Neetel Inside 文芸新都
表紙

じんせいってなんですか?
ガタン、ゴトン、ガタン……ゴトン…。

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目が霞む。
(空はまだ暗くマンションの街灯だけがチラホラとぼんやりと点っている。しかし私の目がぼやけているからではなく、右から左に白いライン。窓ガラスは指紋。)
前髪をハサミで切った。
(小学生から使っている工作バサミ。シャキシャキと鳴らして、指先を自分で切ったことを思い出しました。プツンと皮膚が割れるのです。端っこから滲んでくる血。舐めると鉄。ハサミの味でしょうか。)
ジャキ。ジャキ。ジャキ。
(右から左に切る。視界はまだぼんやりとしている。目の前に目。目の中で私。)
ジャキ。
(小学生、親の書いた作文で賞をとりました。壇上、拍手がすごかった。当たり前。これは、自分が書いたものでは無い。母が書いたものだ。母に見せると嬉しそうだった。良かったです。)
ジャキ。
(小学生、彫刻刀で親指を抉ってしまった。図工室にボタボタと私の血が落ちました。バレないようにしました。バレたら皆の注目の的になるので。決死にティッシュで押さえました。すぐ血で膨らみ、後ろの席の子が「血だぁ!」と言いバレました。保健室の先生に「この絆創膏、一枚、百円するんだから」と言われた。痛いのに、金か。)
ジャキ。
(小学生、部屋にいました。インターネットもなかったからずっと絵を書いていたら、褒められました。ありがとう。ありがとう。でも、私は絵より、文の方が書くんです。21年間生きていて、気付いた?)
前髪。排水溝。直線の前髪。クマで鈍くなった目。母親に似てる顔。父親に似てる顔。でも両親のように薬は飲めません。苦いのは嫌いですから……、ジャリジャリ、しますから……、奥歯で擦るのは、よくないですね。ジャリジャリ、と、チリチリと、耳奥。キーン、とつんざく耳奥。眉間を人差し指でぐりぐりとねじこんで両方。大きく息を吸った。
(今、窓の先に見える目の先に見える目の奥で見える窓の奥で見えた。よだれが出ていたからベロで舐めた。喉奥はずっと熱くて痛い。)

       

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