あるいは、『ギャルゲーのヒロインが現実に出てきた』という設定は見たことがありますが、ここで重要なのは、『自分の第二人格とも言える、ネトゲキャラが目の前にいる』という事だと思います。この作品の主人公は、いうなればぼっちでコミュ症。ネトゲ廃人のステレオタイプなイメージ。
ネトゲのキャラクターというのは、それがどんなキャラであれ、自分とは何かしらの関係がある。そういった点から、この作品は人の心を掘り下げていくのに重点を置いた作品なのでしょう。
プレイヤーとキャラクターの差が大きいと、それだけストーリー性を感じさせるので、動きが少ないながらも、引きが強いのが、見事な構成だと思いました。
間の取り方など、少女漫画などを思わせますし、なんだか先生と主人公にフラグが立ちそうで、先生になにか深い闇がありそうで、期待が高まりますね。
オリジナリティのあるひねりの効いた構成が、作者さんの地力を感じさせる一作でした。女の子の絵も可愛いです。
展開的には、現在明確に動きが見えたところですかね。他のプレイヤーたちにどう対抗していくのか。
作品の雰囲気的に、バトルってのはなさそうですが、やばめの空気漂ってますからね、あのもじゃもじゃ。
■天才くノ一菊丸参上! 隣の飼いケルベロス先生
この感想の中でもっとも長編。なんと次回最終回とのことで!
完結できるってのはすごいことですね……。まだ(これ書いてる時点では)更新されてないですが、先立って、おめでとうございます。
二年ほど連載されており、まだ読んでない人は、一話を見て、一気に最新話へ飛んで、『絵がすげえ上手くなってる!!』って楽しみ方ができますね。僕はこれ、長編漫画読むときよくやるんですよね。
一人前の忍者を目指して、主人公たちが面白おかしく奮闘する、日常モノ、という感じでしょうか。天才だけど天然な菊丸と、落ちこぼれで抜けてる文子先輩の二人の可愛いやりとりと、それに振り回される周りを楽しむというのが、この作品の楽しみ方だと思います。
何も考えずに! ただ女の子達を楽しむ!
こういう事ができる作品は実際新都社だとそんなにないので、とっても貴重だと思うんです。
正直言うと、最初の方は落ちが弱かったり、同じネタかな? と思ったりするのですが、そこは継続してきただけあり、後半になるにつれて、しっかり面白くなっていくのがすごいなと思いました。文子先輩とか多分知能退行してるけど、可愛いからよし。
作品とはあんまり関係ないですが、35話の下、次のページのリンクが準備中って書いてありましたが、普通に36話に飛べます。
■つきみずるやすみ 希先生
なんか妙に達観した女の子が主人公ですが、基本的には周りの子たちが濃くて話を動かしてくれます。
歳相応な空気がよく出ているのが、ほんとすごいと思います。僕が小学生の頃、こんな感じだったのかなー、と思わされる丁寧な話作りでした。
とくに、野球に対して、「遊びなんだからみんなで楽しくやればいい」と言うセリフは、こういう作品じゃなきゃ言えないセリフだな、と思いました。野球メインだと、野球に対しての価値観が底上げされますからね。特に小学生時代だと、こういう事を感じた人もいるんじゃないでしょうか。周りの「好き」についていけないけど、自分だってそれが好き! というストレートな気持ちは眩しいくらいですね。
で、全部読んでから気づいたんですけど、これ続編ったんですねー……。
いや、でも、気付かなかったってことは、これから読んでも大丈夫って事ですよね!
とはいえ、さすがに前作を読まないままレビューってのも、どうかと思うので、読んでみましたが、先ほどの菊丸と同じように、長い間やってるからなのか、絵とキャラクターが少しずつ変わっていますね。長編漫画の醍醐味の一つ。
なつやすみの方が、野球してます。ここで思い出したんですが、ずるやすみを読んだ時、『あれ、これ野球漫画じゃなかったかな』と思ったのですが、こっちを読んでて、記憶がごっちゃになってたからなんですね。
夏休みとか、終わった後の事を考えて、素直に楽しめないことのほうが多くなったのはいつからなんですかね?
そんな事を考えさせられる作品でした。
■カードゲーマーエレジー 画修院あきら先生
カードゲームは遊戯王と、友達にもらったヴァイスシュヴァルツしかやったことないです!
新都社は遊戯王が多いし、遊戯王かな? と思ったら、なんとオリジナル。珍しいですね。
僕もオリジナルのカードゲームとか考えて、それで作品書きたいな―と思っていましたが、これって結構一つの答えな気がして、参考になりました。
やってる人ほど楽しめる作品だとは思いますが、カードゲームを知らない人が、カードゲームを始めるきっかけにもなると思います。
カードゲームってお金がかかるので、最初に赤城が『金がねえ』ってぼやくのがすごい親近感ありました。僕も結構高いお金を出して友達から酷評されるデッキ作ったっけな、と懐かしい気持ちに。
タイトルは直訳すると、カードゲーマーの哀歌。
確かにカードゲーマーの哀しみがそこにはありました。でも楽しそうにプレイするのを見ると、やめられないんですよね。さっきからノスタルジーに浸ってばかりですが、まあ、たまたまそういう流れなんです。
カードゲームアニメのパロディがあったり、さっきも言いましたが、やってる人ほど面白い作品です。
で、最後まで読んだ結果、最終回じゃあねえかこれと。
菊丸も最終回一歩手前だったし、すごいプレッシャーがありますね。
作中のカードゲームのルールはこれさっぱりわかりませんが、しかしそれでも最終話まで楽しく読めました。長さ的にもそんなにありませんし、気軽に読めると思います。