耳欠け
耳がないよ
耳がないよ
何も聞こえず
目だけ
ああ
耳がないよ
耳がないよ
誰の言葉も
届かず
ああ
裾野を刺す下針は
猟場の端の方で
向く
野次は大した冗句も言えず
凍れる木の化身は
必ず優美な方へ
越す
藍毘尼は潜った賢者の元へ
お経もない
漢字もない
信者も滅私も御幸もない
判事もない
心もない
重機もレンチも恐竜もない
ああ
耳がないよ
耳がないよ
蹴飛ばす君の
頭を
ああ
耳がないよ
耳がないから
誰を見ようと
許さず
ああ
