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ニノべ・文芸小説感想
コメ500突破記念ゲスト感想返礼感想

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 はいどうも鹽竈です!
 コメントがついに500を超えまして、それと同時に鹽竈痛恨のミスで自作品を感想日に更新してしまいまして。とうとう開き直ってコメ500記念でタダス先生に感想を書かせるという大暴挙に出る始末でした。温厚なタダス先生でなければ僕は今頃この世にいない…。
 というわけで、さて本題。
 鹽竈(ソルト)が懲りずにいくつもシリーズとして出している場合シリーズの一番最初のFAを描いてくださったタダス先生。これを頂いたのは一昨年2015年の七月二十日、気温の高くとても暑い夕刻のことだったのを今でもはっきりと覚えております。
 わざわざサムネまで作って頂き、稚拙な語彙しか持たない自分は言葉では言い表せないほどの驚愕と歓喜に打ち震えました。
 そして同時にこうも思いました。この方は一体どんなお話を描かれるのだろうかと。
 当時まだ新都社を初めて間もなく、ニノべ以外の作品には触れるどころか存在すら曖昧に認識していた時分で、捜し方もよくわからぬままにしばらく間が空いてしまいました。
 そしてようやく見つけ、読み始めることが出来た次第でございます。特にSNSもやっておらず、Twitterも2016の新年から始めたばかりだったので誰に何を呟くこともなく無言で更新を追っかけていました。コメントの仕方もわからず一言も送れなかったことが今となっては無念の一つです。
 前置きが長過ぎましたが要はそういうことでありまして。
 コメント500突破記念ゲスト感想、の返礼?御礼?ともかくタダス先生改め菫火ルーコ先生が最近第一部を終えられた作品『やさぐれ窃盗団』の感想をこの場にて書かせて頂きます!

     


   「やさぐれ窃盗団」   作者:菫火ルーコ

   【作品内容】
 平凡なOLとして日々を過ごしていたエダ。一般社会ではまず使い道のないとある能力を宿していた彼女は、ある日の夜に謎の二人組によって拉致される。
 連れて行かれたその先で、エダと二人組はひょんなことから行動を共にすることとなる。裏の世界で窃盗を生業としてきた二人組の名はビンとキリ。一度闇に引き摺られた以上は元の世界に戻ることは不可能。
 他に生き抜く手立ても無く、エダはビンとキリの提案を泣く泣く呑むことにしたのだった。
 こうして裏の世界で名をリモウと変え、三人組は闇の中で窃盗団として運命共同体の間柄となるのだった。

 この辺りまででプロローグって感じでしょうか。
 人並み外れた嗅覚を持つリモウを初め、他二名もそれぞれに精通した分野がありこの三人組はとてもバランスの取れた一団として動くことになります。
 物語上はタイトル通り盗みを働きながら裏社会のイロハをリモウと共に体感していき、同時に登場人物の心情や過去について徐々に触れて行く形となりますね。


   【人物】
 メインは三人組の中でも唯一日常の枠で生活をしていた元OLのリモウ。
 彼女の力によって窃盗団は飛躍的にその成功率を高めていきますが、同時に他人のものを盗むという非道徳的な行為に手を染める自身の良心とも度々葛藤していく様子が描写されています。良くも悪くもリモウは裏社会には向かない性根の持ち主だったということですね。
 窃盗の手伝いをしつつ、その実では日常生活への復帰を願い行動する中、行方知らずの両親のことも探す忙しい毎日。次第にビンとキリへの連帯感を覚えつつあるリモウには、これまでの仕事や生活では絶対に有り得なかった『信頼』という繋がりが感じられていた。
 表面上の付き合いしかしてこなかった表の世界と違って、裏社会は信じることこそが仕事の成否に直結する大切なことだったということで、リモウにとって嫌々ながらに付き合って来たこの窃盗団で初めて人と人との心からの結束を実感することが出来たのですね。
 その後も様々な仕事をこなしていく上で、だんだんと『窃盗は悪いことだけではない』という考えへと移り行きます。
 義賊というわけではないでしょうが、盗んだものを元の持ち主へ帰すという手段は決して褒められたものではなくとも、頭ごなしに悪と断じていいものでもないと気付いた瞬間でした。
 最初は窃盗団をまとめて牢屋にブチ込んでやろうと意気込んでいたリモウも、中盤辺りからは立派に窃盗団の一員として働けるようになっているのが彼女の心情変化を如実に伝えてきますね。そもそもあの嗅覚は反則過ぎる…。
 第一部はリモウを主役に置いているので、当然ながら彼女の視点で物語が進みます。その都合上、三人組でありながらビンとキリの素性は終盤くらいまでほとんど明かされることがありませんでした。この辺りは普通に大きめのネタバレに繋がるので言及は避けておきますが!
 ともあれ第二部以降に男二人にスポットが当たり活躍されることを期待しましょう!


   【絵】
 本来ならこの項目、いつも通りの小説感想なら【文章】なのですが、漫画なのでこうしときます!
 今更ですが『やさぐれ窃盗団』は月刊コミックニートで連載されている漫画です。
 菫火先生の絵には大きな特徴があり、それは登場するキャラクターの姿が猫として描かれているということ。
 二足歩行の、人型の猫ということですね。決して某猫型ロボットのような姿ではありません、頭身ちゃんと人間サイズです。
 擬人化された猫の姿でありながらにして、きちんと認識できるようにキャラクターの外見に気を遣われているのがよくわかる人物達ですので、読んでいてこれ誰だ?となるようなことはありませんでした。
 男は凛々しく時にふてぶてしく、女は色気あり妖艶な雰囲気を醸し出し、猫という外見的特徴を強調したまま秘めたる人間性をわかりやすく描かれていまして。ミニグの『コイツ只者じゃねぇ…』感なんて凄かったです。予想通りヤバい人でしたし。
 鹽竈個人としてはミセス・フォリスマが好きでした。あれで四十代とか信じられん…!新たなボスとして第二部で活躍の機会があるのかどうか?
 あとはサトウさんでしょうか。出番自体は非常に短いものでしたが、あの部下思いの一面を見せられたら……でもこっちはちょっと出番あるっぽいですね、よかったよかった!


   【ざっくり感想】
 というわけでー、やさぐれ窃盗団第一部完結までのお話でした!
 普段はネタバレ上等で小説感想やってますけど、これ気にしながら書くと結構難しいのですね。こんなのでこの作品の魅力が伝わったかな…。
 第二部は少し時間を空けてから更新されるそうですので、今が第一部を読み終えておくチャンスですよ!
 余談ですが、この作品窃盗以外でもちょっとした知識をキャラが披露してくれることがあるので、その辺りも注意深く見てみると色々勉強になります。茶道の話とか、実際にやってたんじゃないのかと思うくらい詳しく描いてあるのは一体…。あと猫舌だろうからお茶飲むの凄い遅そう…。
 二部からは前ほどブラックな話は出て来ないらしいので、より安心してあの三人組の活躍を見て行くことが出来そうです。ミニグとの再戦とか(あるいは共闘とか)あるといいなぁ。
 

       

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