Neetel Inside 文芸新都
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遊星屠殺ワンダー【完結】
序章

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 恭子は今、空を飛んでおります。
 と言えば、強い語弊が生まれるやも知れません。
 もう一言付け加えるのであれば、上下左右が理解できないまま空を飛んでおります。と表現するべきでしょう。
 確かに、恭子は空を飛んでいるのです。
 ただし、自分の意思とは無関係に。

 1961年9月19日。
 アメリカ合衆国のニューハンプシャー州ポーツマスに住む、バーニー、ベティのヒル夫妻は、不本意にして、世界的に有名な存在となりました。
 その事件は、UFO3大クラシック事件のひとつにも数えられるようになり、後にバーニー・ヒル事件、または、ゼーダ・レティクル事件と言われるようになりました。
 レティクル座からやってきた宇宙人による、誘拐事件。
 その詳細について、やがて数多くの書籍が出版され、さまざまなメディアが取り上げたため、世界中の誰もが知る所となりました。ひいては、世界中で同じような誘拐事件が続出する。と言う自体すら巻き起こし、そして、それは、現在も続いております。
 ただ、世界中の誰もが、この話を聞いて、知り、興味を持ち、その上で、詳細を理解したとしても、その当事者になるだろうとは考えるはずも無いでしょう。
 恭子も、同様でした。

 それは、くしくもUFO元年より数えて60年が経つ年の出来事です。

       

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