ここまでお読みいただきありがとうございます。
今回、初の短編集という事で、一本ずつ解説を交えながらあとがきを綴っていこうと思います。
「無題」
これは私のデビュー作です。いきなり「無題」って、自分でも挑戦的だったと思います。
が、一作目で自分の型を作り、それに囚われてしまうよりはよかったと、今となってはそう思えます。
題名通り、本文もありません。なんでもあり、自由という事を存分に表現できました。
「ノータイトル」
デビュー2作目です。これまで私の本を読んできた方ならわかると思うのですが、
私は片仮名が苦手です。苦手なものに挑戦していきたいという気持ちから、
思い切って片仮名を使ってみました。本編でも積極的に片仮名を使おうと思ったのですが、
題名通り、本文もありません。苦手なものを克服した先には、苦手も得意もない、
何も無い世界が広がっているという事が伝わったと思います。
「虚無僧」
3作目。何も無いことの先には悟りが待っているという事を伝えたかったのですが、
書けば書くほど悟りからは遠く離れていきました。そのため、思い切って本文を無くしました。
しかし、何も無いところの方が主人公のキョムは活き活きと羽ばたけていましたね。
今、また書いてみろと言われても、これ以上のものを書ける気がしませんし、書いた時点で負けです。
この3作、よく読むと世界が繋がっているんです。
実は全てのページを重ねて太陽に照らすと、太陽の光が透けるんです。
これに気づいたというファンレターが3通も来ており、仕込んだ私もびっくりしました。
作家冥利に尽きます。
「それではまた、 。」