第二幕：Damsels in Distress！！
寛幻はひそかに興奮していました。ええ、それも性的に、です。この人間豹という作品は、名探偵明智小五郎の妻文代が、魔人のような男にさらわれ、裸にされたうえ熊の着ぐるみに閉じ込められ、豹に嬲者にされるという背徳的な残虐性とエロティズムに満ちた作品です。
「これだ…僕が求めていたシーンは」
寛幻は美少年貌を強張らせます。ついでに言うと名門学園初等部の半ズボンの下で、ブリーフを押し上げるオトコノコのシンボルが固く屹立している事にも戸惑います。
Damsels in Distress、という言葉を御存じでしょうか? 危機に陥った女性という意味合いが強い、ある種の『隠語』、ならぬ『淫語』と言えましょう。テレビやドラマでお約束の美女が悪漢や敵型の魔手に堕ち、縛られる、または猿轡を噛まされ監禁される、そんなスチュエーションに興奮する男子は一定数いるのです。寛幻は、まさしくそんな男の子の一人。密かに自慰に耽ることはまだありません。しかし、夢精を経験することはしばしばの11歳。実は、今朝方も乱歩小説に登場する怪盗にさらわれる美女の姿を夢に見て、えも言われぬ興奮を覚え、目を覚ました時には時すでに遅し。純白のブリーフの中に白濁とした液体をしっとりと滲ませたのでした。
そんな夢を見るのは昨夜に限ったことではありません。悪漢に連れ去られ、檻に閉じ込められる美女。ありとあらゆる責め苦を受け泣き叫ぶ彼女。ひいては生命の危機に晒されるあの人…。そう、困ったことに、その妄想や淫夢のヒロインは、必ずや小暮小夜子嬢その人なのでした。
「小夜子お姉ちゃんが…こんな風に秘密結社にさらわれて、残酷な虐められ方をしていたら…」
残酷かつ淫靡、そしてあられもない憧れの女性が姿を妄想するだけで、異常に性器が屹立してきます。また、今にも白濁とした液体がブリーフの布地を透けて、半ズボンまで濡れ広がりそうな錯覚にも陥るのでした。
