Neetel Inside 文芸新都
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LOWSOUND 十字路の虹
42 Practice

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 音楽活動を再開した。手持ちの曲は、以前に作成したものと、クロスロード・レインボウから盗作する以前にシグノが作っていた、シンジケートのレパートリーを盗作したものを合わせ、十五曲まで膨れ上がっていた。さすがにマリアは歌詞を思い出せないことも多くなり、半ばアドリブで歌うようになっていった。
 練習スタジオは、白ライオン亭から下の階層へ行った所に新しいものを見つけた。昇降機が長年壊れたままで、長い階段を通らなくてはいけないが、機材が新しく、店員の質も良かった。
 一週間に一度のペースで練習を行うようになって、ジャックの実力は前よりもマシになってきたように思えた。家で大して自主練習しているようではなかったが、少なくとも継続的にスタジオに入ることによって、意識は変化してきたのかもしれない。
 練習の合間にジャックに、シャーロットのことを話した。
「この前変な女の子に出会ったんだけど、ジャックに少し似ている感じなんだよね」
「あたしに? どういった部分がですか?」
「いやなんていうか、動じないところとか一本調子なところとか」
「あたしは動じないわけではないのです。驚くべきことがあれば驚きます。そして一本調子というわけでもないのですが、マリアがそう感じたなら、ある種、その子となにか共通する部分もあるのかもしれません」
「どこでその子に会ったの?」アンプに腰掛けて水を飲んでいるカレンが聞いた。
「路上でなにか儀式をやってるのを見た。あの人なにやってるんですか、って近くにいたおじいさんに聞いたら、あの子は〈顕現師擁立者〉のシャーロットだって教えてくれて、建物が緑化した」
「緑化? 有名人なの、そのシャーロットって子は」
「いや、そういうわけでもないらしいしおじいさんは赤の他人だって言ってた。そのあとシャーロットが家に来て私の疑問に答えてくれたけど、話がすごく分かりづらくてあんまり理解できなかった。ただ、〈顕現師擁立者〉の仕事は、昔死んだ人間を蘇らせる儀式を行って、上位的、超現実的現象をこの世に顕現させることだっていうのは分かったけど」
「それって冒涜的でない?」と、アーシャ。
「かもしれない」
「いえ、〈顕現師擁立者〉は教会公認の技術職ですよ」ジャックが言った。「過去に教会付きの擁立者が聖人を復活させて、ありがたい言葉を残したり、顕現師が殺人事件を起こしたけど遺族が泣いて喜んだりしたことがあったはずです」
「なにそれ」
「あたしもよく分かりませんが、基本的に擁立者も復活した顕現師も狂っているので比較的関わらないほうがいいと思います。彼らは因果に干渉するので」
 言われなくともマリアは既に、シャーロットは面倒そうなので今度街で会ってもあまり関わらないようにしようと決めていた。

       

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