第七幕:美少年と令嬢の監禁タイム
「んん…?」
寛幻は寝ぼけ眼の瞳を向けると、ぼやける視界のなか、レンガ造りの小部屋にいることを認識しました。しかし、相変わらず身体の自由はありません。頭上で手首を結わいた荒縄が、天井の滑車を伝って床に結び付けられていて、踵が微かに浮き上がる程度の態勢で吊るされている状態です。しかも、先ほどまで唯一身に着けていた真っ白いブリーフも脱がされ、真っ裸という格好、これには思春期間近の男の子を屈辱で打ちのめすに十分なお仕置きでした。
「気が付いた、寛ちゃん?」
と、背中から聞き慣れた声がします。そう、それは小暮小夜子嬢。彼女も背中合わせに寛幻と同じ姿態で縛めを受け、監禁されていたのです。
「大丈夫? 寛ちゃん、気を失っちゃったみたいだから…」
「う、うん、平気…小夜子さんの方は?」
憧れの令嬢の素肌の感触を背中に感じつつ、先ほどまでくすぐり責めに悶え、嬌声を上げていた彼女の痴態を思い出しつつ、歳上の『人質仲間』を気遣います。
「ごめんね、寛ちゃんまで巻き込んでしまって…」
小夜子は、直接寛幻の問いには答えず、詫び言を漏らします。
「ねえ、小夜子さん…あのおばさん…マダム・カガミとかいう人の言っていた事ってホント?」
聞きにくそうに、寛幻は令嬢に尋ねます。
「小夜子さんも、読書サロンに来るオトコノコの情報を集めるため、司書さんになったの?」
「…お父様の事? まさか、違うわ。全くの誤解よ。教育学者だから、現在の子供たちがどんな読書をしているか、お話することはあるわ。私は子供と本が大好きだから、お勤めしているだけよ」
と、優しい読書サロンのお姉さまの声に、ほっとする寛幻でした。