Neetel Inside ニートノベル
表紙

インターネット変態小説家
胡乱な誦

窓辺では青い鳥が一羽、枠の淵に止まって囀っている。
青い鳥と言えば幸福の象徴なのだろうか。
いつだって一番近くにあったものだ。

真っ白い部屋に俺たちはいた。
椅子に座って会話を続ける。

「虫には特別な進化をするものが多い。サイクルが短いからだろうが、その生態系や進化の異常さは顕著だ。コノハムシなんかは葉っぱに擬態することで有名だがその中には枯れ葉のあの独特な曲がりを再現するものもいる。あれは『意思』がないと到達できない地点のように感じる。どこまでが彼らの『意思』なのだろうか。」
「トリカヘチャタテという虫は完全に雌雄の役割が入れ替わっていて雌が自前のペニスでオスに栄養と精子を送り妊娠させるのよ。生物の中でそう言った逆転が起きる例は度々あるけれど両方の性質を持ち尚且つ明確な機関としてペニスを装備している雌は珍しいの。なぜそういう進化をしたかは今の研究でも完全にわかってはいないというわ。」
「タツノオトシゴなんかも雄が体内で卵を育てるな。しかも夫婦円満で一生を二匹で添い遂げるらしい。」
「夫婦円満はゴキブリもよ」
「あんなに増えるのに?」

生物とはかくも不思議でそのそれぞれを神様が精密に、あるいはふざけてデザインしたとしか思えないものも存在する。
それともそこには強い一つの生物としての『意思』がありその『意思』はやがてたどり着くどこかへと向かうため、その『究極』をめざし生きていくのか。

俺たちはいつまで一緒にいるのかな?
その不安を話題として出すのは控えておいた。
口に出した途端、頭の中をきらりと駆け巡った雑多な思考の一つではなく何か重要な悩みだと受け取られかねないからだ。

俺という人物は彼女にとってどう見えているのだろう。
俺は自分のことを知っている。
自分がどんなことを考え、どう結論を出して発言したか等全ての経過を知っているからだ。
彼女は違う。
発言しか知らない。俺の発言しか。
彼女だけではないこの世界、全ての人間、生物、存在が俺の出した結果でしか俺を判断しないのだとすれば周りは俺のことをどう認識しどういう人間だと見ているのだろう。
くだらないことで悩む神経質な頭でっかちだろうか。ならばきっとそれは俺よりも俺のことをわかっているのだろう。

「外国では可愛いってのはキュートって言うけれど、それはあまりいい意味を持たない場合もあるの。というか海外ではそういう可愛らしさは子供なんかに用いられる未熟さを含んだニュアンスがあるのよ。宗教画なんかでは、イエスの幼児期の顔が少し神妙に描かれているわ。はっきりいうと可愛くないのだけれど、それは神の持つ荘厳さを表すには子供特有の可愛らしさを全面に出すことは憚られたのね。だから純粋に可愛いという気持ちを伝えるときに日本語のkawaiiが用いられたりするのよ」
「自明でないからこその幅というものは確かにあるな。政治家がやたら横文字を使いたがるのも分かりやすいフレーズを意識してのことだろうし、使い慣れてない言葉だからこその『意味の自由さ』が必要なこともある」
「パンがなければパンツを食べればいいじゃない」
「え?なんて?」
「いや?何も?独立したそのものが持つ『定義された言葉』の価値は少しずつ薄れていって、共通された言語をただ並んで消費していくだけで安心感を感じることも少なくないわ。本来そういう『意味の共有』が言語の役割でそれによって詳細な感情や意思を伝えることが目的だったはずなのにね。『やばい』が多用されるのと一緒で感情や空気さえ伝わってくれたらそれで満足だし、それでしか伝わらない繊細な感情は定義された言葉によって潰されてしまうのかもね。でもだったら動物みたいに怒ったような唸り声や悲しむような泣き声、喜びの雄叫びなど意味のない咆哮で会話してればいいのにね」
「確かにそういう気持ちも分からなくもないよ。感情を詳細に説明しようとして自分の心の内を明かそうと言葉を重ねてもラッピングされて装飾を着飾った言葉は既にその本質からかけ離れてしまうこともね。それならまだやばいで片付けたほうがダイレクトに伝わることもあるってもんさ。でもだからと言って動物のように喚いても伝わらないものは伝わらない。人が人に人として伝えたいものは感情ではなくて、あくまで気持ちというのはトッピングなのかもね。」
「確かに、エロ漫画とかでは詳細に刺激やそれに関する快感を説明口調で解説実況されるよりお゙っお゙っと汚らしい雄叫びを上げられた方が普段の着飾った佇まいと比較して興奮できるのと同じね」
「何の話だ?」
「なんてことはないわ。ただ他人に自分自身を本当に理解されることなんてないってのはそうなのだけれどそれでも人はそこに辿り着きたいっていうか、人が生きる上での『意思』や目指すべき『究極』っていうのは誰かを知りたいって事なのではないかしら。知って欲しいでは決してたどり着けないその『究極』は誰かに『知りたい』と思ってもらえる事なのよ。そうする事で私たちは通常達し得ない精神レベルでの『共有』があるの。そしてそれは動物なら普通に出来ている事なのかもしれないわ。夫婦円満のタツノオトシゴなんかにもね。私たち人間は言語によってそれを忘れたからこそお互いに知って欲しいと思って簡単な、自由な意味をはらむ共通言語で喚きあってみせるけれどそれ結局『知って欲しい』であって『知りたい』ではないのよ。どう生物や動物、人間の区切りを定義したところで私たちは孤独という点では退化しているようなものね」
「君は、そうなのか?知って欲しいのか?自分の心を。俺は君のことを『知りたい』と思っている。念のために伝えておこう。我々人類が作り出したこの言語で」
「わたし?私は……」
私は……
ああチンポチンポチンポチンポチンポ
あーチンポ舐めたい舐めたい舐めたいお兄ちゃん愛してるチンポお兄ちゃん愛してるチンポ愛してる
でもさぁ地球爆発したら一緒にお風呂入れないよ?
賢い。
あわわわわわわわはれはれはれはれはれはれはれ
ぴゃーーーーーーーーーーーーおぱっ
うぶぶぶぶぶぶぶぶ
なんで?
おろろろろろろろろろろろろろろろろろろ
あーチンポチンポ
彼は私のことをどう思っているのか?
頭の中ではチンチンをオマンコに入れてズコバコすることしか考えてないことをどう思っているのかマンコ。
彼は難しいことを考えてはそのどれもに価値を感じることが出来ていないめんどくさい頑固者のようなイメージを受ける。
それとも内面は違うのだろうか。わたしはクリトリスを太ももで挟みながら乳首をいじることで地球を感じている。
オチンチンを入れると小宇宙を感じることができる。だからズコバコする。
彼も心の中ではこんな感じなのだろうかマンコ。真面目な会話をしながら私を頭の中で犯し尽くし、残虐の限りを果たしては容赦のない責めで地獄の苦しみを味合わせているのだろうか。お゙っそれヤッベっスッゲ!
今日はその妄想でしてしまおうか。彼の目線から見て清楚で儚く聡明な私を性差が持つ力の限りで壊し尽くし遊ばれるのだ。考えるだけでボッキするわい。
それじゃ今から服脱ぎます。
いやもしかしたら既にバレているのかもな。
今までの会話で少し下品な面が顔を覗かせてしまっていたせいで彼の中にもしかしてスケベな女なのかもという懐疑の心を植え付けているだとしたら私の本性がバレるのも時間の問題だマンコ。
もし本当に私の心を知ることができたらその時は……
彼の童貞を奪い去ってあげちゃおうかしら!!!????!!!????!!?
いや童貞かどうか知らんけど絶対童貞だろあいつは、心の中知らんけど表に出てる分だけでもわかるあの淀んだ雰囲気は女と交わって生まれることがない空気だ。
いいんだよ、童貞くん。
私が全て壊してあげる。
あなたの抱いた女性への憧れと潔癖さを全て壊して汚して堕として埋めてあげるわーーーーー!ーーマンコ。

……とか、かんがえてないよなぁ。
まさか。
俺は彼女の少し俯いた、翳りを見せた美麗な顔を眺めながらそんなことを考える。
ちょっとおかしな発言を聞いただけでよくここまで考えるよな俺って。
こんなことだから童貞って馬鹿にされるんだよ。いや妄想の話だけど。

「……私は、知って欲しいと言う気持ちもある。けれど、そう言われて君のこと、もっと知りたいって気持ちにもなったよ」

そう告げる柔らかで、嫋やかな彼女の笑顔を見ているといよいよ今考えてたことだけは知られるわけにはいかないなと思った。

人は人の気持ちがわからない。知りたいと思う気持ちが重要だ。
俺は彼女に見合うように、彼女のことを正しく知ることができるのだろうか。

俺は邪な妄想に耽るのはやめて彼女の心を真っ直ぐに知ろうと思ったし知られて恥ずかしくない心であろうと決意した。

彼女もこちらを見つめ笑ってくれている。

白い部屋では会話が絶えない。
彼女の顔は上気して赤みがかって見えた。
よく見れば不自然に足を組んでいる気がする。

窓辺ではいつのまにか青い鳥が飛び立って居なくなっていた。
表紙

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Neetsha