Neetel Inside ニートノベル
表紙

不人気叩かれ文芸作家の僕がプロデビュー…
40・絶体絶命デスDeath!!

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僕と希春はしばし呆然と見つめ合った。

希春は突然笑い出し
「それにしてもすっごい偶然!!
やっぱり運命感じちゃうね♪」と僕の手を取って部屋に入った。

「ヒツジくんはどうしてこのホテルに?」

僕はここに連れて来られた経緯を話した。

「うわーウソみたい♪
あたしこの横の部屋をプライベート用に借りてるの♪
お仕事で朝早い事や夜遅くなる事があるからね」

いきなり追い出すワケにもいかず、とりあえず希春にソファーをすすめてコーヒーを淹れる。

僕は呆れて
「こんな高級ホテルをマンション代わりに借りるなんてもったいないよ」と言った。

希春は帽子と眼鏡を外しながら
「マンション買うならメイドさんを新たに雇うってお母さまが言うからね。
ホテルだと掃除や食事の手間ヒマ考えたら割りと安上がりだし♪」と笑う。

「こんな高級ホテルの方が安上がり……す、すご過ぎ。
そんな事より何で文春にOK出したの?
あんなスキャンダルを掲載されてもメリット無いでしょ」

「こんな事になるとは思ってなくて、ヒツジくんに迷惑かけたのは反省してる……
けどヒツジくんを熱烈に愛してるのは本当なんだし♪」

「あ、愛してるってそんな……」

「本気よ、あたし♪」

「そんな……会ったの今日で3回目だよ」

「じゃあ何回会ったら良いの?」

「そ……それは」

「ヒツジくんはあたしの事を写真集やアルバムで知っててファンだったし、あたしも『雲海のフーガ』を読んでヒツジくんのファンだったし。
両思いの二人が出会ったって事でしょ」

何も言い返せず、僕は黙ってコーヒーを渡した。

「あたしももう18歳で成人なんだし、これからは自分の気持ちに正直に生きたいの!
だから騒動が収まったら、二人で記者会見して恋人宣言しましょ♪」

「記者会見って!!!
そりゃ僕は希春のファンだよ……でもファン感情と恋愛感情とは違うというか……。
それに……」

「それに?」

「いきなり恋人宣言なんかしたら他のファンは傷つくよ。
せっかく好きでいてくれる人の気持ちは無下にしちゃダメだよ」

「その言葉♪そっくりそのままヒツジくんにお返ししまーす♪」

ぅぐ!

「でも、希春はもっと自分の影響力を自覚しないと。
犯人もきっと希春が好き過ぎてあんな事を書き込んじゃったんだろうし」

「そんなの犯人が悪い一択でしょ!
あたしより素敵な人を見つければ良かっただけなのに」

「そんな人いないよ普通」

「もー何でヒツジくんは犯人の肩を持つの?
そんなヒツジくんキライ」

「僕はいくら嫌われてもいい!
でも希春には誰よりも魅力があるんだから、その力に見あった責任を考えないとダメだよ!!」

途端に希春はボロボロと泣きはじめた。

あわわわ……酷いことを言ってしまったか。

「うぐ……ぐす……ヒツジくんだけだよ。
そんな事を言ってくれる人……。
やっぱりヒツジくんは大人で視野が広いんだね……。
ますます好きになっちゃった、だから嫌いにならないで」

「僕こそゴメン。
イヤな言い方して。
嫌われてもいいとはホントは思ってないから」

「じゃあ恋人宣言は止めてこっそりお付き合いしようね♪」

「いやだから……うーん正直に言うね。
希春は大富豪の令嬢でトップアイドルで、社会カースト最強過ぎて僕なんかとは住む世界が違い過ぎだよ。
だから付き合うなんて無理……」

「ねぇヒツジくん……ヒツジくんはあたし周囲の事ばかり見て住む世界が違うとか言って……。
ねぇ、ちゃんとあたしを見てから判断してよ」

そう言うと希春は立ち上がりスカートのホックを外し、ファスナーを下ろした。

スカートはするりと足元に落ちる。

「え!?え!?え!?」

しなやかな指でブラウスのボタンを外していく。

僕は金縛りにあったように体が動かない……視線も釘付け。

希春はブラウスを脱いで、おブラとおパンツのみのお姿に……。

マンガだとプリン、キュッ、プリンと擬音が付きそうなほどピチピチ肉感的。

ゴクリ……こんな着痩せするタイプだったなんて……小悪魔ボディどころか肉体の悪魔!!

もし希春がグラビアやってればグラビア戦国時代を焼け野原にして藤咲幕府を爆誕してたろう。

希春はとろけるような声で
「ヒツジくん、お願い。
家の事とか仕事とかに振り回されないで判断して……」と言い、僕の胸板に豊満なお乳を押し付けるるるルールル。

澪奈さんのお胸より前に飛び出してはいないがボリューミー、かつ若さあふれる弾むような弾力でシットリと熱を帯び……っておっぱいソムリエポエムを披露している場合じゃない!!!!

希春は僕の背中に手を回してさらに密着した。

「……あたしを好きならブラを外して……」

「は、はひ……」

僕の意思に反して僕の手はワナワナと震えながら希春の背中に回る。

「……ねぇ早く……」

「ひ……」

らめらこりはあたまがぱーになりゅ。

ブブブブブ

突然、僕のスマホが震えた。

ブブブブブ

「ヒツジくん、電話なんか無視して」

いや、これは絶対に澪奈さんからだ……。

電話が鳴りやむとドアからコンコンとノックが鳴った。

そして
「先生!牧野先生!
どうされました!! 入りますよ!!!」と厚い扉越しに澪奈さんの声が響く。

ピー、ガチャ

鍵が開く音がした。

ヤバヤバヤバ!!!!

僕はスカートとブラウスと変装用具を拾い上げると、希春の手を引っ張って寝室を突き抜けて奥のバスルームに入った。

「え?なに、ヒツジくん!
どういう事?」

「僕の担当さんが帰ってきた!
この状況を見られたらヤバいよ。
取り敢えず服を着て!
何とか担当さんに外に出てもらうからその隙に逃げて!!」

「ちょ!ヒツジくん!」

僕は急いでバスルームを出た。

       

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