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★文芸・ニノベ作品感想3★
3月19日更新ニノベ作品感想

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「重甲兵機HARS」 作者:田中鉈先生

【まえがき】
 軍事ロボット物。主人公(?)の赤城の戦闘が泥臭くて格好いい小説。今回の感想は『作戦』以降から。

【ストーリー】
 作戦変更で北京に向かうことになったゴミ箱部隊。連絡にやって来た国樹少将は謎の新人・赤城と仲がいい。昔同じ戦線にいたとか?
 新たに『クラスニー部隊』という敵の名前が。ロシアのゲリラ部隊。強そう。今後の鍵になりそう。世界情勢が分かっていないのだけど、ロシアは強いんだっけ? そういうものを確認できる表や地図があると分かりやすいかも。
 赤城は酒に強い……のではなく、顔に出ないだけのようだった。よくいるよね、酔っても顔に出ないけど実はめっちゃ酔ってる人。私は即顔に出る人。
 大宮が赤城にけんかを売っている。ライバル的立場。素質はあるのだけどサボりぐせがあるから強くない。赤城が来たことで良い意味で影響されて後々強くなりそうなキャラクターであり、そう考えると早くに死んでしまいそうなキャラでもある。
 北京到着後、さっそく『クラスニー部隊』からの襲撃。いち早く察知した赤城が応戦。快刀乱麻の活躍も頭部を落とされ真っ暗に。しかし装甲を剥いで物理的に視界を取り戻す。コイツヤバイ。その後武器の支援を受ける。その前に今乗っているその機体変えたほうがいいのでは。直後、敵の新型の襲撃を受け……続く。
 面白そうなストーリーだなと思う反面、これどんだけ長くなるんだ? という懸念もある。
 長編で言えば序盤も序盤。まだストーリーの主軸も見えてこない。どういうことをやろうとしているのか分からないと、楽しんで読めないんじゃないかなあ。たとえば主人公の赤城が敵討ち目的で戦っている……とかなら分かるけど、肝心の赤城も結局まだまだ謎の人物というところ。そもそも主人公なのかも分からない。

【キャラクター】
 なんとなくキャラが分かってきた。赤城は無口。緋音(どうすれば一発変換できますかこれ)は赤城に絡むヒロイン? 川辺は酒飲み、園崎はその友人、大宮はちょっとプライドの高い人。それ以外は微妙。ここで一番偉いのは沼田だっけ? 他にも真壁とか新形とか色々いた気がするけどあまり鮮明に覚えていない。魅力的に感じる可能性のあるキャラは大宮くらいか。
 移動時間とか、こういう時にキャラクターの個性を表現しないとあまりぱっとしないので、その辺工夫してみても良かったかも。緋音が赤城を探して辺りをうろついて、色んな人と話すとか。

【文章】
 誤字脱字多め。読み返せば分かると思うので割愛。致命的なものがあれば抜粋します。文章自体はまあ問題ないと思うのだけど、会話と地の文を離す手法にはあまり賛同できない。特に大勢いる会話シーンでは。以下抜粋。

>沼田は階級などなんだかが嫌いなので、日常的に敬礼されるのが苦手なのだ。
「で、どうなんだ?」
(『作戦』)
 前述した離す手法の弊害はこの辺りに出ている。「どう」って、何がどうなんですか沼田さん!

>沼田は小さく頷くと、四肢を失った『ネイブ旧式』を見上げる。
 なんというかそのものすごい年季が感じられた。
(『作戦』)
 語彙力がちょっと足りないですよ、沼田さん!
 というのは冗談で、ちょっと良くわからない表現。ものすごい年季を感じたのは何? 機体の錆? 傷? 視覚的表現がなく、沼田さんの小学生的感想だけなので伝わってこない。

>「で、どうだったんだ? 詳しく教えてくれ」
 「駄目だ、全然情報が集まらなかった」
 「集まったことだけでいい、教えてくれ」
 「2年前に軍に入隊、チベット高原や大巴山脈近くの戦線で戦い続けてきて、ここに来る前は昆明の大日本帝国陸軍第47重甲兵機中隊の『宝船部隊』に所属していたらしい」
(『作戦』)
 いやけっこう情報集まってるやん! 嘘つき!

>1人だけ、気の抜けた返事をしているのは、既に酔っぱらっている川辺である。 隣には支給品の角砂糖を舐める園崎がいた。 昨日の晩、全て飲んでしまったと言っていたので恐らくは川辺のものを貰ったのだろう。
(『作戦』)
 文章のつながりがおかしい。このままだと、園崎が角砂糖を飲む奇天烈な人間になってしまう。直後の文章で説明がなされているけど、流石に違和感がひどい。

>しかし、赤城は先に動くと足を動かし、膝蹴りを大宮の腹に叩きこむと、体を苦の字に曲げ、苦しそうに「うっ」と呻いた大宮の体を両側から掴みこむと、足を大きく伸ばし、下腹部に蹴りを叩きこんだ。
(『作戦』)
 体を苦の字……どんな形なんだ……という誤字は置いておいて、一文あたりの情報が多すぎるので二文三文に分けてもいいのかなと。
 赤城は先に動くと足を動かし、膝蹴りを大宮の腹に叩きこむ。
 体を苦の字に曲げ、苦しそうに「うっ」と呻く大宮。赤城はその体を両側から掴みこむと、足を大きく伸ばし、下腹部に蹴りを叩きこんだ。
 みたいに。

>川辺は酒に相当強いのですぐに勝つものだと思っていたが、どういうわけか赤城が異様なまでに強かったのだ。 既に意識がもうろうとしている沼田と以外、最初から同じピッチで飲み続けて顔色一つ変えないのだ。
(『北京道中』)
 脱字のおかげで状況が分からなくなっているパティーン。誰の意識がもうろうとしているのか……。

>下がっていたおかげか左腕全てが吹き飛んだだけで、操縦系統には全く問題が無かったし、コクピット内の赤城に怪我も無かった。
 ~~
 それだけを確認すると、赤城は戦いを続ける。
 残った左腕のサブマシンガンの引き金を引き続けると、残った敵兵に向け銃弾を放ち続ける。
(『北京』)
 残ったのはどっちの腕? 誤字? 『薄多』のようなただの誤字ならともかく、この辺りが間違っていると読む方に支障が出てくるので、一度推敲してみてほしい。

【総括】
 話はそこそこ面白い。赤城めっちゃ強いけど無茶しすぎてそのうち大怪我しそう。あと、破損しているからといって、大宮が来た途端その場で戦ってた二機が両方とも退くのはどうなんだろう。仲間を見殺しにするようなものじゃないか。
 とまあ、倫理的にと言うか、常識的に考えてちょっとおかしいんじゃないかと思う場面は多いけど、ストーリーは気になるのでどうぞ続けてください。ただ、繰り返すようですが誤字脱字多めなので、推敲は行ったほうが良いかと思われます。

     

「夜の神社でふたなりロリのユリックス!?」 作者:尖鋭化されたオタク先生

【まえがき】
 見たことないタイトルに名前。新人かそれともだれかの別名義か。読み切りっぽい雰囲気がある。

【ストーリー】
 女の子の股間におちんちんが生えてしまって、段々とそれの虜になっていく感じ。ふたなりの定番っちゃ定番っぽい展開。まあそうなるだろうなって感じで読み進めた。官能的な小説に意外な展開みたいなものは求めてはいけないのかもしれない。
 あとひとつ気になったのだけど、
>あなたもそろそろ““お姉ちゃん””離れしなきゃダメよ
 が、よく分からなかった。どういうこと? この辺りの場面、わざとわかりにくく書いているっぽいので理解しづらい。恵って誰やねん。そもそもこの場面、どこやねん。みたいな感じで、ミスリード? にしてもわかりにくかった。結局マヒロと葵の関係ってなんなんだ……。

【キャラクター】
 ヘタレっぽい葵がおちんちんを得て強気になるのかわいい。関係ないけど強気な男の娘に責められるのって良いと思わない?

【文章】
>葵はあたしとは対照的な女の子だ。四人姉弟の一番上のお姉さんなだけあってみんなへの気配りができて面倒見がよくて、でも優しすぎるからあたしみたいに我の強い子が集まるバスケット部ではキャプテンではなく副キャプテンとしてみんなをまとめてくれている。身長だけだったらあたしのほうが高いけどいまだにいたずらとくだらないケンカをして、すぐに落ち込んじゃうあたしの面倒をみてくれる葵はまるでお姉ちゃんかお母さんみたいで、たまにそんな葵がうっとうしく思うことはあるけれどあたしにとっては大切な友人だ。

 この後の一文でオチてるから違和感はないけど、少し暗い改行しても問題ないかなって思った。出だしからガッツリ来るとあまり印象は良くない。

 エロ描写に関しては造詣がないので何も言えない……。

【総括】
 タイトルが全てを物語ってる。続きはよ。

     

「力に戸惑う彼女の場合は」 作者:ソルト先生

【まえがき】
 “場合は”シリーズの前日譚。守羽VS茨木童子の結末やいかに。

【ストーリー】
 僕の部分が顕現して茨木童子と対する守羽。だが、茨木童子の余計な一言で時間制限がかけられることに。そうかまだ受け入れてない時だもんねこの時は。もやもやする。守羽は見ててもやもやする主人公ナンバーワン(黒兎調べ)。勝てるとは分かっているのだけど、これどうやって勝つんだ感が半端ない。

【キャラクター】
 守羽がもやもやする。(大事なことなので二回言いました)

【文章】
>真正面からぶつかり合わなかったことが幸いしたのか、大鬼の拳を真横から弾くように接触した腕ごと守羽の体が衝撃に引かれて後方へ飛ぶ。

>おそらく馬鹿正直に打ち合っていれば今頃原型を留めていなかったであろうと確信できるほどの威力に痺れる腕を押さえて、縦回転しながら地面に着地した守羽が屋根を見上げる。

>今現在浮上している意識と相反する思想を持った思考に邪魔されながらも、一筋の汗を垂らした守羽は自身の焦燥を気付かれないように、やはり不敵に笑って茨木童子との対峙および久遠静音の救出に全意識を注ぎ込む。

 割と気になる部分が多かった。一つのパラグラフの情報量が多すぎる気がする。
 一つの文章に動き(例:打ち合う、留める、確信できる、痺れる、押さえる、回転する、着地する、見上げる)がたくさんあるので、目で追っていくのが少ししんどい。修飾語も多いので処理しきれない。もう少しシンプルな構成にしてもよいのかも。
(例)
 おそらく馬鹿正直に打ち合っていれば、今頃原型を留めていなかっただろう。
 そう確信できるほど痺れる腕をおさえながら地面に着地し、守羽は屋根を見上げる。

【総括】
 長く見てきたからこそ、文章に粗が目立ってきているような感じを覚える。戦闘描写は長文が続くとテンポが良くないので、短文で構成するといい気がします。

     

「ホモ卓球部」 作者:まじ吉先生

【まえがき】
 前回感想時、「とりあえず次回も読む」とはいいましたが、流石に読むのが辛くなったので二話の冒頭部分まで。

【ストーリー】
 合宿に行く。ここはまあ問題ないと思います。部活といえば合宿ですからね。
 ただ、もうどのキャラがどんな奴で、そもそも誰が喋っているのか判別できない。読ませる気があるのか? ただ書きたいこと書いてるだけじゃないのか? と疑ってしまうほど何も伝わってこない。

【キャラクター】
 中学生っぽいキャラクターだなってことは伝わってきます。

【文章】
 場面が飛び飛びで読みづらい。次の文章でいきなり日付が変わったりしているから控えめに言ってめちゃくちゃ。何と言えばいいでしょうか。何か文庫本の小説を一冊模写してみればいいのではないでしょうか。

【総括】
 とりあえず今後更新が来ても一応読みますが、多分ほぼ同じ感想になると思います。僕も同じような文章を書いていた時代があるので仕方ないかなと思いますが、最新話をちらっと読んだところ、この量を書いているにもかかわらず成長が見られないので、まずはただ殴り書きすることをやめたほうがいいかもしれません。
 考えるより書けとはよく言いますが、それは最低限考えているから言えます。少なくとも今のまじ吉先生は、どうしてコメントが来ないのかは別にどうでもよくて、ただ書ければそれでいいと考えているのだと思います。そうでなければ申し訳ありませんが、僕はそう受け取りました。落書きを見かける分には構いませんが、落書きを読んで詳しい感想を言うというのはなかなか難しいです。
 偉そうな言い分かもしれませんが、文章の仕事をしている以上、どうしても気になることだったので言わせていただきました。まじ吉先生の成長を願っています。

     

「斉藤武雄の忘備録」 作者:田中佐藤先生

【まえがき】
 ニート・斉藤武雄の苦難を描いている話。前回からだいぶ進んでいるようです。ニートの成長物語みたいなものは好きだから楽しみ。

【ストーリー】
 人を呪おうとしても呪えない、どうしようもないニートの武雄にもpちゃんという友人がいた。pちゃまではない。チャットサイトで知り合ってSkypeもするようになったとのこと。文章なら武雄くんもコミュニケーション取れるんだね。文章ですら無理だったら本当にどうしようもなかった。
 そしてpちゃんの妹・楓に引きこもりをしないよう説得してくれと頼まれる武雄。最初はSkypeで、と思ったけどまさかのオフライン。優柔不断な武雄は断れず、結局会って説得しなければならないことに。ううむ、怪しい。コメントでも言及されているように「楓=pちゃん」アリか? でもコメント返信見る限りその可能性は薄そう……でもpちゃん、以前武雄を騙していた(寸前で暴露したけど)からなあ。割とその辺り伏線になってそう。
 髪を切る事になり、樋口一葉持たされて家を追い出される武雄。母親からの言葉はクるものがある。実体験でそういうことあった。自分の子供のこともう少し見てあげてもいいのに。長年引きこもりだから雑にしたくなる気持ちは分かるけど。
 ということで、散髪に行くことになった武雄。ただ、次の話で楓について判明することがあるようだ。もしかして、楓も髪を切りに来るとか? 楽しみ。

【キャラクター】
 どうしようもなくダメで、でもどこか成長したいという気持ちが残っているような、不甲斐ない武雄が良いキャラしてる。ただニートとか引きこもりのレッテルを貼っただけの浅いキャラじゃない。多分やれば出来る子。木曜日に出会うpちゃんと楓が武雄が立ち直るためのきっかけとなってくれるか。

【文章】
 良い。チャット部分は地の文ほとんど入れないとか、他のキャラと掛け合わせることで武雄の他人と違う部分よく出てる。第1話読んだときの印象は正直あまり良くなかったけど、今回は良かった。ガルフレ(本)はなんかちょっと笑った。
>この特に好きなパーツがあるわけでもない体を、身の振り方の面倒を、僕がみなければ一体誰がみてあげられるというのだろうか。
(「その2」)
 すごい印象的な一文。言い回しが好き。

>放課後の、あまり人気の少ない校舎の裏の片隅、吹奏楽部が奏でる管楽器の音、野球部が外周を走る時に出す掛け声。空き教室の片隅で交わされる男女のひそひそ話。その話を密かに聞き耳を立てる僕。夕暮れ色に染まった空と、空の色が滲んで微かにパンプキン色に染まる緑の廊下。
(「その4」)
 ここの表現好き。特にパンプキン色に染まる緑の廊下、ってなんか視覚に訴えかけてくる感じでいいね。パクりたい(ダメ)

【総括】
 1話はテンプレ的な感じだったけど、途中から一気に印象が変わった。これ面白い。シンプルだけど逃げ場がなくて、先が見えない感じが引きこもりらしくてとても良い。続き楽しみにしてます。

     

「日替わり小説」 作者:天馬博士先生

【まえがき】
 毎日読んでますよ。掌編なので、小分けせずに書くことにします。

【感想】
 精神を食べる医者の話。多分ダジャレタイプのオチ。正直ちょっと笑った。精神が病むとyummy(美味しい)を掛けてるってことでいいのかな? 舐めてる描写が妙にリアルで笑う。精神を食べる、というのも若干ファンタジーで良い。こういうあっさりとしていて面白い話で良いと思います。もはや余計な部分をカットしてもいいくらい。だけど面白かった。

【総括】
 ここ最近は好きな感じの話が多いので、これからも頑張ってください! 目指すは365編ですね。

     

■全体の総括

 遅れてスミマセンでした。この季節は難しい。
「重工兵機HARS」は安定して面白いけど、若干描写に難ありといったところ。個人的にはガンダム見てる感じの雰囲気があるので良いと思います。「ふたなり」は改めて百合の可能性を感じた。ふたなりは……その……まあ、いいんじゃないかな! 「力に戸惑う彼女の場合は」は少し想像しづらいところがあったので、もう少し短文を連続させてもいいのかなと。「ホモ卓球部」は読みたくなる小説を書いてくれることに期待します。「斉藤武雄」は正直今回一番楽しめた。ぐずぐずしてる武雄に感情移入できる。「日替わり小説」はこれからも頑張ってください(大事なことなので二回言いました)。

 次回感想日。
 次は3月30日(水)更新の文芸新都作品。年度末ということで、たくさんの作品の更新お待ちしています。ああ、遅れたせいでHIVの感想書けなかった……。
 ラジオはちょっと環境の関係でなかなかできそうにないです。申し訳ない。
 で、四代目感想担当の方決まりそうです。次回辺りに発表して、次々回から二人で感想かけたらいいかなと思っています。
 それではまた。

       

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Neetsha