Neetel Inside ニートノベル
表紙

女心なんて俺が知るはずないじゃないですか
もう一つのはじまり

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「はぁああぁあぁあぁ、。」


ため息しか出ない。


「おーいっ、新妻が何ため息なんかついちゃってるわけ?」



真希の前では弱い自分がつい出てしまう。

何でも話せるし、実際色んなことを話し合ってきた。ただの同情じゃない、安い慰めの言葉もない真希の素直な態度が気楽だ。

親友という文字よりも、心友に近い。


「うぅ…真希ぃーーっ、結婚ってなんなのぉーー。」
かわされると分かっていても真希に抱きつこうと身体が動く。


スカッ。


案の定だ。


「なに?全部ノロケにしか聞こえないんだけど。
 マジ、新婚とかウザイんだけど?」



これも想定内だっ!


「で?どうしたの?」



そしてこれもいつも通りだ!!!



「こんな私が結婚出来たこと自体、未だに自分でも信じられないんだけどさ、どうしても素直になれなくてねー…」


「私だって驚きよ。まさか、あの貞代が先に結婚だなんてね。」


「頑張ったのよー。でも何が『どもども旦那さん♪』よっ!
 何が『ダーリン♥』よぉぉおぉぉっ。穴があったら百万回脳みそ からぶち込んで出てきたくないわよぉおぉぉぉっ。」


「いいじゃない。新婚なんだから腹立つくらい甘くても。そういう 悪態は周りがついてこそなのに。いい加減、その天邪鬼なんとか しなさいよ。
 そんなんだから、今までろくに縁もなかったんでしょうが。」


真希は、またか。と言わん顔でコーヒーを飲む。



「まぁ、このままだとマズイって自分でも思ったから来たんでしょう?…で、とりあえず現状報告?聞こうじゃないの。」




私はこの一週間の悩みを真希に話し始めた。




     


――――――――――――


直人さんと出会ったのは半年前。


ずっと大好きだった人に告白しようとしたその日、彼には両思いの人がいることを知った。

そのままフラフラと歩いていたら知らない駅で降りていた。
色んな思いがこみ上げ、気づいたら涙で前が見えなくなっていた。



フッと誰かの気配を感じた。


そこには、鞄全開で逃げるように去ろうとする人がいた。



あぁ。。。なんか財布とかも落ちそうなんですけど。。。



「あの、鞄全開ですよ?」

思わず声をかけた。



その時の顔があまりにも抜けていて、笑ってしまった。






真っ暗な世界に、また光が戻ってきたようだった。





それから、半年、やつとの付き合いはなんというか、


斬新だった。





デートはなぜか

牛丼屋
ファストフード
ネカフェ
ゲーセン


中学生かっ!!?



雰囲気の良いお店につれていっても
慣れてないのが手に取るように分かる挙動不審さ。






それでも、何故か一緒にいると笑えて、怒れて、泣けて

素直に甘えられない、可愛らしくない、女の子らしくできない、
私を受け入れてくれた。



気づけば結婚することになっていた。


――――――――――――



引越しの日。



「き…緊張してきたっ。」

インターホン前に手が震える。



今日から一緒に住んで、私奥さんになるんだ。。


あぁぁぁあぁあああっ、なんか緊張してきてしまったじゃないかぁぁあああ!!



ピンポーン

「…」


ピンポーン

「…」


ピンポーン

「…」


出ねぇじゃないかっ!!?



     

出だしをいきなりくじかれながらも私たちの新婚生活は始まった。


初日



ピピピピピピピイピピピピピッ・・・・・・
アラーム音がなる。


眠い。

朝は正直苦手だ。
一人暮らしのときは、朝食なんて抜いていたけど・・


新婚初日からサボるのもな・・・



でも、共働きなんだし
結婚する前に家事は協力しようと決めていたし

「よっしゃあっ!」


気合いを入れ直人さん、ううん、ダーリンを起こす。



「直人・・・じゃなくてダーリンさん、起きて。」


「う・・・n」

眠い目を擦る。

「私、朝ごはん用意するから着替え終わらしとくんだよー、」



「う・・・n」




・・・・・・・。




待てどもダーリンさんは起きて来ない。
まさか二度ね中?



嫌でも、着替え中とかだったらはずかしいし//////



「うぉーい、なおとさーん?田場くん?ダーリンさぁーん?」




返事無し。。




ドアを開けると絶賛二度寝中の彼がいた。



みそ汁はとっくに冷め




新婚初日はボッチの朝食となった。






     

「それで?」

真希の眉毛が斜め方向気味になる。




「楽しみにしていた初日だったのに、いきなりボッチだったのよ!?キャッキャしながらご飯とか食べたいじゃない!!?
 
 それに、家事はできる限り分担しようって言ってたのに、後で後で、とか言って自分は寝てるかゲームするかばっかりで…


 しかもトイレに隠れてコソコソしたり…そういう風にさせてしまってるのは私にも原因があるってのは分かるけど、どうしても素直に寂しいって言えないのよぉぉおおぉっ。。。
 

 この口が、甘いセリフを拒絶してしまうのよっ!!
 どうしてかトゲのある言葉ばかりが出てしまうのおぉぉぉおぉぉおぉぉお!!!!!?」





「あんた、それでよく結婚出来たわねぇ。」


「なんか勢いよっ!!」


「…勉強なるわ。」



本当はダーリン♥なんて甘えたいし(←初日に無理やりトライしてみたが既に黒歴史。)もっと可愛いお嫁さんになりたいのに…






「はぁーーーーーーーー」
出るのはため息のみ。





「まぁ、あんた結構私にはクソ恥ずかしい願望を口に出してるけど、当の旦那の前では、不器用な態度になってしまってるわけね。」



「その通りです。」



「そういうのを普通、独身の私に相談してくるのかしら?」


「すみません。。。」




はぁ。
真希はいつもの事だとため息を一つつく。



「まぁ、相談されたからには仕方ない。この恋愛マスター真希様が可愛い女キャラの極意、男への甘え方ご伝授してあげようじゃない?」


真希様ぁあっぁあっぁぁああぁああ。


「とりあえず、お会計はよろしくねっ」

「デザートの追加いかがでしょうかっ!!」






こうして、私たちの不器用ながらも新婚生活という現実と願望の闘いが始まることとなった。



       

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