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★文芸・ニノベ作品感想3★
3月3日更新ニノベ作品感想

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「重甲兵機HARS」 作者:田中鉈先生

【まえがき】
 ガッツリロボット物。タイトルはなんとなくARMSを想起するけどボトムズ寄り。田中鉈先生……どこかで聞いたことがあるような気がしますが、多分新人の方?

【ストーリー】
 ゴミ箱部隊の自殺屋の話。ネタバレしない程度に表すとこうなる。主人公は新人の赤城? ガンダムを見たことはほとんどないけど、ガンダムっぽい印象を感じた。ゴミ箱部隊は大日本帝国陸軍の主戦力。戦車より耐久力に欠けるため弱いらしい。一定以上の戦果を上げるなら強化すればいいのに。戦争の発端とか諸々については詳しくないのでなんとも言えないけど、その界隈の人びとからすると結構破綻しているらしい?

【キャラクター】
 赤城は優秀だけど無口で野蛮で一匹狼という感じ。あかねちゃんがヒロイン? 読み方が分からないので初出時にルビがほしい。あと、こういうストーリーでは仕方ないのだろうけど、一気に多くの隊員の名前が出て混乱する。必要なときに掘り下げれば良いと思うので、今必要ないキャラは省略してもよいのでは。野球漫画とかでも主要キャラ以外の部員の自己紹介は長ったらしく載せないと思う。あとはキャラクターの描写がほとんどないので想像が難しい。動作の流れに「長い髪が舞った」「鷲鼻で小さく笑う」みたいなのがあればなんとなく想像つくのだけれども。

【文章】
 文章と地の文を分けているタイプ。リズムが良くないのであまり好きではない。文章自体はさして問題ない(句点のあとのスペースは要らないと思う)のだけど、ところどころ違和感があるので一度朗読なりしてみると良いと思う。結構説明調なので、読者に察させる描写も必要かな? 以下抜粋。

>『烈華部隊』の面々は眉間のしわを一層深くすると頭の上に?マークを浮かび上がらせる。 つまり、困っていた。

 最後の一文みたいなのは要らない……。

【総括】
 文章に多少難はあるけど、ストーリーや世界観が非常に面白いので読む価値あり。確かに漫画原作向きだと思う。メカ好きの漫画描きの方は要チェック。

     

「天駆ける狂狼」 作者:ヤーゲンヴォルフ先生

【まえがき】
 ヴォーゲンヤルフ先生の新作。飛行士モノ。いつもの始まり方。そんなに長くならないそうです。投げないでね!

【ストーリー】
 独断専行した主人公・大栄の部隊が改編され、問題児二人がやって来たお話。神埼は普通の女性だけど、精神病院に入院していた過去あり。天影はおどおどした感じだけど捕虜虐待で軍法会議にかけられそうになった。こいつらやべえ。ということは大栄も何かしら実は過去にやらかしていた、とかありそう。そしていざ実戦になると、神崎は敵を見つけても攻撃できなかった。天影は典型的な攻撃狂? もしかしたら狂狼ってのは、三人共違う意味で狂っているということ?

【キャラクター】
 神埼と天影のキャラは面白そうだけど、肝心の大栄がよくわからない感じ(部下に信頼されているのは分かる)なのが勿体ない? 主人公は凡人というか、ある程度普通の人間なのはフォルクスワーゲン先生の作品ではよくあることなので気にしなくてもいいのかなと思う。終盤で主人公の狂っている部分が全面的に出てきて廃人になったら面白そうだなとかとか。

【文章】
 いつもと違って、若干戦記的? ~である、みたいな説明文章が多めな印象。飛行機での戦闘は想像しづらいのでありがたい。文章に関しては問題ないかなあ。不確実みたいな専門用語も分かりやすい説明が入るので勉強になる。こんな感じに知識のつく中編をたくさん書けば、軍モノに興味が湧いて書く人も増えるんじゃないかな。

【総括】
 面白くて文章上手いのでとにかく投げないでほしいの一言。コメントが付く付かないはタイミングの問題でもあると思うので……。

     

「ミシュガルド 寒冷地戦線」 作者:ミシュガルド戦線先生

【まえがき】
 ミシュガルドの寒冷地戦線の話。そのまま。一体ヤーゲン何ヴォルフ先生なんだ……。寒い地域の話なので、寒さに強い(?)亜人とか沢山出てきそう。

【ストーリー】
 アミネ橋を占領するとかしないとかそういう話。皇軍がオーソドックスに攻めようとしているところを、アルフヘイムが戦術や魔法を駆使して撹乱する。状況はいわゆる勝つ戦いではなく生き延びるための戦いなので絶望感が半端ない。突撃した獣人はロー? ロー死んじゃったの? 重要キャラなので流石に死なないとは思うけど。戦争の一端を切り取った話なので仕方ないけど、もう少しテンポよく進んでもいいかなとは思う。そしてこの話、ゴールは一体どこなのか気になる。それがわからないと結末が予想できず、書く方も難しそう。

【キャラクター】
 皇軍のスズカ、アルフヘイムのナイナ、なんかちょっと似てるようなそうでもないような。ローは狂った獣の皮を被った賢い戦士という感じ。いや獣人なんだけど。リーリアは登場した辺りからどういう扱いされるかなんとなく分かった。逆にあっさり殺されても面白かったかなと思う。あとナタイシが思ったより印象に残っていなかった。どんなキャラだったっけ。ローとかは登場が衝撃的だったからよく覚えているんだけど。

【文章】
 アルフヘイムの軍歌はある歌を翻訳? したものとのこと。調べてみると面白いかも。文章は非常に読みやすく分かりやすい。突っ込むところも特に見当たらない。この辺りは自信持って良いと思う。

【総括】
 どちらも消耗していて、破滅しか見当たらない戦い。どう収束させるのか気になるので、まあ、とにかく投げないでください。待ってます。

     

「力に戸惑う彼女の場合は」 作者:ソルト先生

【まえがき】
 いよいよ守羽VS茨木童子。そしてそこに現れた新たな参戦者とは……!? それはそうと、最近「しゅう」と入力すると最初の予測変換に「守羽」が現れます。前も書いた気がするなこのネタ。

【ストーリー】
 茨木童子に餓鬼をまかれ、苦戦していた守羽。そこに由音がさっそうと現れる。やっぱり主人公だよ君が。守羽がメイン張るストーリーなのに格好いいとこ持っていく由音さんまじパねえっす。あ、ここキャラクター語る項目じゃなかった。
 一話あたりの密度がそこまでないので、ストーリーに大きな進展はなし。今回は戦闘がメインになるだろうから仕方ないと思うけど、もう少しテンポよく行ってもいいんじゃないかな。良くも悪くも王道展開すぎる。気がする。良く言えば熱い展開で、悪く言えば「どうせここで由音が来るんだろ?」って感じ。

【キャラクター】
 由音さん相変わらず格好良すぎやしませんかね。あなた主人公でしたっけ。守羽もっとガンバレ。とくに俺の方。茨木童子のキャラはあまりにも噛ませっぽいのが鼻につく。殺されるのが分かっているからなのか。

【文章】
 以下抜粋。

>しかし、いた。
 いたのだ。
 いつか命を救った友人。その大恩を未だに抱いて、その身の全てを賭してでも尽くそうと息巻いていた、彼が。
 かつて自身に宿る異能と悪質な概念種に死すら覚悟していた者が。
 ほんの一部の、例外的な能力を持つ、このジリ貧を打開できる、人間が。

 由音しかいねえじゃねえか! って多くの人は考えると思うから、ここまで過剰に言わなくても……とは思った。ここでパパ登場とかだと「!?」ってなるけど、本編からしてそれはないって思うのが残念。

【総括】
 王道展開(悪く言えばお決まりのパターン、テンプレ)なので、ある程度先の展開が読めてしまう。ちょっと裏切ってくれることに期待。

     

「力を持ってる彼の場合は」 作者:ソルト先生

【まえがき】
 いつも更新ありがとうございます。即読みしました。

【ストーリー】
 実は金属の扱いに長けていたアルと酒呑童子の戦い。いいね熱いね、ここで命散らすのか格好いいね、と思いながら、まさかの展開に。これは笑う。この一戦で酒呑童子の心持ちが変わったり、後の展開に変化が生まれると面白い。
 一方守羽たちは決闘前と思えぬのんびりっぷり。アイスバーをくわえる静音さん? よく分からないので挿絵を至急用意してほしいですね。ちょっと一悶着ありそうだったけど由音があっさり解決してくれた。さすがは主人公。
 細かい部分だけど、今回は今まで思っていたある謎が解決されたのでものすごくすっきりしてる。こういうのが醍醐味だね。後付けだとしても疑問を拭ってくれたので嬉しい。明言しとくと「どうしていつもあの廃ビル群で戦っていたか」。読めば分かる。

【キャラクター】
 どの陣営もキャラクターが確立しているので決戦が待ち遠しくて仕方がない。レンとかぶっちゃけどんな奴だったか忘れたけど、振る舞いである程度どんなキャラなのか分かるのが大きい。そうだよね。出てきた時に見た目を描写して、あとは普通ってのはキャラクターにはならないからね。細かいところに個性が出てるのが面白い。上手い。早く人気投票やってほしい。毎日由音に投票するから。

【文章】
 いくつか気になったところの抜粋。

>レーヴァテイン辺のくだり
 なんかレーヴァテインの直後にまたレプリカ握ってたから混乱した。炎出してる間にニョキって出したってこと?

>残るは刃、残るは腕。
 最高の言い回し。

>「ふん、そんだけ叫んで動けてりゃ問題ないでしょ。そもそもアンタがそんだけ全力で挑んでロクなダメージの一つも与えられなかったってのがもう嘘臭いのよ。その大鬼ってのはどんだけ規格外の化物なんだか」
 長い付き合いでアルの実力を重々承知している音々だからこそ、ここまで完膚なきまでに撃退されたアルの状態こそが信じ難かったのだが、それをわざわざ言葉にして伝えたりするような真似は死んでもやらない。アルが付け上がるからだ。

 結局言ったのか言ってないのか分からない描写だった。

【総括】
 最新話ではついに決闘開始。この熱い勝負を見逃すな! なんかもうほぼ宣伝になってるけど続き待ってます。

     

「日替わり小説」 作者:天馬博士先生

【まえがき】
 寝る前のお楽しみ日替わり小説。今回は3月3日の分。生徒会長と副会長の話。

【ストーリー】
 なんだこれ、という感想だった。これを起承転結で例えるなら起の途中だと言っていい。オチを付けるのに苦労しているのか、ただ長編の一場面を切り取ったようにしか見えなくて残念。ストーリーらしいものもないので特に言うことはない。

【キャラクター】
 どういうキャラクターなのかをキャラクターが説明してしまっているので微妙。掌編なのでぶっちゃけそのキャラがどんな人間なのかはどうでもいい。「会長」「副会長」とだけ明言していればどういう生き物なのか、普通は想像できる。特定の行動さえさせていれば。で、この二人は結局どういう関係だったの?

【文章】
 長編として書いた文章としては問題ない。掌編としては突っ込むところ多数あり。

>軽口を叩きながら生徒会室に入ってきたのは、副会長向田勇だ。~~
 掌編でこういうことを書いているのは文字の無駄だと思う。基本的にキャラの説明はいらない。というか、こういうパターンだと“副会長”とだけ明言していて、実は人外だったー、みたいなオチを持ってくるようなものかと。

>「佳織じゃなくちゃ駄目なんです。理由なんて分かりません。僕の横に佳織がいる。僕が佳織を支える。その事実が重要なんです。逆じゃ駄目です。離れ離れはもっと駄目です」~~
 その理由を読者は知りたい。登場人物間だけで満足してどうするのか。これだからイヤなんだ、と言われても「どれだから?」となる。勇という人物がどういういきものなのか分からないのでこのセリフに説得力は微塵もない。

【総括】
 毎日掌編を書いて毎日オチを付けるってのは大変ですが、書いている以上はきちんとしたクオリティのものを提供できないと、オチをつけない癖みたいな厄介なものがつくと思うので、「そして宇宙が爆発して皆死んだ。」みたいなクソエンドでもいいのでオチを付けてほしい。

       

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