Neetel Inside ニートノベル
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玉匣の姫 (イチロさんは…)
草木

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草木

三日目の朝です。
ミコさんは草と向き合って合掌しています。
とてもいい笑顔です。

ミコさんは構えました。
草も呼応するように構えます。

ゆっりとミコさんが突きを繰り出します。
ガサっと草の体に突きが入ります。
草がミコさんに突きを返します。ミコさんはそれを払い除けます。
組手を始めたのですね。

ミコさんが足払いを入れます。
草が返します。ミコさんは払い除けます。

こうして10分もするころには草はミコさんの動きを覚えたのか全ての
技を払い除けます。
ミコさんは満面の笑みで次々新しい技を繰り出し、返しには払いで応
じ、技には払いで応じられることを確かめていました。

額に汗をびっしり浮かべ、組手を終えます。
構えを解き、合掌しました。
草もピッタリと同じ動きをします。

四日目の朝です。
草は既にヒトのカタチになっています。

ミコさんがやって来ました。
その姿を忘れません。
爛々と輝く瞳。紅く漲るような頬。口元には微笑み。

ああ。避けては通ることのできないところへ差し掛かったのだ。
二人はコブシで語り合う時が来たのだと悟りました。

よく見ると草にも変化が。
ところどころにツボミが綻び始めているのです!

沈黙。相手を正面に、合掌。そして構え。
次の瞬間。激しく打ち合うふたり。

攻めれば、受け止め払い除ける。
掴みに掛かれば、流れるように透かす。
一進一退の攻防が続きます。

ケモノのように激しく草木のようにしなやか。
まあ事実ケモノと草木なのですが。
おっと。ケモノの僕が言うことじゃありませんね。

勝負は互角!先行きが見えない!
あ。お話はもちょっと続きます。

       

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