Neetel Inside 文芸新都
表紙

そこの底辺
社会は上手くできている

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世の中ってものはわりとよくできてるものだ。

コミュニケーション能力ゼロの俺でも通訳を雇えば上手くやっていける。

何でもやるぜ。代わりによ。

どもろうが、声が小さかろうが、上手い具合に伝えてくれる。

相手が何を言ってるかわからないときでも、わかりやすく、丁寧に、簡潔に、
低脳でもわかるように訳してくれる。

これでもう対人関係に悩まずにすむだろうよ。

あいつらがヒソヒソこっちを向いて話をしている。

「ねぇ、あの人って……」

「……ああ。だろうよ」

あいつらは嫉妬しているんだ。通訳を雇う金がないから。

憤怒して愚痴ってやがる。

屑のくせに上手い具合にコミュニケーションをとってることが、許せないんだろうよ。

哀れみか?笑い声?見てはいけないものを見ないよう眼を伏せる人々?

上手くなんていくはずないんだ。おとなしく引篭もってろ。


「はいはい。ちょっと待ってくださいね。悲観的にならないでください。

被害妄想が強すぎますよ。あの人たちはね、これっぽちも、あなたを嫌ったりしてませんよ。

自殺とか考えないでくださいよ?みんなあなたのことが大好きですからね。

みんながあなたを必要としてますよ、あなたのような人がいれば社会はネタにできますし、
あなたを見て安心しますよ。自分より劣る存在が必要なんです。批判する対象が必要なんです。

それにあなたが期待されてることも忘れないでください。

どんなに過酷な仕事にしか就けなくても六十歳までは頑張ってください。

そして、その後とっとと、くたばればくたばるほど喜ばれます。

さあ、元気が出てきましたね。頑張りましょう」


嗚呼、クソッたれだな人生。

       

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