【雑誌】ニートノベル
【作品名】力を持ってる彼の場合は
【作者名】ソルト
【作品URL】http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=17463
【実は2回目の感想】
本作は文芸感想企画の2015年2月15日の時に第一話の感想を書いた。
その時の感想がこれ。
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=16883&page=127
ただ当時は第一話だけの印象だったので、様子見という感じでそこまで良い評価ではない。
それなのに今回また更新合わせて頂き、ありがとうございます。
いや、リベンジのつもりなのだろうか…。
そうか…あの時は第一話だけだったが、もう四十七話にもなるのか。感慨深いものがある。
あれから驚きながら見ていたが、物凄いハイペースで更新を重ねてきている。それだけでニノベ界隈では凄い作品といえる。
コメントが余り貰えない文芸・ニノベ界隈では、継続することこそ最も困難だからだ。
【苦手なジャンルだが…】
異能バトル、人外、高校生。
そういうキーワードが好きな読者には良いラノベなんだが、個人的には飽き飽きしていて好みではない。
私が高校生の頃、90年代あたりには「ジョジョの奇妙な冒険の3・4部」とか、「うしおととら」とか。そういうのは面白く読めていた。
しかし時代が下って2000年代…成人してまで、「とある魔術の禁書目録」とかああいう厨二病的な異能バトル物は、そんなに熱中して見られるものではなくなった。
ただ、去年あたりから更に味覚が変わってきた。
一周回ったのだ。ある程度のクオリティやネタがあるなら、どんなジャンルでも割と美味しく頂けるようになった。
特にこういう感想企画を書くにあたって、雑多なジャンルに触れるようになると。
苦手なジャンルでも面白さを発見する楽しさを見出すようになった。
という訳で、本作も長くとも面白く読むことができた。
【男らしい主人公】
高校生一年の男子にしては、守羽はやけに成熟していて冷静で男らしい。熟練の戦士のようだ。
身体能力を倍加させる異能を持ち、普通の高校生ならもっとはしゃいじゃってるんじゃないかな?
だが彼は力を面白半分に見せびらかしたりしないし、なるべく使わないようにしている。不良に絡まれた程度ならギリギリまで使わない。
生き死にに関わるような化け物相手でようやく異能の力を使う。
そして自分を犠牲にしてでも、家族や大切な人達を守ることを第一に考えている。
第六話にそれは良く見られ、鎌鼬の転止との戦いで、わざと自分の肉を食わせ、自分に敵の注意を引き付けようとしていた。
第七話でも暴走する転止を止めたいと訴える夜刀と妙薬に対し、「殺すためなら力を貸すが…」と言いつつ、結局は助けるために命がけで行動した。
普通の高校生ではないにせよ、中々できることではない。実に男らしくてかっこいいではないか。
まさに正統派少年漫画の主人公であり、好感度は高い。
こうしてみると、単に身体能力の倍加という地味~な能力でも、それのみで拳で戦う守羽は男らしく見えてくる。界王拳かっこいいよね。
シンプルな能力の方が見栄えがしてくる文章でもある。
小説でこれだけ臨場感や迫力が感じられ、情景が想像しやすい文章を書けるのは中々の力量だと思う。
話の方も「うしおととら」あたりが好きな人なら面白く読めると思うぞ。