Neetel Inside ニートノベル
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地獄の沙汰も愛次第
【今日は同窓会たのしみ♪】

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今日は中学校の同窓会の日。
クラスメイト達に会うのは実に8年ぶりだった。

私は中学を卒業してから精神疾患になり、眠剤の過料服薬で中毒になったり、中国にワーキングホリデーに行ったり、帰国して中耳炎になったり、中世ヨーラロッパにハマってロリータファッションをしてみたり、男と付き合って妊娠したりと色々あった。

我ながら、かなり良い人生を送ってきたと思う。

さてクラスメイト達はこの8年どんな風に過ごしていたのだろう?♥

興味津々だ。

「お待たせー!!」

同窓会で指定されたカラオケルームに突入すると、そこには総勢8名の参加者が座っていた。

そこにはたこ焼きを口いっぱいに頬張ってハムスターの頬袋みたいになっている山田が居た。

山田は
「よふぉ、おふぉふゃっふぁわ」

と言った。

「うん、そうだね遅くなってごめん。」

私は謝罪の意を真摯に伝えるために、ブラウスを脱ぎ捨て、ブラのホックを外して自慢のHカップの胸をぶるるん!と露出させる。

「お詫びの印として、このHカップをどうぞ」

すると山田はドン引きした表情で、ルームの一番奥まで後ずさった。
そんなに引く??

「おいおいwいきなり胸を露出するなんて、中学校のときから変わってないなぁ~」

山田の向かいに座っていた佐倉がフォローに入る。

「私、海外に行ったり妊娠してスピリチュアルにハマっていく中で気付いたの。
人生、裸の美しさこそが至上の喜びなんだって」

「だいぶ悟っちゃったんだなー…」

佐倉が真面目なトーンで相槌をうつ。昔から、私が何を言っても最後まで気届けてくれる良いやつだった。

「みんな、とりあえず飲み物頼もうぜ!」

幹事の松田がマイクを通して呼びかけると、皆それぞれドリンクメニューを見る。

「えっと……じゃあ僕は烏龍茶で」

山田が控えめに手を挙げる。

「山田は相変わらず烏龍茶か。昔と全然変わんないな~」

私はクスッと笑った。

そして私も烏龍茶をコップに注ぐ。

「そういえば、みんな何歌う?」

佐倉が聞くと、全員がうーんと首を傾げる。

「やっぱり最初は盛り上がる曲が良いよね。みんな、好きな曲は…



………


音が消えた。

カラオケの音も。

空調のかすかな振動も。

みんなの呼吸音も。



「山田…やっぱりアンタも”覚醒者”だったんだね」

「ああ、そうだよ。俺らのクラスで覚醒したのは俺とアンタだけみたいだね」

「そうね。私はこんな能力<チカラ>要らないんだけどね。山田は何に使う予定?世界征服とか?」

「いや、俺は中学生のころからずっと叶えたかった夢を叶えたい」

「へぇ。夢かぁ。いいね。ちなみにどんな夢?」

山田は答えなかった。

時の停止したカラオケルームを、山田は出て行った。

その数日後、テレビでは国際テロリスト集団が謎の変死を遂げたというニュースが流れていた。

その次の日も、その次の日も
凶悪な犯罪者が、街で、山で、獄中で

捜査官もお手上げの奇々怪々な変死を遂げたことが報じられていた。



山田。あんたはそういう夢を叶えたかったのね。

わたしは全然わかんないけど、かっこいいじゃん応援するよ。

わたしは今日も、ストロングゼロ片手にたこ焼き食って、DLサイトで買った同人エロゲをオカズにマスをかいて寝るけどさ…。

わたしはあんたの夢を応援するよ。

       

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