Neetel Inside ニートノベル
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社畜山田のXファイル
テレビ(ホテル)

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 名古屋へ出張の際、駅周辺のビジネスホテルに宿泊した。
 出張に出ると解放感から財布の紐が緩くなってしまう。一人じゃなければ酒場代も領収書で通るが、単独ではまず無理。そこで近くのコンビニで夜食の買い物を済ませ、颯爽と部屋に籠る。少し寂しいような気もするが、移動する機会がこうも多いと別に今回特別なことをしなくてもと自分を納得させられる。

 雑誌、弁当に発泡酒、それにつまみを少々。準備が出来るとチェックイン。少し訛り気味なフロントのお姉さんからキーカードを預かる。どうして訛りのある女性はこんなに愛嬌を感じるんだろうか。愛知は関東とほとんど距離も変わらないのに西日本風方言が頻繁に聞ける。なんとなく得した気分になれるね。

 非接触式のルームキーをかざして部屋に入室する。中は窓から入る街の灯りで十分明るい。一先ず、備え付けの家電やライトを利用するために、入ってすぐの壁にあるソケットにキーを差し込む。これで部屋が明るくなる。

 ベッドの時計に目をやると21時。本来なら夜はまだまだはこれからの時間。しかし、暇を持て余すことはない。対策はしてある。
 出張用のカバンからDVDのポータブルプレイヤーを取り出す。これだけでも小さな画面で楽しめるが、俺は備え付けのTVへケーブルで繋ぐ。録り貯めたバラエティやドラマをここで一気見するのがちょっとした楽しみになってる。

 さて、何を見ようか。大河ドラマを見始めると寝ることを忘れてしまう、危険だ。ここはゴールデンタイムに放送されたバラエティで行こう。

 2タイトル目を見始めてしばらくしたところで時計に目をやると0時。いかん、結局時間を忘れている。
 シャワーを浴びて寝巻きに着替える。部屋の明かりだけ消してDVDの音は下げ気味に。ベッドに潜り込んで引き続き動画を楽しみながら眠気を誘う。タイマーは使わず、朝起きたら消すスタイルにすっかり体が慣れてしまった。

 寝れない、全然寝れないぞ。いくら寝返りを打っても、股に布団を挟んでも、さっぱり寝れない。何かいい方法はないものか。
 そういえば、廊下にお好みの枕を選べるなんてホテルサービスがあったな。考える程だんだんと枕に違和感を覚えてきたぞ。そうか、枕だ。きっと枕が原因なのだ。
 半ば使命感で廊下に出ると、枕が陳列されている棚を発見。
 中身がビーズ。ストロー。すごいぞ、そばがら素材なんてのもある。しかし漢は黙って高反発、まあ自宅と一緒って理由で。部屋に戻るとそのままベッドに潜り込んでみる。
当たりだよ。これは心地よい。感覚を確かめてるだけで瞼が重くなってきた。




 目が覚めると、まだ暗い。眠りが浅かったか。
 ふとテレビに目をやると画面が終わっている。いや、そのままの意味で終わっている。黒画面で右下に子供が描いたような白文字で
『おわり』

 とだけ表示されている。
 リモコンはテーブルの上。消すには起き上がらなくては。眠気はまだ十分残ってる。わざわざ消すのも億劫だ。そのまま気怠さに身を任せ再び目を閉じてみる。




 次に目が覚めると明るい。時計に目をやると8時。まずいぞ、今度は寝すぎた。なんか一旦目が覚めると最初に寝た分の貯金はリセットされてるような気がする。あんまり寝た気がしない。
 しかし、朝飯のホテルバイキングだけは食べたい。なんとしても。

 フロントへ出るため、簡単に身だしなみを整える。
 ホテルの朝食は意外に郷土料理なんかがあったり楽しめる。これも節約出張の醍醐味かもしれない。

 そんなことを考えながら枕元に転がったルームキーを手に取り、俺は部屋を後にする。

       

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Neetsha