Neetel Inside ベータマガジン
表紙

新都社に来たきっかけアンソロジー
出逢いから好きになるまで/RM307(2019.8.31)

見開き   最大化      

 インターネットが普及する以前に、幼稚園や小学校で全国的に同じ手遊びが流行ったり同じ替え歌を知っていたりしたのって不思議じゃないですか? 多少のラグがあるとはいえ。記憶では、テレビや雑誌に取り上げられた様子は無かったと思う。遠くの親戚などを介して広まったのだろうか。
 もう一つ不思議だったのがポケモンの裏技。どうぐの13番目に何々を置いてセレクト云々、なんて複雑なコマンドの発見者が各市区町村に居たなんて信じがたいし、こちらもやっぱり発見者から人伝えに広まったのだろうか。小学生のネットワークというのもなかなか侮れないものだ。

 今から十年以上前、「ポケットモンスターエメラルド」をプレイしながらふとその事を思い出し、「今なら僕の知らない裏技も調べられるのかな」と何気なく検索してみた。ヒットしたのはとあるまとめブログ。それまで僕はまとめブログの存在を知らず、へぇこんなサイトがあるんだ、2ちゃんねるは悪口陰口のイメージがあって見ていなかったけど有用な情報もあるのかな、なんて思いながら散策していた。
 その中に「このマンガ面白すぎて噴いたwwwwwwwwwww」(※1)というスレのまとめ記事があった。>>1に書き込まれたURLを開いてみると、一見らくがきと見紛うようなシンプルな作画のキャラ(後に掲示板で使われる有名な顔文字やアスキーアートだと知る)がシュールなやりとりをしている、明らかにアマチュアが描いた漫画だった。
 しかし、それがとても面白い。繰り返し読んでしまった。作品名は「意味無し。」。ちなみにまとめブログは「カジ速」だった。

 漫画ってプロだけが描くものじゃなく、こうして素人も描いて発信できるんだ! もっとこんな漫画を読んでみたい! そう思い、「意味無し。」のトップページから新都社(※2)を訪れるようになった。まずはAA漫画を片っ端から読み、次にバトル漫画を、その次は……と、どんどん新都社作品を読んでいった。
 一日じゃ読み切れないほどの作品がたくさんあって、作品一覧を眺めている時の僕は、さながらおもちゃ屋さんのチラシを手にした子どものようだった。「こういうのはランキングに頼らない方が面白いんだ」と勝手に息巻き、何の指標も無い状態で作品を発掘していくのはとても魅力的な作業だった。制限の無い自由な発想で描かれた作品たちはどれも新鮮で、投げられた作品を読むのだって楽しかった。そこは僕にとって宝の山だった。

 面白い作品たちもさることながら、作者と読者の距離の近さも新都社を好きになった理由の一つだった。たとえばコメント返信。自分の送った感想を作者さんが読んでくださる上に返信までしてくださるなんて! 最初はすごく驚き、同時に嬉しかった。
 それまで僕にとっての読書は個人で完結しており、作者さんにファンレターや感想を送った事が無かったので、描き手にダイレクトかつ気軽に読者の声を届けられるコメントシステムは画期的だった。少しでも作者さんのモチベーションが上がると良いな、と思いながら、更新された作品を片っ端から読み、せっせとコメントを送っていた。昔は一日に20コメント近く送っていたようだ。
 現在は昔ほど送っていないけど、今でもコメントを書くのはとても好きだし、自作品(企画やアンソロジー含む)にいただいた貴重なコメントにお返事を書くのも楽しく、丁寧に返信する事を心がけている。

 また、普段は読んだ本や漫画の感想を他人に伝える事もほとんど無かったので、作品のコメント欄で他の読者の感想を読んだり、いっしょに盛り上がったりできるのもとても楽しかった。「そうそう、このコマ可愛いよね!」、「僕もここがカッコ良いと思った!」、「なるほど、そういう見方もあるのか!」。そんな感動をファンの人々と共有できるのは至福のひとときだった。
 個人的だった読書の世界が一気に爆発的な広がりを見せ、よく「インターネットってすごい……!」と感激していたものだった。そんなキッカケをくれた新都社は、すぐに大好きな存在になった。
 もちろん今も。これからも、描き手と読み手がいっしょになってわいわい楽しめるサイトであり続けて欲しいなと思う。



 その後、2010年2月からFAを描くようになるのだけど、それまでには羨望と断念の日々がありました。今回はもともとその話を書きたくて筆を取ったのだけど、長くなってしまったのでまた機会があったらどこかに書くかもしれません。
 お読みくださりありがとうございました!



※1
「このマンガ面白すぎて噴いたwwwwwwwwwww」
https://web.archive.org/web/20070212174004/http://www.kajisoku.com/archives/eid1123.html

※2
最初は「新潮社」に見えて、その後もしばらく小さな出版社のサイトだと思っていました。

       

表紙

みんな 先生に励ましのお便りを送ろう!!

〒みんなの感想を読む

Tweet

Neetsha