早乙女隼は暴漢に襲われていた。
夜。細い道でハイエースに押し込まれ、口をふさがれ、車内でボコボコに殴られ、また別の細い道の行き止まりで、隼は服を脱がされていた。
人気のない、廃工場の裏である。
「なあ、やっぱりやめようぜ。」
暴漢の一人が気弱そうに呟いた。暴漢は3人組だった。一人が運転手。一人が助手席。
もう一人は隼の横に座ったこの弱弱しい若者だった。
「うるせえな。てめぇはそこで見張りでもしてろや」
声のデカい、金髪でガタいのいい男がドスの効いた声で叫ぶ。
弱そうな男はヒッと声を漏らし離れた位置まで駆けていく。
隼はアスファルトに下ろされ、ぐったりとしていた。美しい顔はそのままに、腹や太股など目立たない位置だけを集中的に殴られたのだ。
男はチャックを下ろす。
「たまらねえよ。こんな可愛い女とヤれるなんて」
「アニキ、溜まってたもんな。今月はパチでスッたからソープにも行けねえし」
「うるせえんだよさっきからてめーらは。おめえもあっちで見張りしてくっか」
「いやいや勘弁してくださいよ」
男達はニヤニヤしていた。
肝心の隼はというと、この状況を楽しんでいた。
どうやらこれからレイプされるらしい。
妊娠したらどうしよう?今日は危険日だっけ?
ああ、ついに私は強姦され、望まぬ妊娠をし、きっと中絶するハメになる。
大丈夫だろうか。中絶は痛いらしい。しかも私は子供なんて産んだことない。
体型だって子供みたいなものだ。きっと死ぬほど痛むだろう。
後遺症だってあるかもしれない。とにかく最悪だ。きっと日頃の行いが悪かったのだろうーー
男は隼の服を引っ張る。漫画のように綺麗に破れるかと思いきやそうはいかない。
男は焦って上手くボタンを外せない。チッ、鷹揚に男は舌打ちをした。
「別にデカい乳でもねえ。むしろ隠れてる方が乙ってもんだ」
隼は少しカチンと来た。貧乳の何が悪い?昨日のあの男だって私の乳を見て勃起したのだ。
いや、無いのだから乳には勃起してないのかもしれない。無に勃起したのだ。
「やめ、やめろオーッ!」
男達はしんとする。顔を見合わせる。振り返る。
そこにはさっき追い払った気弱な男と、また気弱そうなサラリーマンが突っ立っていた。
男達はまた顔を見合わせる。気にせず続行しようとする。
「兄さん。やっぱやめようぜこんなこと」
気弱が言う。
男は無視して隼のベルトを外し、ジーパンを脱がす。
パンツも脱がす。隼のつるつるな恥部が外気に晒される。
気弱な男が赤面する。隼はどちらかというとスッキリした気分だった。
おしっこがしたい。そう思った。
「お前ら、そんな幼い女の子に手を出してた、ただで、済むと思ってるのか?」
サラリーマンはやっと口を開いた。小声で、しかし力を込めた声だった。
「うるせえな。何ならお前らにも後で回してやるよ」
「くっ…」
リーマンが隼の恥部に目をやる。唾を飲む。
「や、でも…」
気弱な男が今度は一歩前に出る。
「うるせえ!」
ペニスを露出し隼の恥部にあてがっている男を尻目に、もう一人のイキった男が気弱を殴った。
バチン、と嫌な音がした。男が倒れる。イキリ男は更に男を、蹴り、蹴る。
隼は初めて嫌な気持ちになった。自分を巡り、男がいたぶられている。
今まさに、金髪の男が隼に入った、瞬間。
「うっ」
男は射精していた。
しかも、少量の精液、親指に乗りそうなほどの精液を染み出し、男のイチモツは縮んでいった。
それを見、思わず隼は吹いた。
「クソッ、バカにしやがって」
男は怒り狂い、まず隼の顔を殴った。鼻血が飛び出す。
「ははっ…いい顔するじゃねえか」
今度は上手く隼の服が破け、彼女の貧乳が衆目に晒される。
男のブツはそれでも、復活しなかった。
「クソッ…くそお…っ」
さっき気弱を蹴っていた方が帰ってきて、ペニスをボロンと露出した。
「へへ、俺はむしろこっちのが好都合で」
男のペニスは瞬時にガチガチに勃起し、隼のヴァギナに照準を定め、今まさに進軍しようとした時。
「あの」
隼が口を開く。
「なんだ」
「そろそろ飽きてきたんで、帰っていいですか?」
男達は顔を見合わせる。
「わははははは」
「何だ、今更俺らから逃げられると思ってるのか。舐めた口聞いてっと…」
隼ははらりと飛び上がり、目にも留まらぬ速さで勃起したペニスを、その露出した陰嚢を蹴り上げる。
「お…」
男は声にならない声を上げ前のめりにぶっ倒れる。
隼の、側転。勢いを保ち、おろおろと立ち上がった金髪の子供ペニスを握り、地面へと放り投げた。
「…む。もげなかったか」
顔を上げると、数メートル先には呆然と立ち尽くす気弱とサラリーマン。
「うん、気弱。お前もアウトだ」
スタタッと風のように駆け、タメ無しで男の股間にストレートを打ち込んだ。
気弱も、何かを悟ったかの様な穏やかな顔をして、前のめりに倒れる。派手な音がした。
「さて、お兄さん、私を助けてくれてありがとう。何か私にできること、あるかな」
隼の服は肩の周りを除いて、破れさっていた。
つまり、彼女はその美しい貧乳を晒し、胸を張って、言ったのである。
ごくり。リーマンの唾を飲む音が響く。
だがリーマンのペニスは、冷え切っていた。
「LINEを、教えてくれるかな」
隼はニカッと笑う。
「いいよ。QRコードでいいかな」