Neetel Inside ベータマガジン
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新都社に来たきっかけアンソロジー
藤沢の場合

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「熱い競馬漫画?」

 今から14年前。2005年の確か12月初旬ごろ。2ちゃんねるの競馬板を眺めていたら、見知らぬ漫画のスレが立っていた。
 スレの書き込みを見る限りどうやら面白そうだ。リンクをクリックする。読む。おぉ、メッチャいい。面白い! こんなクオリティの高い作品を描いてる人がネットにいるんだ……。
 ん、バナーがある。クリック。
 新都社? しんとしゃ? にいとしゃ。
 それが始まりだった。気づけば、毎日新都社をチェックするようになっていったのだった。そう、きっかけは熱い競馬漫画。名作でした。



 それからしばらくして、『ニーテルインサイド』という投稿システムが実装されることになった。正直それが何なのかはよく分からなかったけれど、「なんとなく楽しめそう」という予感はした。そういえばニーテルインサイドの前のシステムの時に一本クソ小説を投稿してた気がした。中身は覚えていない。
 そうだ。どうせならニーテル導入と合わせてちゃんとした小説に挑戦してみよう——当時の僕はそう考えた。新しいものにすぐに飛びつくクセがあるのだった。
 とりあえずMSメモ帳を開いた。少し考える。何を書くか……ラブコメがいい。当時の僕はとよ田みのる先生の『ラブロマ』にハマっていたので、そういうジャンルが書きたくなったのかもしれない。ちなみにとよ田先生が今ゲッサンで連載されている『金剛寺さんは面倒臭い』は神漫画なのでオススメです。
 ラブコメといっても、ヤらないラブコメにはあまり興味がなかった。『ラブロマ』はあのノリで【みかん】したのが凄かった。俺も【みかん】したい!(注.性行為の隠語)それならば主人公とヒロインがハナから同棲してる方が手っ取り早い。性描写はこの年にソープで初体験も済ませていたので書ける自信があった。文章自体も、2ちゃんの創作文芸板で15行くらいの三題話を100本くらい書いていたので多少は上手くなったという自負があった(それでも今見ると正直言ってキツイ)。
 そうしてニーテルに登録されたのがID9の『レインドッグ』。こんな経緯なのでプロットなんかも当然なかったのに、今思えばよく完結したものである。蓮良先生という魅力的な絵を描かれる方に漫画化までしてもらえて、さらにはとんでもなく上手い方々からFAまで頂けた(くろやぎ先生が描いて下さったのはビビった)幸せな作品だった。最近もたまにコメントが付いてたりするのが嬉しい。今後もお待ちしてます。



 新都社の小説はその後『オナニーマスター黒沢』を端緒とした伊瀬先生の三部作が席巻し、僕は基本その隅でこそこそと短編を書きまくったり長編を投げまくったりしていた(『愛サレ人類』という作品は絵の超絶上手いクロサワ先生に挿絵を担当していただき、当時連載中だった『冥土Haaaan!!!』に対抗したるで! という意気込みを密かに持って書いていたのだが、これは基本設定が甘い作品でイマイチ展開が広がらず自爆した。いつかリベンジしたい)。こんなことは書くまでもないことだけど、伊瀬先生は本当に才能に溢れた方で、また人間的にもとても優しく魅力的なので僕は大好きです。『すべての人類を破壊する。それらは再生できない。 』も面白い。読み切り版からメチャクチャ良かったしそら連載になるよねっていう。勝手なことを書き散らしますが、いつかアニメ化して伊瀬先生自らノベライズ書いてくんないかなって思っています。
 そのうちに、段々と仕事が忙しくなってきたり、ノートパソコンを立ち上げるのが面倒臭くなったりして、小説を書かない時期が数年続いた。そんな時に、クラックさんがニーテルを改良し、スマホからでも投稿できるようにして下さったことで、意欲が復活した。2017年に書いた『自分を左殺しと思い込んでいるプロ野球』からは完全にiPhoneによる執筆に切り替えた。iPhoneは小説作成ツールの完成形のように思う。なんせどこでも書ける。風呂でも書ける。不思議と風呂で書くと捗った。ただし何度ものぼせたが……(真似してはいけません)。
『左殺し』は、ようやく自信を持って「読んで!」と人様に言えるものが書けたという実感があった。コメントの反応も非常に良く、またツイッターでも何人かの方(そんなに熱心に新都社を見ていなさそうな方もいた)が好意的な感想を残してくれていたり、今までになく外への広がりを持った作品になったな、という感触があった。これを読んでいる方で、まだ読んだことがなければ、気が向いたら読んでみてください。自分で読み返しても面白いので、多分面白いんじゃないかな? もしつまらなくても、それはそれで無駄な時間ではないと思いますよ……ええ。



 僕は『熱い競馬漫画』に、もょもと先生にとても感謝している。新都社の存在を知らせてくれてありがとうございます、ともし会えたら言いたいくらいだ。
 多くの名作や、素晴らしい創作者の方々との出会いをくれた。そして、才能がなく失敗を繰り返しながらも、書き続けていれば、考え続けていれば必ずマシなものが作れるようになっていくということを僕に教えてくれた。
 新都社のアクセスは段々と減っているようですが、それでも、こうして駄文を書き連ねている今だって、新たな名作が登録され続けている。令和の時代も新都社が長く続いていき、創作のきっかけとなるような場であり続けることを祈って、筆を置かせていただきます。ありがとうございました!

       

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