Neetel Inside 文芸新都
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幼馴染をモノにしたい俺のHな時空旅行
Travel2:サービス残業はビッグチャンス!?

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Travel2:サービス残業はビッグチャンス!?

俺は郁子が好きだ。くどいようだが、一生好きだと思う。ぜひ、俺のモノにしたい、いやマジで。せっかく、シングルになった初恋の女の下で働けるわけだし、そのチャンスは低くないだろう、…と思う。そのためには、今まで以上に親密になることだ。まあ、ウザがられない程度に、だが。できれば、より同じ空間で過ごす必要がある。しかし、そこは幼馴染の辛いところで、いくら仲良くしても、子供時代からのお友達の域を抜けきれない恐れもある。何か刺激的な体験があればいいのだが…。そんな時、チャンスがやってくる。それも郁子の側からのお願い、でだ。

「ねえ、晴クン」
郁子が俺をクン付けで呼ぶときは、何某か頼みごとがある時だ。3時休憩、地元名物のチョコまんじゅうを勧めながら郁子は俺の傍らにそっと腰を下ろす。そして、自分もそのお菓子の包み紙をはがすと上品に頬張り、俺を横目に見つめにっこりと微笑む。
「私たちってただならぬ関係、だよねぇ?」
タダならぬとはこれいかに。でも幼馴染の美女からこういう発言をされて嬉しくないはずもない。
「ず――――っと一緒に遊んで、勉強して、一緒のガッコに高校まで通って、それで今、またこうして一緒に働いている」
郁子はどこかしんみりした口調だ。ま、離婚騒動とか、いろいろあって昔が懐かしいのかもしれない。確かに、郁子は幼稚園時代から俺の面倒をよく見てくれたし、いじめられっ子だった俺を守ってもくれる逞しい美少女だった。

「一生のお友達、かな?」
その言葉はぶっちゃけ嬉しくない。一生の女にして、一生の男と言わせなければ。
「ま、少なくとも、他人には介入できない何かがあるよね、私たち」
妙にシリアスな口調で、特徴的な切れ長の瞳で流し目をしてくる。なんだこの急展開は? おいおいおいおい、マジで愛の告白とかか?
「私ね、晴クンに伝えたいことがあるの…。ほかの人にはお願いできない、いえ、言えないお話が」
亭主を亡くした女特有の寂しさがあるんだろうか。
「お願い…」
郁子の美貌が接近してくる。
「お願い?」
「そ…お願い…。聞いてくれる…よね?」
俺の心臓が高鳴る。郁子は綺麗だ、いやマジで女優張りに…。こんな女に囁かれたら、なんだって言う事きいちゃうぞ。
「今夜…」
俺は股間が暴発しそうだった。今夜…。幼馴染の美女から逆告白。そのまんま、濃厚な一夜を過ごす、なんてな!

「郁子のばっきゃろ~~~ッ!!」
俺は、我が社ハイシャインが誇るコロナ対策飛沫防止ボードの在庫を思い切り蹴飛ばす。
「聞こえたぞ~~、晴比古。時給100円マイナスね!」
さっきまでの妙に艶っぽい態度もどこへやら。郁子は幼馴染の友達という名の下僕を揶揄う口調で、フォークリフトに乗り込む。
「何が楽しくて金曜の深夜まで働かなきゃならんのだ、しかも自給減額とか、マジであり得んし」
そう、郁子のお願いとは、残業命令。
「うそうそ…時給を減らす話は嘘よ。っていうかね、残業代…出ないの」
マジかよ、サービスかよ、ここは本当のブラック企業かよ…。
「ごめん、晴比古!」
郁子は、それだけは申し訳なさそうに両手を苦笑させた美貌の前で合わせて見せる。

「だってしょうがないじゃん、急な出荷予約が入ったんだもの。ドコもコロナ対応で大変なのよ。まあ、世間様には申し訳ないけどね、稼げるときは頑張って働かなくっちゃ」
郁子は、力瘤を作るポーズをとって見せる。こういう表情豊かでアクションも交えたコミュニケーションの取り方をするのも彼女の魅力だ。言っていることはなかなか鬼畜だけど。
「経営者もこれでなかなかつらいとこなのですよ、社長令嬢として綺麗に着飾って高ビーに振舞っているばかりじゃ務まらなくってよ」
郁子はまたまたユーモラスな口調で、部下を懐柔に係る。
「けッ、なーに言ってんだよ。結構高ビーだろうが」
郁子の所作は嫌味じゃないものの、地方ではなかなかお目にかかれないハイソなスタイルで、古株の社員たちからは評判が悪いとも聞く。俺は悪態をついてみせるが、そこは郁子が一枚上手だ。
「まあまあ、さ、唯一無二の大親友、晴比古クン頑張って働こう!」
結構むかついた俺だが、コイツと一緒に働く夜も悪くないなと、心底思うのだった。

       

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