【作品名・作者名】
「ワールドエンドへようこそ」しず先生
【ジャンル・あらすじ】
ファンタジー要素のあるコミカルで穏やかな日常系学園漫画。
特別な事情のある子どもの元に届く入学案内。現実からこの世界の果てにあるかもしれない魔法学校に集う、優しい生徒たちの柔らかい日常や学びが描かれる作品。
周囲に同年代が少なかった男の娘そうたろが入学するところから始まります。
【魅力・見どころ】
表情豊かなキャラクター(特に女の子)、デフォルメ作画が可愛く、手足や身体のラインが正確に捉えてあるなど、ポージングも美しいです。
そしてどのキャラも良い子で、他者への思いやりと朗らかなやりとりに癒やされます。
また、幽霊少女の願いを受け遺灰を解放しに行くエピソード「海のなかで光る火口」では、彼女やプネウマに頼まれたプシュケ、バスで偶然乗り合わせた幽霊のトレイシーなど、家族関係の悩みを抱えていたそれぞれのせつないお話が描かれ、胸打たれます。
この作品では、当初1話の3セパレート目が描かれておらず話が飛んでいたり、その他の話も途中まで更新されると別の話が更新され、かと思えば戻ったりと、自由な順番で描かれていました。
読む側にとってはマイナスに感じられるかもしれませんが、裏を返せば、好きな順番で描けるだけ作者さんの頭の中にはしっかりとした世界が構築されている、背後に大きな物語が存在しているとわかります。
まだまだたくさんの物語が眠っていると思うと、期待がふくらむ作品です。
【とにかくここが好き!】
たとえば前述の幽霊少女との旅中で、プネウマは普段は彼女が生きている人間のように普通に接しているけど、食事ができない彼女の前でおなかが減ったと言わないように気遣っていたり、遠目だと揉めているように見えた集団がなごやかな雰囲気に包まれた際に、モブキャラクターたちが「仲直りして良かったね」とひっそりと口にし合ったり、帰校した際に服についた花びらを、入り口だと汚してしまうから寮に戻ってから落とそうと話し合ったり、しかもその後戻ってきて掃除を申し出たりなど、他者を思いやっている様子がさり気なく描写されているところがとても良いなぁと思います。
他者を大切にする。当たり前で、けれど常に実行するのはなかなか難しい意識ですが、作中のキャラクターたちの会話や行動からはその暖かさが伝わってきて、人の素晴らしさが改めて思い起こされました。
あと、友人たちの中心で笑いと癒やしを提供してくれる、メインキャラのシュシュ子がとても可愛くて好きです。くるくる変わる彼女の素敵な表情をずっと見ていたい!
彼女の視点を共有して読むと、より作品世界を楽しめるような気がします。
【未読の方に向けたメッセージ】
難解な作品では無いので、気軽にごらんいただけると思います。
現在は1話(「はじまりは芽吹く春の色」)も完結しているのでご安心を!
【作品URL】
https://neetsha.jp/inside/comic.php?id=20978