Neetel Inside ニートノベル
表紙

インドマン
第十六皿目 迎撃のヴァリトラ

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「…ハーイィ!皆さんお久しぶりィ!カード0の執行人、ミスターアルディだよォ、イェア!今日はここ、向陽町での最後のアクターバトル。それにおいての実況中継と無様に手持ちのカードがゼロになった負け犬アクター共の身辺披露をするよォ!チェケラ!」

 乱戦が繰り広げられているグラウンドの上空を小型スピーカーを搭載したドローンが飛び回り、怪人に変身した相手とのバトルに敗れて転げまわるアクターを煽るようにして不快な濁声のDJが囃し立てている。すると私のすぐ横で青いフォームのアクターが地に伏せられた。

「おぁ、まじかいや…これでカードゼロだぎゃ…」

 男が纏っていたアクターフォームが光の粒となって大気に浮かび、袖をまくったTシャツ姿の男が苦々しくターゲットを変更した敵怪人を見上げている。そんな彼を逃す事無く旋回してきたドローンが彼をロックオン。

「三河聖吉ィ!次のカードゼロの犠牲者はアクター名『ゴールデン・ワークス』として名古屋を中心に活動してきたこの男だァ!」
「く、やめれや…」
「こんの、性悪実況者!いい加減にしなさい!」

 足元に落ちていた鳥の羽をダーツの矢に変化させてドローンを狙うも、ふしぎなチカラによって跳ね返される……これで何度目?仲間アクター敗北の知らせを受けつつも私達は次々と襲いかかかる敵の攻撃の回避に専念しなければならなかった。

「三河聖吉ィ!その名が示す通り名古屋出身の27歳の若者もとい愚か者ォ!二浪して合格した大学は二年目で自身の自堕落な生活により即刻ドロップアウトォ!その後芸人を志して活動するもワンステージわずか数百円のギャラに生活が困窮し借金地獄ゥ!
両親には絶縁され、八方塞がりだった彼に舞い降りたアクターとしてのラストチャァンス!それもカードゼロによってすべてお死枚!ちなみに初体験は先輩に連れて行かれたジャカルタのソープで今では14歳以上の女には性的魅力を感じないカラダになってしまっているよォ!」
「ウギャー!やめてくれー!」
「…絵に描いたようなクズ人間だな」

 迫り来る獣人を気絶させたライ&カメレオンが泣き喚く三河聖吉をマスク越しにたしなめた。敗北者である聖吉は目に涙を浮かべて両拳の腹で思い切り地を叩いた。

「うっさい!黙れみゃぁ!こんなオイラでも斜に構えてる奴らと違って、ステージに立ってお客さんを笑わす事ばかりを考えてきたんだぎゃあ!…お前らそんな目で俺を見るんなら自分も舞台に立って人を笑わす難しさを実感してくればいいんや!」
「いや、俺らが引いてるのはそっちじゃなくて」
「人身売買のほう」
「!?何言ってるぎゃ!合法だぎゃ!みんなちゃんと18歳以上だっていってたぎゃ!売春じゃなぎゃ!」

 先にカードゼロになったアクターの取り巻きが三河聖吉を取り囲んで責め立てている。「どいていろお前ら。掃除の邪魔だ」「おわ」「あぶねっ」彼らのすぐ横に裏拳で弾かれた敵アクターが倒れ込む。

 ライ&カメレオンの能力者、柳下さんはこの乱戦においても冷静に相手を蹴散らす事を重点に活躍している。「あーもう!こいつらうざすぎ!触手ちゃんで掴んで捻じ切っちゃってもいい!?」グラウンドの奥の方で敵の襲来に苛立ったオクタアンクのキタローが不満の声をあげている。

「ダメだ。そいつらはこの町の住人だ。下手に危害を与えると戦闘が解除された時にどうなるかわからん」
「さすがボクシング国内王者、柳下誠二」
「歴戦の勇者やな。俺たちのリーダーにふさわしいで!」
「…フン。お前たちも相手に対して過度な衝撃は控えろよ。後で賠償責任を問われても叶わんからな」

 照れ隠しのようにマスクをグローブで擦った柳下さんは少し嬉しそうだった。不特定多数が入り混じるこの闘いに置いて実戦経験の豊富な柳下さんは予想外の敵の襲撃によって舵の外れた寄せ集めアクター達の精神的支柱となっている。そんな彼のもとに一人の男が歩み寄った。

「ボクシングチャンプの柳下。やっぱり、あんたがこのメンツの中で厄介そうだねぇ」
「誰だ貴様」
「おーっと、マスク越しにそんな怖い目で睨むなし。俺は人気ユーチューバーコンビ『アンカーゲーム』の片割れ、根尾タカシ。リガノさんに金で雇われた一人だよ」
「そうか、金で買われたとはずいぶん素直だな。その自身からするに相当の手慣れか。楽しませてくれよ」

 ライ&カメレオンがグローブの口火を切って臨戦態勢に備える。そして私の方をちらり、と見ると口を聞く事無く思考を投げかけてきた。

『チベットのチカラとやらは思考を読み取れるのか?ならこの相手は俺に任せてお前は住民達を変身させているアフラ・ジロアスタを討て。それがこの闘いを終わらせる最善策だ』

 私は静かに頷くとその場を走り出してグラウンドの中央に陣取るリガノのアクター態、アフラ・ジロアスタを探した。やはり厳重に警備網が張られているようで私はその場で一度立ち止まり、腰に備えていたシャボン玉の容器を取り出した。

「おーっとォ!インドマンの妹、チベットガール!ここでなにやら怪しげなアイテムを取り出したァ!えっ、それってもしかして縁日とかに売ってるシャボン玉じゃない?こんな時に童心に返っている場合かァ!?」

 うざったく上空を飛ぶドローンを眺めて私はシャボン玉を息が続く限り生成して周りに吹き飛ばす。それが割れずに宙に漂っている事を確認すると素早く印を結んでこう唱えた。

「シャボンの玉は爆弾になって弾けとぶ!」

 次の瞬間、宙を浮かぶシャボン玉は質量を持った爆弾に変化し、王を取り囲む兵隊達の体を四方八方に弾き飛ばした。

『シャボン玉=破裂する。破裂するもの=爆弾』といった風に連想ゲームのように物質を別の物に変えられるのが私、チベットガールの主な能力。

 この奇想天外なチカラによって私はここまでこの闘いを勝ち抜くことに成功。そして連中が守っていた輪の中に身を屈めてしゃがみ込むアクターを発見した。私は背中に構えていた建築用の単管パイプを振りかぶると一思いにその頭に振り下ろした。

「覚悟なさいアフラ・ジロアスタ!貴方の野望はこの向陽町に集結したアクターが打ち破るっ!」

 ゴイン、という打撃音の後、掌にしっかりとした手ごたえ。万感の思いを籠めた一発に身を震わせていると、横たわったそれが見慣れた中年男性に成り代わった。丈の短いタンクトップに直視に耐えない弛み腹。剥げ散らかした頭。それを見上げて私は思わず息を呑む。

「えっ、お父さん……!?」
「フ、奇襲は失敗のようだな」

 たじろぐ私の首元に白刃が向けられると無抵抗を示す為に手に持ったパイプを地面に突きつけた。「チベットガール。彼らの中でここへ突破してくるチカラを持つアクターが居るとしたらキミだとボクは考えていた。だからボクの影武者に美しくないキミの身内を使った。動揺した瞬間を逃さずに勝機を掴んだボクの勝ちという事さ」

     

 闘いの熱気を感じさせないくらい冷たく飄々とした口調でジロアスタは私の顔の前で血に飢えた光刃を照り返す。

……バカね。これで勝ったとおもってるつもり?私が突き立てたパイプは鋼鉄の樹に変化して土の中を根を生やしてアンタの背後まで育ってその死角から急所を貫くタイミングを伺っている。

「それはそうと、ラ・パールの息の掛かった開発者がそっちに居るようだな。故人と成り果ててまでアル・サティーヤに復讐しようと企んでいるようだが」
「アンタには関係ない。それにあの人は復讐なんて望んじゃいない。ただ、アクターとして正しい道を正すため…!」

 その瞬間、グラウンドの前方で大きな地響きが起こり、それによって生まれた土石流に数多くのアクターが飲み込まれた。その中にはあのライ&カメレオンの姿もあった。

「柳下さん…!そんな、嘘っ!」
「『インディゴ・ルブライト』。地表の土を性質変化させて戦うアクター能力だ。ボクも気に入っている能力のひとつだ」
「あーはっはっはっ!!見てくださいよリガノさん!コメ欄に見たことも無い桁の数が集まって来てるっす!」

 後方から男の高笑いが響き、ジロアスタが手を翳してその声に応じる。

「殺れ。『グェス・クイーン』。真のチカラを引き出したその威力をボクに魅せてみろ」
「はい!かしこまりましたっす!えっと、コメントナンバー[113451]!戦闘開始時から溜めに溜めたこの一撃!田舎モノ共にお見舞いしてやるっすー!」

 辺りに白い大量の文字で生成された渦が生まれ、それが声を発した男に先導されるように一陣の光となって空に飛び込んでいった。


 ちゃらららったらーーん♪[113451]は「超強力レーザービームで殲滅のアタックチャンスーー!」


「おっしゃー!大あたりキターー!!」
「え、なに?どういう事?」

 電子音で生成された楽しげな少女の音声が流れ、急に辺りが暗くなるとその雲を割いて天からすべてを切り裂く光が現れた。すぐ傍を通ったその光の柱がアクター、怪人構わずに薙ぎ倒して消えていくとグラウンドの大部分のアクター達は衝撃によってダメージを負い、地に横たわっていった。

「そんな、何てこと…まさかキタローまで……!」
「戦闘視聴者に攻撃法を尋ね、その数が大きくなるほどその威力が増す能力、『グェス・クイーン』。奇しくもこれがキミ達への洗礼の光となった訳だ」

 大きく捲りあげられたグラウンドのへりでキタローが手にしていたスプレーガンが転がっている。「オクタアンク。キミの右腕である戦力をあの一撃で葬れたのはあの男の運か。それともただ単純に、ボクがスターとして“持っている”だけの話か」

…自分に酔っている話し方が気に入らない!身を屈めた死角から印を切ると突き立てたパイプに意識を飛ばす。…準備はOK。これでおまえを頭から串刺しにしてやる!

「ほう、観てみなよ。真打の登場だ」

 享楽的な声に釣られてグラウンド横に設置された大型ビジョンを見上げると、画面の中で私の兄、日比野 英造ひびのえいぞうがインドマンとして敵アクターと闘っている。その途端、私の意識が何か別の生き物に揺さぶられるように大きく震えた。

「インドマンの相手はかつてボクと闘った事もあるネブラ・イスカ。見たところ、インドマンの方が攻勢のようだ。そういえばネブラ・イスカはそのラ・パールの開発者の息子だったっけなぁ!」

 ジロアスタの声に耳を貸さずに私はパイプの樹を伸ばそうとする。けど、その瞬間、コンパクトが異様な振動をみせて思考を曇らせる。

「もう止めて、テオ。私はあなたに戦って欲しくてチカラを与えた訳じゃない…」コンパクトが泣いている。コンパクトに篭められた真央さんの想いがチベットガールとしての夢幻の意思を惑わせていた。


「やはり、パイプを地に這わせていたか。抜け目の無い娘だ」

 ジロアスタは背後に伸びて空中で静止したパイプを剣で切り落とすと、次にその切っ先を倒れ込んだままの私に向けた。

「チェックメイトだ。キミ以外のアクターはすべて戦意を失った。このまま最後までアルディの暴露話を聞いているのもいいが、あいにく底辺者の実情に興味は無いし、この後の予定もある。これで終わりだ」

 無慈悲に振り下ろされる白刃。もうダメだ、と思ったその瞬間、別の刃がその切っ先を弾き飛ばした。

「誰だ、貴様!……って顔をしてるんで自己紹介させてもらうけど」

 唐傘を被った和の空気間を保つアクターはその場から二歩、逸れるとジロアスタを見据えてこう、口火を切った。

「僕はインドマンの意思を汲みこの向陽町へ仰せつけられたタタン・タタ。相手をしよう。僕が28人目だ」

 絶体絶命の場面に現れた助っ人アクター。どんな人なのかも知れないけど、今はこの人に命運を任せるしかない。私は変身を解除すると控えめに見栄を切ったそのアクターの勇士を見届けていた。

     

 荒れ果てた戦場にひとり降り立った謎のアクター。彼は私とジロアスタの間で頭の上の唐傘を掴むと真っ赤なマントを翻して正面を向き直った。遅れて駆けつけたアクター達がその姿を見て声をあげる。

「あ、あのアクターは!?」
「知っているのか、聖吉!?」

 取り巻きのひとりが名古屋出身の青年に訊ねると彼は口角泡を飛ばしながらそれに答えた。

「知ってるもなにも、あいつは最近メディアに出まくってる若手歌手の岸田ガンソのアクターだぎゃ!
名前は知らんかったけどめちゃんこ強いことで地元で有名で『名古屋の暴れ鯱』と呼ばれている最強の呼び声もあるアクターだぎゃ!」
「まじかいや!?そんな人が来てくれたら一気に形勢逆転やんけ!」
「勝てる!この戦い、勝てるぞー!」
「アッハッハッハッハ!」

 微かに湧き上がった歓喜の声を掻き消すように仮面越しにジロアスタが笑い声を張り上げる。タタン・タタと名乗ったアクターが刀のつばに手を置くと顎を下げてジロアスタがゆっくりと彼を見据えた。

「若手シンガーの注目株、岸田ガンソ。キミがインドマンの強化に手を貸したアクターだと知っていたがまさかここまで足を運ぶとはさすがのボクも予想外だった!…歓迎しよう。この向陽町は気に入ってもらえたかな?」

 さっきのビームで芝が捲れ上がり、砂煙の舞う荒地になったグラウンド周辺を眺めながら岸田ガンソのアクター、タタン・タタは言葉を返した。

「そりゃどうも。同業の大先輩に名前を知って頂けているとは光栄です」
「才能のある若手は名を覚えるようにしてるんだ。この業界、どこからカネの話が舞い込んでくるか分からないからね」

 余裕のある態度のジロアスタにタタは聞き取るのがやっとの声量でこう言った。

「歌手として一線を退いて不動産業に手を伸ばしたあなたが資金難でマハラジャのアル・サティーヤと手を組むのは予測できていた。アクターバトルの名を借りた暴行や洗脳行為、その他にもこれまでの芸能活動での不正の数々。この機会にすべてを白日のもとに明らかにさせてもらう」
「おっと、これはこれは。とんだ英雄気取りも居たものだ!キミがボクの失脚に対してそんなに意欲的だとは思わなかった!」

 ジロアスタは笑いながらも、失望したように両手を顔の前で広げて私達を見渡して話し始めた。

「キミ達も知っているだろう?日々ネットに書き込まれるボクのような芸能人に対する不特定多数の目に余る書き込み。表現者としての想いは踏みにじられ、事実はマスコミに歪曲され、伝言ゲームにより既に原型を留めていない猥談としてキミ達のもとへニュースとして届く。
それを鵜呑みにした群集共の悪口雑言。確証の無い情報で不快な書き込むを続ける連中はクズだ。他人に迷惑を掛けることでしか存在を証明出来ないゴミ以下の無価値な人間さ。
ボクが自衛の為に不正を働いている?フン、キミがそんな子供じみた『ニュース』を真に受けているとは思わなかった。…やれやれこれもネット世代の弊害か」
「有名税でしょう?それに火の無い所に煙が立たないと言いますし」

 短い言葉で即座に切り替えしたタタに笑うタイミングを逃したジロアスタが苦々しげに問い質した。

「それで?キミは何をしにここへ来た?戦況は既に決した。これから敗北者共の変身アイテムを回収する。それがわが友、アル・サティーヤの望みなんでな」

 距離を取って構える私たちに手を翳してタタは血気立つジロアスタのこう告げた。

「さっきも言ったとおりだ。虚構の英雄、アフラ・ジロアスタ。貴様の野望はこのタタン・タタがこの剣で打ち砕く!」
「ひとりでこの状況を覆すだって?ハハハ…それは驕りだよガンソ君。だが同業の先輩としてキミの挑戦を受けてやってもいい。なぜならばボクは100パーセント、勝つ」

 そう宣言するとジロアスタは体の前でパン、と手を叩くと、その両手をしゃがみ込んで地面に押し付けた。すると近くに転がっていた気絶した私のお父さんが立ち上がってみるみる獣人へと姿を変えていった。身構えるアクター達を私が制して事態を見届ける。

「これがさっきまで使っていた能力、『想像上の死人』。このジロアスタは一度見た相手の技を習得して使用する事が可能だ。ただし、一度に使える能力はひとつだけ。そしてこの説明は闘いの度にするようにしている。
…なぜわざわざ自分の能力を話すかだって?チカラを言語化して伝える事が能力の発現条件、なんて話ではないさ。ボクは生粋のエンターテイナー。自分の能力を相手に教えるのはボク自身による経験からの圧倒的な自信からだ!」
「あなたが思っていた通りの人物でよかった。正直憧れている。自分の弱点を相手に晒した上で戦うなんて僕には絶対無理だ」

 タタが目の前で指を立てるといつの間にか周囲にピンク色の煙が浮かび上がっている。それに気付き始めたジロアスタは姿勢を正すと部下の一人から手渡された銀色の刃を輝かすフルーレを鞘から引き抜いた。それを半身になって構えるとその切っ先をタタの額へときっちり照準を合わせた。

「このジロアスタ、一度、剣士としての闘いを望んでいた。キミのメインウェポンはその脇差だろう?お望みどおり、勝負は一瞬だ。キミが飛び込んで来た刹那、この刃がその頭を貫く」
「ちょ、いいんですかリガノさん」
「こんなヤツ、俺たちで片付けられますよ!」

 近寄ってきた傭兵のふたりを目で追い払うように振り返ったジロアスタ。「まだ居たのか。真剣勝負の邪魔をするな」「で、でも!」ひとりが追いすがるように声を張り上げる。
「万が一、リガノさんが負けるなんて事があったら理不尽っすよ!俺たちの頑張りが報われなくなっちまう!」
「司令塔を失ったら我々は撤退せざるを得なくなる。もし手ぶらで帰るような事があれば、リガノさんも只じゃすまなくなる」

 剣を下げて不愉快そうに『アンカーゲーム』のふたりを見据えるジロアスタ。アクターに変身した姿でもふたりの唾を飲み込む音が聞こえそうな張り詰めた状況で上官のジロアスタは苛立ちを押し殺した声で彼らにこう告げた。

「下がっていろ。誰のお陰でここまでのチカラを手に入れられたと思っている?何度も言わせるな。ボクが100パーセント、勝つ」

 剣を構えなおして向かい合うタタとジロアスタ。次第に濃くなる霧に私たちは意識を尖らせた。先に動いた方が勝ちか。それとも冷静に反撃を返した方の勝ちか。瞬き厳禁の刹那の見切り。永遠に続きそうな数秒の間、ピンと張った空気をひとつの咆哮が打ち破った。

       

表紙

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Neetsha