Neetel Inside 文芸新都
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囚われやすい。
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雪は嫌いだ、成人してからより一層そう思う。地面は凍るし、電車は頑張って運行する。
でも、雪一つで嬉しそうにはしゃぐ君を見ると雪が降って良かったなと思うんだ。

【12月、日常】

「おー雪!雪だよ!」

浅く積もった雪をサクサクと小気味良い音を立てて俺の前を歩く。

「うるさいよ女さん。しかも何その子供用みたいな長靴。」

「この長靴私の足にぴったりだったからさーつい買っちゃったよね!」

「俺はそういう事言ってるんじゃないんだけどね。」

「ん?」

「もういいよ…」

俺と女さんは恋人同士だ。一緒に住んでいるし、割と長く付き合ってる割には別れ話に発展する程の喧嘩もしたことがない。
俺は元気な女さんが大好きだけどこういった子供ぽい所はたまに呆れてしまう。
まぁそこも可愛いけどね。

「あれ?また降ってきたよ!」

ふわりと少し大粒の雪が空から降ってきた。
振ってきた雪は女さんの頭に落ち、溶けて吸い込まれていった。

「うぁー雪って冷たいねぇ。男君」

「そうだね、女さん。風邪引くからそろそろ…」

「美味しそうだなぁ」

「えっ」

あんぐりと口を上にむけて雪を食べようとする女さん。
口が小さいのか、雪が嫌がってるのかわからないが全然雪が入ってこないみたいだ。
それでも諦めずにずっと口を上に向けてサクサクと歩いている。

「女さん。馬鹿みたいだからやめなさい。」

「大丈夫大丈夫!あっ目に入ったー…」

少し目を擦った後、笑顔でこちらを見てまた口をあんぐりと空けて歩く女さん。
少しイラついたので、雪を丸めて斉藤さんの頭目掛けて投げた。

「ひゃっ!」

綺麗に頭に当たった。

「なんで雪当てるの!冷たいじゃない!」

「何が?」

「何がって男君・・・冷たいの投げたでしょ!見て!髪濡れたよ!」

小動物みたいに頭を振って雪を落とし、少し恨めしそうな目で俺を見る。
少し可愛いと思ってしまった。

「ごめんね、馬鹿みたいな顔で口開けてるからつい」

「ひどいよ!地面の雪入れようとするなんて、汚いでしょ」

そういう問題なのか。馬鹿みたい、はそこまで女さんにとっては重要じゃないのかな。

「ごめんね、暖かいものでも買ってあげるよ。ね?」

「んー…じゃぁ許す!あとね、暖かいもの飲みながらイルミネーションみにいこ!」

「わかったわかった。」

女さんと付き合うまではイルミネーションなんて興味なかったし、仕事終わりにイルミネーションの前で写真撮ってるカップルみるとイライラした。
でも、女さんと付き合ってから綺麗だなと思うようになったし毎年同じ場所でも違うイルミネーションになるので割と飽きない。
人と付き合うと心に余裕ができるのかな?よくわからないがきっとそうなのだろう。

「付き合うっていいなあ…」

俺がぼそりと言うと少し赤い顔で女さんが振り向いた。

「えへへ、私も男君と付き合えて幸せ!」

恥ずかしげもなく言うもんだからこっちまで恥ずかしくなる。

「うわー…今年のイルミネーションも綺麗だねぇ」

「そうだね、来年も一緒に見ようね」

「うん!絶対だよ?」

「勿論」

世の中のカップル達にとってはなんてことない会話だし、俺達よりも甘い雰囲気な人達はいっぱいいるだろう。
それでも、この何でもない日常が幸せだと感じれる。近場の電飾をみるだけなのに、良い気分にさせてくれる。来年の冬が待ち遠しいと思える。
一人で生きていけると思っていた俺が、女さんに出会って感じられる感情。

こんな日がいつまでも続けばいいと、恥ずかしいが思ってしまう。
そんな12月の夜。

       

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こんどる。 先生に励ましのお便りを送ろう!!

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