しずしずと泣く雨は
心の中の心臓を鷲掴みにしたまま
ただ 締め付けています
ただ 締め付けるのです
そこに
ほんの少しの感情でも入ろうものなら
きっと
こんなにも誰かを憎む必要などなかったでしょう
そう思うと
しずしずと泣く雨が憎くてしようがないのです
夕闇の中には
誰もいないままのようです
文芸新都 |