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セルフインタビュー企画
竹トンボ(2016.9.6)

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【質問者】それではセルフインタビューを始めさせていただきます。まずは自己紹介をお願いします。
【竹トンボ】竹トンボと申します。少年VIPで『勇者と伝説の「ギ」』を連載しています。ミシュガルド聖典企画でもいろいろ描いています。よろしくお願いします。


【質問者】『勇者と伝説の「ギ」』の紹介を簡単にお願いします。
【竹トンボ】勇者が変な武器で闘うギャグバトルマンガです。コメントではコロコロやボンボンっぽくて読みやすいと言ってもらえています。
【質問者】この作品の見どころを教えてください。
【竹トンボ】読みやすさと、ギャグとバトルがどちらも意外と好評といったところでしょうか。あとオマケの番外マンガ『勇サルと伝説の「ギ」』も好評で、「オマケが本編」というコメントが多かったです。自分のマンガが他人から見て面白いかってよく分からないですが、そんなところかなあと。


【質問者】マンガを描く時に心がけていることはありますか?
【竹トンボ】最近意識しているのはテンポをよくすること。そのために無駄ゴマをなくすようにしてます。
【質問者】無駄ゴマというと、例えば背景が真っ白で吹き出しが一つあるだけ、みたいなコマですか?
【竹トンボ】それは演出上必要なコマ。そういうコマって吹き出し以外何も描いてなくて「情報」は持ってないですけど、「役割」はあるんですよ。間をとるとかの役割が。僕が思う無駄ゴマは、役割を持っていないコマのことです。もしくは役割を十分発揮できていないコマ。
【質問者】コマの役割ですか。全部のコマで「このコマはこういう役割にしよう」とかいちいち決めてるんですか?
【竹トンボ】僕がコマに役割を与えているというよりは、頭の中にあるストーリーを一つ一つコマに置き換えていくときに、そのコマがどういう役割になるのかしっかり確認するという感じですね。頭で考えたりネームにするときに「このシーンは見せ場だから大ゴマで気合い入れて作画した方がいいよな」って確認するんです。
【質問者】なるほど。でも見せ場を気合い入れて描くって当たり前というか、誰でもやってることなんじゃないですか?
【竹トンボ】見せ場はそんなに困らないんですよ。難しいし大事なのは見せ場と見せ場の間の「つなぎ」のコマです。見せ場よりつなぎのコマの方が多いですしね。ところでつなぎのコマって、どういう役割になるか分かります?
【質問者】…つないでるんでしょう?
【竹トンボ】何を?
【質問者】…話を。
【竹トンボ】話をつなぐのも大事なんですけど、それ以上に「勢い」をつないでいくのが大事だと僕は思ってます。盛り上がるコマがあって、次に盛り上がるコマまで勢いを殺さずにつないでいくのが大事だと。
【質問者】ああ、盛り上げる役割のコマをガンガン連発して、勢いを維持すると。
【竹トンボ】…ところがそれをやると今度はメリハリがなくなって、ダレて来ちゃうんですよ。盛り上げるつもりのコマを続けているのに盛り上がらない。効果を十分発揮できできていないので無駄ゴマです。そうならないよう、盛り上げるわけじゃないけど勢いを殺さない、緊張感だけを保つコマを挟むとかね。
【質問者】難しいですね。
【竹トンボ】難しいです。だからなんとなくでネーム描くとよく失敗します。そういう反省を踏まえて、一つ一つのコマで「何を描くか」っていうのを明確にするようにしてます。考えすぎるとネーム進まなくなりますけどね。
【質問者】なるほど。
【竹トンボ】ちなみにこの辺のことについては菅野博之著『漫画のスキマ』(美術出版社 2004年)という本を読んでからなんとなくできるようになってきました。この本は『新都社作家の漫画の描き方アンソロジー5』で塔先生も紹介されていました。オススメです。


【質問者】ここまでは話づくりに関して心がけていることですが、作画に関しては何かありますか?
【竹トンボ】絵に関しては苦手意識がすごいんで…。難しく考えるとすぐ描くの嫌になるので、ハードルを下げるように心がけています。
【質問者】具体的に言うと?
【竹トンボ】実力相応の絵を描くよう心がけています。今の自分の画力が50点ほどだとしたら、50点の絵を描く。背伸びして60点の絵を描こうとしない。その代わり40点や30点の絵は描かないようにする。
【質問者】なんかいつまで経っても画力向上しなさそうなスタイルですね。
【竹トンボ】成長が遅くなるのは間違いないと思います。でも50点の実力でもたまにマグレで60点の絵が描けることもあって、その時の感覚を覚えておくようにしてます。あと50点の絵をずっと描き続けてると物足りなくなって「60点の絵を描けるようになりてえ…!」という思いが強くなるんで、その時にプロの模写とかしてレベル上げるようにしてます。


【質問者】マンガを描く上での悩みってありますか?
【竹トンボ】自分が描いたものが面白いのかどうか、分からなくなることですかね。作品を投稿するときは面白いのかどうか毎回不安で、たいてい指が震えてます。
【質問者】そんなときはどうしていますか?
【竹トンボ】本当に面白いかどうかいろんな角度から検討して、その結果を自分に言い聞かせて安心しようとします。それでも根本的なところで自分の感覚のどこかにズレがあって、作品も検討したことも全てが的を外してるんじゃないかって不安になります。
【質問者】結局のところ解決策はない、と。
【竹トンボ】宿命みたいなものですよね。でも『ジョジョの奇妙な冒険』というマンガの名言で「真の『失敗』とはッ!開拓の心を忘れ!困難に挑戦する事に無縁のところにいる者たちの事をいうのだッ!このレースに失敗なんか存在しないッ!存在するのは冒険者だけだッ!」ってのがありまして。つまりそういうことだと思うんです。
【質問者】つまり開き直ると。
【竹トンボ】あとつまらないものを描いたなら「つまらない」って言われたらいいと思うんです。それはそれでなんか健全じゃないですか。へこみますけど。
【質問者】…ちなみにこのセルフインタビューは面白いと思いますか?
【竹トンボ】こういう話を面白いと感じる人は一定数存在してるとは思います。そう感じてもらうために最低限必要なクォリティも確保できてるんじゃないかなと思うので、ダダ滑りすることはないんじゃないかな…と分析してます。






【質問者】ここからの質問はテンポよくいきます。


【質問者】好きなマンガは?
【竹トンボ】からくりサーカス、ホーリーランド、ジョジョ、藤子F不二雄の短編など。


【質問者】好きな小説家は?
【竹トンボ】伊坂幸太郎、サン=テグジュペリ、山際淳司。


【質問者】好きなアニメは?
【竹トンボ】ジブリ、カリオストロの城、クレしんのオトナ帝国。アニメあまり見ません。


【質問者】好きなバンドは?
【竹トンボ】ASIAN KUNG-FU GENERATION。リライトだけの一発屋じゃないんですよ。ベスト盤聴いてね。


【質問者】好きな歌詞は?
【竹トンボ】こんな退屈な日々を打開したら 愛想のない君が笑うかな(ASIAN KUNG-FU GENERATION「ケモノノケモノ」より)


【質問者】好きな映画は?
【竹トンボ】十二人の怒れる男(1957年版)。マトリックス。


【質問者】尊敬する人は?
【竹トンボ】池上彰さん。子どもニュース時代からファン。分かりやすさは大事。


【質問者】自分の作風に影響を与えた作品は?
【竹トンボ】たぶん子どものころ読みまくってたドラえもん、スーパーマリオくん、つるピカはげ丸くんあたり。


【質問者】自分の作品のどのへんに反映されてる?
【竹トンボ】ノリとか感覚的な、言葉にできない部分。


【質問者】目標にしてるマンガ家は?
【竹トンボ】藤子F不二雄先生。味があるのに無駄がなさすぎる。目標って言い方は恐れ多いけど。


【質問者】好きな藤子F不二雄のマンガは?
【竹トンボ】パーマン、エスパー魔美。あと短編で未来ドロボウ、ふたりぼっち、定年退食など。


【質問者】好きな藤子F不二雄キャラは?
【竹トンボ】エスパー魔美の高畑さんと、パーやん。どっちもイケメン。


【質問者】好きな大長編ドラえもんは?
【竹トンボ】雲の王国。夢幻三剣士。


【質問者】藤子F不二雄関連の質問ばかりなのはなぜ?
【竹トンボ】良い質問が思いつかないから。





【質問者】好きな新都社作品を一つ挙げてください。
【竹トンボ】一つだけなら、のりしろちゃん先生の「超次元セパタクロー ツナグ」です。熱い展開の連続に、どれだけ情熱を分けてもらったことか。のりしろちゃん先生が『新都社作家の漫画の描き方アンソロジー4』で仰っていた「自分の漫画を誰より愛する」という姿勢も見習いたいです。


【質問者】新都社の小説作品では好きなものはありますか?
【竹トンボ】蝉丸先生の『席にいなければ、うんこです』と泥辺五郎先生の『小説を描きたかった猿』。前者は爆笑できます。後者は身に覚えがありすぎて思いっきり鬱になれます。


【質問者】好きな作家さんはいますか?
【竹トンボ】うましゃく先生。新都社の藤子F不二雄だと勝手に思っています。僕が欲しい要素をたくさん持っていて憧れるのと、純粋にファンです。


【質問者】ライバル視してる作家さんはいますか?
【竹トンボ】ライバルというわけじゃないですが、僕がデビューした時期ぐらいに少年VIPで活躍しだした作家さんは少し意識しています。具体的にはどんぐり政子先生、eda先生、焼き芋ガンダム斎藤先生、キャキャロット先生、武仁先生、タチバナ先生、IwantA先生などなど。どんぐり政子先生は僕と同じ日に新都社デビューしたので特に。あと自分のマンガがコロコロっぽいと言われるせいか、子どもに読ませたくなるマンガを描いているユミキチ先生やえ~と先生もなんとなく意識してます。この人たちが作品を更新していると僕もがんばろうってなります。


【質問者】会ってみたい作家さんはいますか?
【竹トンボ】eda先生。『Hello,monster』は本来eda先生の年齢で描ける作品じゃないと思うので、どんな人物なのか興味があります。絶対いい人そうですし。あと、会ったことはあるのですが静脈先生。僕とは違う世界が見えている宇宙人みたいな人だと感じたので、サシで会ってじっくりいろいろ聞き出せたら面白そうだと思っています。静脈先生からしたら迷惑この上ない話でしょうけど。


【質問者】セルフインタビューを行ってほしい作家さんは?
【竹トンボ】ここまでに名前が出た作家さん全員。あと「頭の中を知りたい」ということでチラシのウラ先生、茶マン先生。期待の新人枠で『マンション世界』のまるろう先生、『なまこモン』のcon先生。改めて列記すると
塔先生/のりしろちゃん先生/蝉丸先生/泥辺五郎先生/うましゃく先生/どんぐり政子先生/eda先生/焼き芋ガンダム斎藤先生/キャキャロット先生/武仁先生/タチバナ先生/IwantA先生/ユミキチ先生/え~と先生/静脈先生/チラシのウラ先生/茶マン先生/まるろう先生/con先生
というかもう全新都社作家のセルフインタビューが見たいです。それより作品描いてほしいとも思いますけど。





【質問者】…さて、そろそろセルフインタビューも終わりに近づいてきました。実際に書いてみた感想をお願いします。
【竹トンボ】質問を自分で考える点が『新都社作家に133の質問』などより大変だなと。でも自由度が高くて好きなように語れるので、自分の場合は結果的に133の質問とかより書きやすかったし書き甲斐がありました。楽しかったです。(ちなみに133の質問は書いてる途中で心が折れたので投稿していません)
【質問者】他にも書いてくれる人が出てくるといいですね。
【竹トンボ】作家さんの考えてることを知りたいという人は僕を含めて多いと思うので、どんどん参加してほしいです。


【質問者】竹トンボ先生へのセルフインタビューは以上です。ありがとうございました。
【竹トンボ】ありがとうございました。

     


       

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