ミシュガルドを救う２２の方法
１２章　つられた魔女

「釣られたマジョーーーーーーーーーー！　」
　こけむした古木、蛇のように絡みつくツタ、霞がかった森にこだまする声。大粒の涙が目の端からこめかみ、額へと伝う。
　まだ幼さの残る黒衣の魔女が逆さづりに揺られている。左の足首にはひこつくし状に黒い糸で縛ってあった。逃げようと糸を引くと余計に締まる結び方だ。糸は巨木の枝に架けられ、末端は幹に巻かれている。
　猟師の罠にかかった小動物のように小さな魔女はもがき苦しむ。すでに顔はむくみ始め、気は遠くなる。
　この広い森の中で他の冒険者が発見してくれる可能性は限りなく低い。
　黒騎士から逃げおおせたメゼツたちが通りかかったのは、幸か不幸か魔女が気をやる直前だった。
　スズカが軍刀で黒い糸を切り、ラビットが落下した少女を抱きとめる。自然と連携が取れていた。
　さすがに失神寸前の女の子に、悪い病気は起こさない。サンリもダートも自重し、少女を柔らかい下草の上に寝かした。
「おーい、大丈夫か？　自分の名前言えるか？」
　メゼツの呼びかけに反応があった。意識はあるらしい。
「あたし、あたしはケイト。ケイト・シバリン」
「ここはどこだ？　分かるか？」
「東の森」
　東の森はその名の通り大交易所から東側に広がっている森林地帯のことだ。禁断魔法によって消失したアルフヘイムアーミーキャンプの遥か南方に位置する。どうやら甲皇国の勢力圏から脱することができたらしい。
　しだいに意識がはっきりとしてきたケイトは、起き上がりざまメゼツを怒鳴りつけた。
「なんで助けたのだ！！　あともうちょっとだったのにー」
　メゼツは直感的にヤバい奴を助けてしまったと後悔するのだった。
　なるべく関わりたくなかったが、頼まれてもいなのにケイトは切々と語り始める。
　ケイトはとても小さなものを探していた。それは小さな小さなローパーの幼生体。ケイトとそのローパーは種族を超えた固い絆で結ばれていた。
　１週間前ケイトが野生のローパーを見せてあげようと森へ散歩に行ったときのことだ。
　久々の森にテンションの上がったローパーはケイトから離れ深い森に消えてしまった。迷子になったローパーのために３万ＶＩＰの賞金をかけてクエストを発注したが、いまだにローパーは見つかっていない。
　何か危険なことに巻き込まれてやしないかと、胸がしめつけられる思いでケイトは毎日森に入って探しているという。
「いや。そこから木につり下げられるところまで、どう考えても繋がらないぞ」
「こ、これはその。主が慰めてくれないから、自分で気持ち良くなろうと思って……」
　やはり関わり合いにならないほうが良い。自分のペットのローパーを主とか呼んでるし、こいつは絶対ヤバい奴だ。
　メゼツたちは示し合わせたように、ケイトを置き去りにして逃げ出した。
「あっ、逃げるのだ。トマキ、捕まえちゃって！」
　さきほどまでケイトを縛っていた黒い糸がまるで生命を得たかのようにクネクネ踊り、メゼツの首に巻き付いた。糸は不規則な幾何学模様を宙に描きながらスズカも縛りつける。
「さっきはよくも切ってくれたね」
「糸がしゃべったーーー！！！」
「私は全ての糸を統べる魔女、イート・マキマ・キィ・トマキ。統べすぎてこんな姿になっちゃったけど、元の姿は絶世の美女なんだから！」
　トマキはラビットを締め上げ、ダート、サンリと次々と絡め取っていく。
　すっかり身動きがとれなくなったスズカとサンリを睥睨してケイトは言う。
「私がこんな性癖になったのはどう考えても甲皇国が悪い！」
　亜骨大聖戦と呼ばれた戦争の終戦まぢか、アルフヘイムの英雄クラウスに何度も苦渋を舐めさせられた甲皇国では敗因の研究が行われていた。大工の子せがれに過ぎないクラウスをどう研究してみたところで、納得のいく解答は得られるはずもない。やがて研究の方向はより感情的に、よりオカルトな方向に進んでいった。
　甲皇国の情報網がクラウスのそばを片時も離れない女性を突き止めたのは、おりしもそんな時だった。そのミーシャという女性はただの田舎娘に過ぎなかったが、英雄がただの小娘をそばに置くはずがない。この女性は魔女に違いないと甲皇国の研究機関はいびつな答えを導き出した。
　甲皇国内の魔女に対する風当たりは強まり、辺境で暮らしていたケイトも宗教裁判にかけられることになる。
　ケイトは椅子に縛り付けられたまま滑車からつり下げられ、何度も井戸に沈められる拷問を受けた。
　溺れる寸前で引き上げられ、回復させてはまた沈めるのくり返し。
　絶え間なく襲い来る苦痛と恐怖はケイトの心の中の何かを覚醒させてしまった。
　苦痛は快楽へ変わり、恐怖は高揚へ取って代わる。
　あまりに拷問を耐えてしまったため研究者が調べてみると、ケイトは無意識のうちに肉体的心理的にかかわらずダメージを魔素《マナ》に変換していることが分かった。
　拷問が研究に変わり、ケイトの待遇は格段に向上したという。罪人からモルモットになっただけではあるが。ケイトにとっては物足りない。甲皇国から脱出したケイトは心にぽっかり穴が空いたまま戦後ミシュガルドへと渡った。
　主はそんなケイトの心の穴を埋めてくれた。ローパーは人懐っこい生き物だ。最近「ローパー育成観察記」というローパーのハウトゥー本が出版されて以来、ペットとしての需要が高まっている。
「そんなひどいことした甲皇国の人たちは罪滅ぼしにいっしょに主を探さないといけないのだ」
　逆恨みもいいところだと思ったがメゼツたちは従うしかなかった。

　東の森を北へと戻ると森はいっそう深くなる。木々は天蓋のように空まで枝葉で覆いつくし、昼間でも暗い。甲皇国がこの森のことを黒森《シュバルツヴァルト》と呼ぶ所以である。
黒森《シュバルツヴァルト》はいまや甲皇国の勢力圏内になった。枯れ井戸の牢獄から脱出したメゼツたちが甲皇国兵に見つかればただでは済まないだろう。
　そうでなくても人を食らうショタコンコイコイなどの危険度要注意《イェーガー》の魔物たちが跋扈する黒森《シュバルツヴァルト》は危険なのである。
　森の規模に比例するように住まう魔物もより大きく、より凶暴になる。甲皇国生物調査隊の危険度調査表によると、東の森の魔物は６等級の内下から２番目の注意《ヴェヒター》がほとんどだ。黒森《シュバルツヴァルト》にはそれ以上の魔物が出現すると報告されている。
　いまだに失明したままのメゼツは足の裏の感触を頼りに一歩一歩落ち葉の道を踏みしめていく。
　全身の隅々までに意識を巡らせていると、足の下に眠る埋もれ木まで掘り当てられそうだ。
　精霊樹の化石である埋もれ木は、黒ダイヤと呼ばれるくらい甲皇国では重宝されている。大陸を横断するミシュガルド鉄道の燃料として埋もれ木は使われるからだ。
　足の裏がにわかに湿り気を帯び、せせらぎが聞こえてくる。どうやら小川が流れているらしい。川岸に沿って遡上すれば、迷うことなく森の深部にたどり着けるだろう。いざとなったら、川を下ればいずれは森を抜けられる。
　全身に意識を分散させていたおかげで、メゼツが一番初めに気が付いた。ウンチダスの白い肌にうっすらと鳥肌が立つ。
「動くな！　何かいる！！」
　落ち葉を踏む音が途絶え、仲間たちの動きが止まった。否、動けなくなっていた。開けた木々の隙間のかすかな木漏れ日に照らし出されきらりと光る放射状の模様。暗くて気が付かなかったが、投網ほど大きなクモの巣が向こう岸まで張り巡らせてある。
　クモの糸がダートの体にまとわりついている。すでに自由は奪われた。バリバリバリと足の多い節足動物特有の奇怪な音を鳴らしながら、人食いワニほどの大きさの巨大グモが近づく。スリパリー・アヘグニーだ。糸の振動をうっすら生えた体毛で感知して、ラビットに迫る。
　身動きができなくなったのを見届けてから、臆病なシャギー・アヘグニーがおこぼれにあずかろうと木々のうろや根元からはい出てくる。大型犬ほどの大きさのクモで毛むくじゃら、顔もつぶれたブルドックのようでどこか愛嬌がある。が、油断はできない。シャギー・アヘグニーは巣を張らない代わりに、スリパリー・アヘグニーより優れた目と耳を持っている。
　クモの巣に捕まっていないのはメゼツだけだ。しかし、ウンチダスの体には腕がない。テレポート能力を失い、目すら見えない。
　三重苦のメゼツにいったい何ができるだろう。
　スズカは熱い吐息を吐き、ラビットは近づくクモに体をこわばらせる。サンリがもがくと糸はさらに絡みつく。仲間たちは丸一日森を歩き回り疲れ切っていたが、自然の猛威は待ってはくれない。ケイトの悲鳴が黒森《シュバルツヴァルト》にこだました。


　目の見えないメゼツは気づいていないが、冷静な目で木陰から様子をうかがっている壮士がいる。
　使い古した鎧で身を固め、スズカとサンリ、軍服のふたりを見据えている。
　壮士はかつて甲皇国の兵であった。だが甲皇国軍の有り様に嫌気がさし、今ではＳＨＷの冒険者となっている。
（助けてやりたいが、甲皇国とはもう関わり合いになりたくない。ああ、こんなことを思い悩む自分が嫌だ。かつての上官ならばこんなときどうするだろう？　きっと後先なんて考えずに体がかってに動いてるに違いない）
　思い直し助けに入る前に、すでにメゼツは動いていた。
　何の力も持たないウンチダスがアヘグニーに立ち向かい、仲間たちを身を盾にしてかばっている。
（まさか、あのウンチダスは……いや、そんなハズはない。メゼツ公子は大戦中、禁断魔法に焼かれたのだ。生きているハズがない）
　目から流れ出る熱いものを抑えることができない。壮士はやおら木陰から躍り出ると、剣を抜いたままの勢いでまず１体、続けざまに２体のシャギー・アヘグニーを串刺しにした。
　壮士の剣の腕は悪くないが、人間離れしたものでもない。とはいえ生来の生真面目さゆえに、このあたりの魔物とは何度もやりあっていて戦い慣れている。ラビットをブーツからかじっていたスリパリー・アヘグニーに組み付くと、豚羊《マトマトン》の毛刈りの要領で丸裸にしてしまった。
「御曹司！　アヘグニーの耳は全身の毛です。毛を刈って無力化したアヘグニーを相手してください」
（御曹司？　私は今そう言ったのか？）
　メゼツはいきなり戦闘に飛び入り参加してきた壮士に面食らったが、不思議と背中を預けられるような居心地の良さを感じていた。
　まるで十年来の知己のようにふたりはかばい合う。
　かつての戦友のように連携し、ものの数分でアヘグニーをかたずけてしまった。
　アヘグニーを撃退し気が抜けたのか、メゼツは足元を流れていた小川に足を取られ転ぶ。急流を滑り落ちるメゼツに走り寄って追いつき、壮士は川からウンチダスの白い体を引き上げた。
　まるでメゼツがこうなることを予測しているかの様にそれは自然な行為。そして壮士はメゼツに最敬礼の姿勢をとる。
（間違うハズがない。子供でも足がつくような小川で流される者が、御曹司の他に誰がいるというのか）
「御曹司、私です。あなた様の部下だったロメオ・バルバリーゴです」
　聞き取りやすいが特徴のない声。メゼツには聞き覚えがあった。人の良さがにじみ出たその声は大戦中何度もメゼツをいさめた副官の声だった。
　戦中のことが昨日のことのように胸中を去来する。
「達者だったか。俺がいなくなって苦労かけたな」
　ロメオはせっかくひっこんだ涙がまたあふれてきて始末に困った。
「私はあなた以外の上司の下について初めて、甲皇国のむごさを知りました。今は甲皇国を去りＳＨＷで冒険者やって生計を立てています」
「そっか。それもいいかもしれねえ」
　ふたりは積もる話もあったが、危険な森の中に長居したくない。
　まずはクモの巣で身動きが取れない仲間たちを助けることにした。
「仲間ならとっくに私がすべて助けてやったわよ」
　糸の魔女トマキはクモの糸を操り、スズカを自由にしてやっていた。
「そっか、サンキューな」
　メゼツはスズカの軍服にくっついていた糸くずにお礼を言う。
「ちょっと、それはただの毛玉！　私はこっち！！」
　トマキはピョンピョン飛び跳ねて抗議する。
「冗談だよ。ちょっと意地悪しただけだ。お前ならもっと早く仲間を解放できただろうに」
「だって、ケイトちゃんが途中でほどくと怒るから……」
　ケイトは恍惚とした表情で、アヘグニーが襲ってくるのをまだ待っている。
「いやー、クモが……アヘグニーが。いやらしく膨らんだ腹から、糸を滴らせて……」
「クモならもう退治したぞ」
「何余計なことしてるのだ！　まだ途中なのに！！」
　メゼツはこの魔女と関わり合ってしまったことを激しく後悔していた。


　ロメオの紹介がてら小休止の後、メゼツ一行は今日の捜索を切り上げ帰途についていた。
　疲れた体にこたえるケイトのやかましい声がメゼツらを止める。
「待つのだ！」
「日が落ちると帰れなくなるぞ。明日にしろ！！」
「ローパーの足跡を見つけたのだ！！」
　ロメオはメゼツの目となり足跡を調べる。
　足のないローパーに足跡という表現もおかしいのだが、便宜的にそう呼ばれている。ローパーは幼生体のときはピョンピョンと飛び跳ねて移動するが成体になると重くなり、はうように体を引きずって歩くようになる。
　ローパーがなぎ倒した木々や草が森の中に直線を描き出す。
　直線は西に向かって地平線まで続いている。
　幼生体の足跡を見つけることはついぞできなかった。
　この直線の先にいるであろうローパーの群れの中に、もしかしたら主様が紛れているかもしれない。ケイトは捜索の継続を望んだ。
「ふざけんな。みんな疲れ切っているんだ。明日にしようぜ」
「やっと見つけた手がかりなのだ。あたしはもう１週間も探し続けてるのだ。ここでお預けなんて頭がどーにかなっちゃうのだ！！」
　もうすでに頭はどうにかなっているだろうとメゼツはツッコみたかったが、またトマキに縛られるのは御免だ。
　群れの中にお目当てのローパーがいないのを見れば諦めもつくだろう。
　幸いローパーの足は遅いからすぐ追いつける。
　メゼツたちはローパーの足跡をたどり沈む太陽に向かって歩き出した。

　スティームタウン。ミシュガルドにやってきた甲皇国の技術者たちが自衛のために建てた街。最先端技術の粋を結集して作られた計画都市である。埋もれ木を燃やし続ける各実験棟が稼働し、まるで街そのものが機械のようだ。林立する煙突からはもうもうと蒸気を吐いている。
　レンガ造りの城壁のてっぺんにはぎざぎざの胸壁があり、そのぎざぎざと噛みあうような歯車の付いたモノレールが胸壁をレールに使い、ぐるりと街を一回りしている。
　奇怪な生物の皮を着ている肥えた男が、街の周囲からひたひたと迫る津波のようなローパーの群れをモノレールの窓から観察している。
　同乗するちみっこい男の子が声を荒げる。赤い民族衣装と手にしている水晶玉が特徴的だ。身長と同じ長さの紫色した長髪は首の下でひとつに編まれている。
「これが大海嘯まる。とうとう占い通りのことが起きたまる。さんざん警告したのになんで救世主を探し出さなかったまる？　デイブ・ピザガスキー市長！」
「お客人。このグロースムントの血肉でできた白い皮衣を見よ、これこそ救世主のあかし。私がこの街を守る！」
「その者、血で染めし白き衣をまといて、金色の森に降り立つべし。あなたは白き衣の者ではないまる」
「ふん。この街の防衛設備を見せてやる」
　デーブ市長は同乗している股肱の部下に城壁に備え付けられた大砲を撃つように命じた。
　ローパーの群れに砲弾の雨が降り注ぐ。跡形もなくはじけ飛び、大地は耕される。
「なんてどんくさい奴らだ、これなら目をつぶったって当たる」
　ローパーの体表色がオレンジと白のしま模様に変わり、腰がくびれ、触手を蠢かせて機敏に動き始めた。
　砲弾にもひるまず赤い波が勢いを増し押し寄せる。堀はローパーの死骸ですぐに埋め尽くされ、積み重なって堀を渡り切ったローパーが城壁に体当たりする。学習でもしているのか破城槌《シュトルムボック》のような攻撃から、触手をよじってシールド掘進機がトンネルを掘り進むように城壁を削り街に侵入した。

　森を歩きなれているラビットが道案内。ダートも老いたりといえどもさすがはエルフでラビットの尻を追いかけている。
　エルフの強靭な身体能力に負けん気の強い皇国人サンリ、スズカもよくついて来ている。
　普段ならばメゼツも競い合いそうなものだが、森の中を盲目で全力疾走すればどうなるかはすでに学んでいた。ウンチダスの体は木の幹に擦った傷や、切り株につまずいてできた傷で赤くにじんでいる。
　ロメオがメゼツをいたわって、最後尾から支えていた。
「何かにおわねえか？　懐かしい、戦場のにおいだ」
「御曹司！　戦争はもう終わったのです」
「そうじゃねえって。こっちのほうからよー、なーんかキナくせーにおいがすんだよ」
　メゼツの指し示す先にはローパーの足跡と、確かに不穏な黒煙が渦巻いている。
「あれはスチームシティですよ。この先にある蒸気を吐き続ける街です」
　サンリが血相変えて引き返してくる。
「大変だ。あの不燃の城塞が。スチームシティが。燃えている」
　ローパーの足跡は途上にあるものを踏みつぶしながら、スチームシティまで達しているという。
　甲皇国の４人はすぐに魔触王の指輪を連想する。ローパーを操ることができる不思議な指輪とそれによって引き起こされた災いを。
　魔触王事変。５年前甲皇国をローパーの群れが襲った大事件だ。当時の大人たちは詳しいことを話したがらなかったが、下ネタ大好きな当時の子供たちの間にも伝聞が広まっている。子供たちは興味本位で調べて、大人の階段を２段飛ばしで駆け上がってしまった。
　迷子のローパー探しがとんでもない事件に繋がってしまった。ローパーの足跡は西へ西へと続いている。スチームシティを越えればその魔の手は甲皇国駐屯所にも及ぶことだろう。ローパーの群れを止めなくてはならない。
「これは我々皇国人とっては命を賭すべき戦いだが、エルフには無関係。ここでお別れだ」と、メゼツはこの件にラビットとダートを巻き込まないことを伝えた。これは甲皇国人４人の総意だった。
「それはちょっと水くさいんじゃないかしら」
　ラビットが短い眉毛をハの字に曲げて言う。ダートもラビットの意見に同意した。
「そういうことじゃ。アルフヘイム人には関係ないというが、そういう君たちだって甲皇国の牢に繋がれていたのに、祖国を救おうとしているじゃないか。わしらは似た者同士じゃよ。今更のけものにしないどくれ」
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┃＞エルフの手も借りる　┃→最終章　世界を救う８つめ方法　へすすめ
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┃　甲皇国人だけで行く　┃→最終章　世界を救う９つめ方法　へすすめ
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