見れば、どいつもこいつもしみったれた顔してやがる。
人の顔を見るのは嫌いだ。しかめっ面、にやけ顔、能面顔。この世に美しい顔などあるものか。アニメの美少女の方が、まだ遙かにマシだ。
特に嫌いなのは、寝起きの自分の顔だ。鏡に映したその顔は、膨れていて、なんとも情けない八の字の眉毛をぶら下げている。お前は何が怖いのだと言いたい。鏡を叩き割りたくなる。
人間賛歌とは、よく言ったものだ。自分には全ての人間が、滑稽に見えて仕方がない。横断歩道の点滅する信号に合わせ、足を速める奴。店員にやけに丁寧に言葉を遣う奴。遠い恋人に思いを馳せる奴。皆、見るに堪えないほどおかしくて仕方がない。
自分は聖人です、高尚です、一流です。そんな奴らは皆一緒くたにして、ゴミ箱に投げてしまえ。何がモラルだ。キリストが罪を犯してない者だけ石を投げなさい、と言った時から、一歩たりとも進歩してないではないか。一体、人間のどこに肯定する要素があるのだ。比べてみれば、虫の方が合理的な生き方をしている。
大衆というものは、さらに特筆すべき醜悪さがある。どんな孤高な奴でも、二人集まった時点で一山いくらの露店の商品だ。集まってニヤニヤして、そうしていつまでも時間を浪費する。「時間の無駄だ!」そう言われた事がある。その通りだ。人間などいくら時間をかけても、互いを理解する事などできない。
彼らは、彼女らは、いつだって自分たちを正義だと思い込んでいる。日本万歳、幸せなら手を叩こう。右に習えの精神で、自分が傀儡になっている事に気づいていないのだ。
恋だの愛だの、馬鹿馬鹿しい。素直にセックスしたいと言えばいい。忍ぶれど色に出にけり?クソ食らえだ。そうしてずっとウジウジして、他のビッチに取られるのを指をくわえて見てろ。
感情?そんなもの、ホルモンの量の上下で起こる反応に過ぎない。お前が怒ったって、そりゃ畜生と同じでしょうよ。それに憤怒だ激昂だ、色を勝手に付けやがって。布に突進するスペイン牛と同じだろう。まずは猛り狂ったその頭とモノを沈めて、俺の話をようくきけ。
いいか、俺は風邪を引いてる。俺はその風邪を、遷したくて堪らない。俺の価値観と思想を、伝染させて、皆風邪を引いてしまえばいいと思ってる。そうして肺炎をこじらせて、皆死に絶えれば、誤ってこんなクソゲーをつくった天上の凡人も、ほっと一安心するだろうよ。
ああ、誰か俺を救ってくれ。生きざる全てのものよ、俺と取り替えっこしよう。取り替えっこしようよ。俺は存在したくない。アンタらは命が欲しいんだろう?新鮮な血と肉と、余計な脂肪と、それ以上に余計なこの思想を、譲ってやるから、俺の代わりに続きをプレイしてくれよ。
So let’s sweep THE DISASTER.