Neetel Inside 文芸新都
表紙

要するに短い話なんだよ
ギャルゲーってのはつまりこういうことなんだろう

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 俺の名は司! 苗字は面倒だから省略する!
 色々なことがあって、俺は中学を卒業した。そしていくらかの時が経ち、今日は待ちに待った高校入学式!
 そんな大切な日にもかかわらず、俺はお約束の如く寝坊していた。例の如く目覚ましは無意識に止めてしまったらしい。

「やっべー! 遅刻遅刻!」

 自分でなんだが、全く以って白々しい。時計を見れば一目瞭然、走らなければ遅刻だ。





 清清しい朝! 季節は春! 心地よい風! 街行く人々が皆、俺を祝福してくれている!
 と、思わなければやっていけないくらい俺は焦っていた。何故って? 入学式なのに遅刻しそうだからさ。朝食を抜き、制服は12秒で着て、家から全力疾走。ちなみに家には俺以外誰も住んでいない。親が海外に出張しているのさ! だから一人暮らし!
 くそっ。俺は思う。中学の頃からずっと俺を起こしてくれていた幼馴染がいるのだけど、今日に限って起こしてくれなかった。多分俺が起きなかったのだろう。プンプン怒りながら文句を言いつつ、それでも名残惜しく俺の部屋を出る彼女の姿が思い浮かぶ。えへ。
 とかなんとか思っているうちに通学路も終盤を迎えたようだ! 目の端に映るはここらの名物である桜並木。とても入学式っぽい!
 そして迎える最終コーナー、魔の直角カーブ!

「――――むッ!」

 感じる、感じるぞ。直角カーブの向こう側に人の気配を感じるぞ! まずい、ぶつかる! ……けど、止まるわけにはいかない。何故なら遅刻しそうだから!
 目前に迫る直角カーブ。向こう側から聞こえてくる息を切らす音。相手も走っている。しかもこの足音から察するに女の子! えへ。



どっすーん



「うわぁ」
「きゃっ!?」

 俺も彼女も互いにしりもっちー。だけど安心して、峰打ちだから。接触の瞬間微量に速度を落としたことにより互いの衝撃が緩和されたのだ! 柔尻に怪我をさせるわけにはいかない!
 と、目の前を見れば女の子。予想通り俺と同じ制服を着ている。傍らには咥えて走っていたのだろう、トーストが落ちている。

「大丈夫ですか、お嬢さん(キラリ)」

 満面スマイル歯がキラリ。決まった、これで彼女は俺にメロメロ。

「あっ、大丈夫で、うっ……うん、く、ふぁあっ。いやぁ、なに、これぇ……体が……あつっ」
「しまった!!」

 そう、このスマイルは俺の体から多量の男性フェロモンを出すことにより相手に一種の興奮状態を与えるという効果がある! すっげー! けど待って、今回はどうやらフェロモンの量を間違えたらしい。彼女の様子がなにやら変だぞ!

「どうしたんです、お嬢さん(キラリ)」
「ひゃぅぅん! らめぇぇぇえぇえ! も、もう……い、く」
「しまった!!」

 ついつい様子が変な女の子を見ると満面スマイル歯がキラリをしてしまう。げへ。
 どうしよう、彼女が肩を震わせている。それに、よくみると……ぐへへ。

「ほ、ほんとに大丈夫? 無理しないで病院にいったほうが……にこっ(キラリ)」
「い、っくぅううううう!!」
「しまった!!」

 どうしても女の子を見ると満面スマイル歯がキラリをしてしまう。困ったものだな。……と、目の前には女の子。どうやら気を失っているようだ。
 俺はその子の胸を気が済むまで蹂躙した後、「うわ! もう遅刻じゃん! 急がないと!」なんて言いながら学校に向かうのであった。


       

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