Neetel Inside 文芸新都
表紙

匿名で官能小説企画
少女の異常な性癖 または私は如何にして我慢するのを止めて快楽に身を委ねるようになったか

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 静かだ。まるで誰もいないんじゃないかとおもうほどに校内は静寂に包まれている。
 授業中、体調不良を訴えて抜け出してきた。今だけは私の時間。
 実際に体調は良くない。
 特にお腹。小さな音でぐるぐると悲鳴をあげて、気を抜くと今にも出てしまいそうなほど切羽詰まった状態。
 壁伝いに廊下を歩いてトイレに向かうのだけれど、用があるのは教室近くのトイレではない。
 現在、私たちが使用している校舎とは別に旧校舎が存在する。老朽化が進んで物置きと化したそこに近寄る生徒はほとんどいない。私が卒業するころに取り壊されるという噂。新校舎の方が当たり前に綺麗で、少なくとも女子トイレは洋式便器が備えられて、当たり前だけどみんなそっちを使う。
 うっ、と声を漏らしそうなくらい腸が活発に動いて、じんわりと額に汗をかく。
 もう少し、もう少しだから。お腹をさすりながら重たい足をひたすら前へ、前へと出す。
 旧校舎の女子トイレは和式便器できちんと掃除はされているんだけれど、お世辞にも綺麗とは言えない。おまけになんだか薄暗くて、夕方以降は私もここに近付くのはやめている。変な噂など聞いたことはないけど、そういう話があってもおかしくはないなとおもわせる雰囲気がある。
 ようやく目的地に到着したけど、相変わらず私のお腹は予断を許さないほど極限状態。
 三つある内の一番奥の個室へと入る。スカートをめくって下着を下ろすと、まるで急かすように便意の波が大きくなった。
 まだ、まだ準備ができていない。
 白いショーツを完全に脱ぐと、ゆっくりと腰を降ろす。その時、ちょうどショーツの内側が視線に入り、汚れていないことを確認。ほっと一息つくも、便意は私の都合関係なしに襲ってくる。
 今までで一番大きな波だ。
 肩とお腹に力が入る。気づくと額だけじゃなく、膝裏に、脇に、掌に、お尻に、くまなく汗をかいていた。
 踵をあげて前のめりな姿勢になる。肩幅以上に拡げた太ももに手をあてて、下腹部に力を込める。
「んっ……くっ、ふぅ……」
 便意はすぐそこまで来ているのに、肝心のものが外に出てこない。便秘だからお腹の中でたまっているんだ。
 へそのあたりをのの字にさすりながら腹筋に力を入れてみる。柔らかなお腹の肉を隔て、確かに硬い筋肉がそこにはあったけど、所詮女のものであってただそこに存在するだけのように感じる。
 鼻から空気を入れてお腹をへこます。少しだけ開けた口からたくさんの息を吐く。腹式呼吸。これを数回行うと横隔膜を刺激して力みやすくなるらしい。
 女性は男性に比べて倍以上も便秘に悩まされているらしい。それはダイエットできちんとした食事ができていなかったり、人の目を気にして便意を我慢してしまったり、ホルモンバランスの乱れが原因だったりと様々な理由があるみたい。
 私の場合は我慢からくるもの。なぜそう言い切れるかというと、わざとその状態に自分からしているから。
「はぁ……んん……っ、ふぅ……んっ」
 呼吸が荒くなっていくと同時にお尻の異物感が強くなってくる。もう少し。もう少しで出そう。
 酸素を肺いっぱいにためたあと、そのまま止めて腹筋に力をこめる。まず先に穴からぷすぅという情けない音が漏れた。数秒間力んだまま息を止めると、ミチミチという音をたてながら硬いものが穴を押し広げるように出てくる感覚がお尻に現れる。
「ん……はぁっ……ふぅ……」
 呼吸をするために一度力を抜く。まだ実は下に落ちてはいないどころか、静かで誰もいないトイレに私の息遣いと声が響く。
 この日のために五日間ためてきた。授業時間もまだ半分以上あるんだから、しっかりと時間を使って確実にしていく。
 再び息を整えてお腹に、お尻に力を入れる。それと同時に両足をもっと外側に広げて、M字開脚のような格好をする。見た目は悪いし下品なポーズだというのはわかっているけど、両膝に下着が引っかかっていたら基本内股状態になってかがみにくいし踏ん張りにくい。そしてなにより立ち上がらないと自分が出したものが見えないという不便さがある。
「ふぅっ……んっ……んあっ」
 パチャパチャと水がはねる音と同時に変な声が出る。ここは学校で、いつ誰がこのトイレを訪れてきても不思議ではないけど、今は授業中で、誰も使わないような旧校舎のトイレをわざと選んでいる。叫ぶわけにはいかないけど、多少の声は出せる環境下にいる。この行為を何度も楽しんでいるのに、毎回ゾクゾクしてしまう。
 中学生のころ、学校のトイレで排便をするのが恥ずかしくて基本的に家でしていた。朝起きてからお父さんより早くトイレに入って、が私の一日のはじまりだった。
 ある日、いつもより遅く起きてしまって大きい方をすることができなかったときがあった。ポケットに石ころを詰めて歩くようななんともいえない不快感があったけど、帰宅したときには便意なんてすっかり忘れていた。
 それが二日ほど続いて、いつものように便意をもよおしたのでトイレに行くも不発。休日だったのでしばらく様子見すると、急に鈍い痛みが下腹部に走り、違和感がどんどん肥大化していった。
 偶然家には誰もおらず、とりあえずトイレに駆け込んだ私は籠城。ズボンもパンツも脱いで、ただ便座に座るだけ。どれくらいこもっていたのかはわからなかったけど、冬場なのに汗をかいていたのだけは覚えている。
 まず硬い便が着水して、そのあといつもの排便とは違う、お腹にたまっていたものがスタート合図と同時に一気に走り出すマラソン集団のように次々と排泄されていった。普段とは大きさも、出る勢いも違う便が、私の穴を広げて排水部に。オナニーという単語すら知らなかった私が、今までに感じたことのないこの快楽に夢中になってしまうのは必然的だった。
 もちろんこの行為が異常だというのはわかっていたけど、こんなに気持ちがいいことをやめるなんてできるわけがない。
 硬いコロコロの便が水面にいくつか落ちても、いってみればこれは蓋でしかない。まだお腹は張っていて、本番はここから。
「あ……あうっ、ふぅ」
 出口が下を向いている状態で、そこの蓋を外せばどうなるのか。
「んうっ……っく、はぁ……ふんっ……」
 足がガクガクと震え出す。まるで喜んでいるかのように。
 空気を漏らしながら中身がゆっくりと出てくる。便が穴を通るたびに頭がぼーっとしてきて、何も考えられなくなる。足の震えもだんだん大きくなっていき、おもわず便座を両手で掴んだ。さっきまで真一文字で結んでいた口はいつしかだらしなく開いていて、そこからせき止めるものがなくなったよだれが垂れていることに気付いたけど、それを拭う余裕なんてない。
 切れ目のなくここまで出せたけど、残りをおもいっきり出したらどうなるんだろう。
 もうひとりの私がそう囁きかけてきた。
 どうだろう。どうなっちゃうんだろう。すごい気持ちいいに決まってる。今の比じゃないなんて考えなくてもわかる。絶対変な声が出ちゃう。バカになっちゃいそう。
 やるなら今しかないよね。
「あっ、はひっ、んくっ……ああっ」
 次の瞬間、今までで一番情けなくて大きな声と汚い爆発音が響き、それと一緒に残りの便が意思を持ったような勢いでお尻から飛び出し、そのまま重力に逆らわず便器に落下した。
 息は切れ切れ。手の甲にはよだれがこぼれていた。手から足まで、快楽の余韻で全身が痙攣したようになっている。
 そういえばこの開脚状態でもうひとつ利点があった。少し落ち着いて視線を自分の下腹部に移すと、黒い茂みの下がてらてらと光って見えた。恐る恐るそこに指をのばすと、案の定ぐっしょりと濡れていて、軽く動かすだけでぐちゅぐちゅという音が聞こえてきた。
 いつもより濡れてる。指が溺れてしまいそうなほど。
 ひとまずトイレットペーパーを手にとってお尻の汚れを拭き取る。旧校舎とはいえトイレットペーパーがちゃんと備えられているということは、私以外の誰か来ているという証拠になる。掃除当番とか回ってくるんだろうか。
 ウォッシュレットなんて存在しないので、汚れがつかなくなるまでしつこくトイレットペーパーを当てる。
 立ち上がって一通り汚れを拭き取って紙を投げ捨てると、まじまじと自分から出てきたものを見る。
 黒といっても炭のような色ではなく濃すぎる茶色というか、一番最初にでた便は色といい形といい大きなチョコボールみたいだ。その次に出た便はためていただけあって、少し硬めで例えるならクランチ。バナナくらいの直径だろうか。長さは一リットルの牛乳パックほどありそう。こんな大きさのものが自分のお尻から出てきたんだと考えると、自分の穴はどこまでのものが通るんだろうという興味と興奮が生まれる。
 気がつくと私の右手は股間の湿地帯に潜り込んでいた。心臓の高鳴りは止まらない。
 次にじゅぷじゅぷという卑猥な音が鼓膜に届いた。中指の第二関節まですっぽりとくわえ込み、歩くような速さで出たり入ったりを繰り返す。その度に奥からぬるぬるとした液体が溢れ出す。いつもなら膣口付近を撫でてからの挿入なのに、そんなことが必要ないくらいほぐれていた。
 挿入した指をくの字に曲げて壁をこすと、体がビクッと跳ねて息が止まりそうになる。誰かに心臓を掴まれたような感覚に襲われて、膣内にある異物をぎゅうっと締めつけた。
 だんだんと呼吸する間隔が短くなっていくと同時に、ピストン運動は激しさを増していく。
 ぐちゅぐちゅ。
 ぬちょぬちょ。
 くちゃくちゃ。
 ぶちゅぶちゅ。
 ぐぷぐぷ。
 じゅぼじゅぼ。
 いやらしい音がこの部屋と私の頭の中を支配する。
「ふっ、あっ……んあっ、はぁぁぁぁぁ……」
 中に人差し指を追加すると、下腹部にかかる圧迫感が増して、自分でも驚くほどの甘い声が漏れた。
 私、学校のトイレで、うんちを前にしてオナニーしちゃってる。
 自分の部屋でするのとは違うこの感じは背徳感によるものなのだろうか。二倍も三倍もきもちいい。気をしっかりもたないと意識が飛んでしまいそう。
 においのキツさも昂りの原因のひとつなのかも。腐ったものが腸内に溜め込まれている状態なのだから、ひどい異臭を放つのも当然。このにおいが好きなわけじゃなく、けして綺麗ではないトイレと同じく、わかりやすい異常な状況下を演出してくれる。
 だらしなく緩みきった上の口と、指をくわえて離さない下の口から、同じくらいの体液が服に、便器に落ちる。
 痛いくらいに突起した胸の先っぽが、さらさらとしたブラの記事にこすれて切ない。
「あっ……も、もうっ………いっ、イキそ……あひっ、はぁぁっ……んんっ」
 なにかがつま先から頭までゆっくりと上がってきて、うまく呼吸ができない。
 まぶたが重力に逆らわずに閉じようとする。
 それでも指の動きは止まるどころか、今までで一番の速度で出入りを繰り返す。それは水面を叩きつけたような音で、まるで人が溺れているみたいに聞こえた。
 短い呼吸と指が連動してタイミングをはかる。
 そしていつもと同じようにぷっくりと膨らんだ一番きもちいい場所を指先で押す。
 おもわず叫びそうな快感があっという間に全身を撃ち抜き、筋肉という筋肉が一気に緩む。立っていることができなくなって、仕切りに背中から寄りかかり、そのままへたり込む。
 腰が不規則に痙攣して、体中の穴という穴から分泌液がぐちゃぐちゃに吹き出ていた。
 今誰かが来ちゃったらどうしよう。
 すべての抵抗を外してどんな意欲もわかないこの状況で、もし男の人が入ってきたら……
「きっと、犯されちゃうな」
 絶頂の余韻に浸りながら、ぼんやりとそんなことを考えていると、再び子宮あたりがにわかに熱を帯びてきた。ように感じた。

 ◆

 人は排便をすると気持ちがいい、というわけではなく、体の中にある不快感が取り除かれて気持ちいいと感じるらしい。便意がくると緊張状態になって出さなきゃ、となるためその状態もなくなって、排便後には解放感があるようだ。
 私も同じように、排便後は体のつっかえがなくなったかのようにスッキリとした感覚はあるも、それに加えてこの快楽。
 変だな、おかしいなっていうのはわかっているけど。
 止められるわけがない。
 我慢できるわけがない。
 一度覚えてしまった甘い蜜の味を、そう簡単に忘れられるわけがない。
 だとしたら、これはいたって普通のことなんじゃないのかな。

 ◆

「あ、委員長。大丈夫?」
「うん……今朝からちょっと調子が悪かったんだけど、少し楽になったかな」
「びっくりしたよー。すっごい真っ青な顔してたんだから!」
「心配かけてごめんね」
「いーよいーよ。ねぇ、そういえばさ。旧校舎の噂、知ってる?」
「女の人の声が聞こえるってやつ? あんたそんなの信じてんの?」
「怖いからって強がるなよー! なんかすっごいエロい声らしいよ」
「どうせトイレで盛ってるカップルとかじゃないの」
「聞いた話では、失恋した女性がそこで自分を慰めたあと、そこで命をたったとかどうとか……って、委員長。すっごい顔しちゃって。こんな話好きだったっけ?」

「うん……もう少し、詳しく教えて?」

       

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Neetsha