Neetel Inside ベータマガジン
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診断メーカーアンソロジー
隣の女の子:ノンストップ奴

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隣の部屋が騒がしいなと思い始めたのが三日前。今日は静かだな、昼寝でもしようかなと思って目を閉じた瞬間にインターホンを鳴らす音がする。今日は平日だし、友達に学生はいないし宅配便を頼んだ覚えもない俺に来客とは。扉を開ける。俺の頭一個分ちいさい女の子が現れた。
「えっと、あ、あの……」
「なに?」
さらにしどろもどろになる女の子、ああやってしまった俺の悪い癖だ。初めて会う人に声をかけられると高圧的に出てしまう。女の子に謝罪をし「今日はなんのようかな?」と聞き直すと女の子も落ち着いたようで恐らく、俺のために(この言い方に語弊があるかもしれない)事前に用意してた言葉をだす。
「今日から隣に引っ越してきた加納幸子と申しますふつつかものですがよろしくお願いいたします」
ああ、この子ずれてるな。緊張してるのかたまに声も裏返るし、言い終わったあとの「私、やったよ!お母さん」みたいなドヤ顔もいらっとする。まあそんな関わりを持つことないしそれはそれでいいか。
「加納ちゃんね、覚えとくよ。じゃあ
「待ってください!これ!お渡しします」
と、手提げ袋から出てきたのは蕎麦。百円ショップで売ってるような蕎麦。地味にありがたい。ここでちょっとこの女の子をからかいたいという気持ちが沸いてきた。
「どうせならさ、今ここで食べちゃわない?ちょうど御昼にしようと思ったし」
女の子はうーん、という顔をしたあとにはい!と大きな返事。ズレてるだけでなく頭もちょっと残念らしい。このこ本当に大丈夫かなぁ。

蕎麦を茹でるだけなのでそんなに時間もかかることなくお昼ご飯を迎えられた。目をキラキラさせて「いただきます」をした加納ちゃんは早速蕎麦をずるずるし始める。
「加納ちゃんって、今年からここの近くの大学で勉強するの?」
「ずるる……んぐ!んんん、ん!ん!」
喉に詰まったのか?胸をどんどん叩き始める。急いで水を渡すとゴクゴクゴクゴク。
「はぁ!はい!そうです!」
「あっ……あはははは」
「それにしても、えーっと」
俺の顔をみて困った顔をする加納ちゃん。ああ、そういえば名乗ってなかったな。
「ぼくの名前は今江潤だ。よろしく」
「今江さんですね!よろしくお願いします!で、今江さん!良かったです!優しい人で、最初みたときはちょっと怖そうな人だなって思ったんですけど、見た目と違って意外と優しいし、お部屋きれいだし、お料理作れるし」
「ぼくの見た目、そんなに怖い?」
「はい!」
清々しいくらいなにも考えていない。この子が将来……いや、近いうちに上下関係や人間関係で悩むところを……いや、想像できないな。頭悪すぎてそれすら考えられなさそう。
「せっかくお部屋がきれいなんですから、ちゃんと髭を剃って、坊主じゃなくてもうちょっとだけ髪を伸ばして……あと!綺麗な服をつけて……」
「カノチャン、オコルヨ」
「あ、ああ!ごめんなさい!私またやっちゃった……」
といいつつまたべらべらべらべら喋り出す。


いろんなおしゃべりをしながら、俺の仕事のこととか、生活とか、加納ちゃんの大学のこととか、田舎のこととかを話ているうちに結構な時間が経っていた。それに気づいた加納ちゃんは申し訳なさそうに
「あの……すみませんお昼ご飯をご馳走してもらって」
「いやいや、いいんだよ」
そのあとに、元々君が持ってきてくれた蕎麦だしって付け加えようと思ったがやめた。あと、さっきの無礼を謝るべきだと思うぞ!俺は。
お邪魔しました。深くお辞儀をして彼女は去っていった。そして残された俺。さっきまでにぎやかだったこの空間は一気に静かになった。聞こえるのは……外の車のエンジン音、鳥のさえずり。元々音楽はあまり聞かないのでラジカセは置いてない。そもそもスマホに音楽を入れていない。テレビもない。寂しい空間。 まあ仕方ない。とりあえずもう寝ようか、食器洗いはあとででいいや。目を閉じた瞬間だった。
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン、あー!今江さん!いますか!ごめんなさい!忘れ物しちゃいました!財布!財布ないですか!それないと……
「わー!うるさいうるさいまっててよ!すぐ開けるから」
騒がしいな、でも嫌な気持ちはしなかった。
ロックを開けると向こうから扉を開けて来た。
「お財布!」
「人の家に勝手に入ってくるなよ!」
隣の女の子、まるで最初から俺と一緒に居たみたいだ。馴れ馴れしいけど……許せちゃう。
今度一緒にテレビでも見るか。説教をしつつ、なにもないキレイな部屋を見てそう思った

     

診断結果

ノンストップ奴先生
通り名:『るろうに頭領』
代表作:『となりの女の子』
立場:FA作家
画風:コミポ
画力:なかなか
筆速:激遅
特徴:犯罪者予備軍作家

       

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