死んでも帰りたい、と言われたのがきっかけだった。
僕とミカは、その日のうちに設計図を完成させた。
設計はとても難しかったけど、辺りにある残骸を参考にしたらなんとかなった。エンジンの取り付けはミカがやってくれた。「どこでそんなものを学んだの」と聞くと、「お父さんがいつもやってたから」と答えた。
外装はどうしようか考える。どうもしのびないので、僕はそれを丈夫な鋼鉄で包んでみたけど、ミカは可愛くないからと白い塗装を施した。ついでに腕なんか生やしていた。なるほど、ミカらしかったけど、僕はあまり好きじゃなかった。ミカは「彼は雪だるまになるのが夢だったの」と言った。
朝がぼやける。
僕らは作り上げたロケットに点火する。ロケットはごうごうと鳴きながら飛び出していって、ずうっと、遠い彼方の空へと消えていった。あれが一体どこへ向かうのか、誰が見つけてくれるのか、僕にはわからない。それでも僕らは打ち上げ続ける。誰もいない空に向かって、水平線の続く世界から、小さな希望を放ち続ける。
死んでも帰りたいと言われたのが、僕らの計画の始まりだった。
メーデーメーデー。僕らはここにいます。
もう、帰ることはないと思います。
だからせめて、還し続けます。